1-11: 呪いのマント
セフィーナさんはその後客間みたいな部屋に案内してくれた、やっぱ内装がきれいだな、メイド服もそうだし、誰が設計したんだろう、勇者なのかな?それにしてもセフィーナさんのお姉さんキャラ感半端ないね。くだらないことを考えてる最中。もう一人の小さなメイドさんが部屋に入って来た、カフェトレーをしっかりと持ちたいみたいけど、身長のせいなのか、それとも元々ドジっ娘なのか、少し揺れながら歩いてきて。頑張れよ、あと少し、あっ!あぶねぇ、危うく転びそうだった。やっとテーブルまでたどり着いて、ゆっくりトレーを置いた。
「お...おおお...お茶です、どうぞ」
「ありがとう、君は?」
「マーヤ・ゼロツー...です」
「マーヤちゃんか、よろしくね」
「よろしくです、ご主人様」
「マーヤ、そろそろお昼の時間だから、キッチンへ昼ごはんの準備に手伝って」
「分かった。ご主人様、失礼します」
「満人様、私もキッチンを見てみたいから一緒に行っていい?」
「ああ、行ってな、気を付けろよ」
「は~い」
リリーとマーヤはキッチンへと向かった。そして俺とガルア様はゆっくりお茶を楽しんでいる、セフィーナさんも座って、一緒にお茶をしたらいいのに、でもどうせメイドのプライドがそれを許してくれないだろうな。
「すみませんご主人様、マーヤはまだ子供なので、礼儀がなってないことどうかお許しを」
「大丈夫ですよセフィーナさん、俺は別にこういうの気にしてないから、本当に皆さんは普段通りに過ごしてください」
「ですが...」
「うむ、この辺にしとこ。そんなことより、セフィーナよ、例のものを持ってきて」
「はい、分かりました、では少々お待ちしてください」
「例のものって?」
「まあまあ、あとで分かるから」
例のもの?いいね、こういったミステリアス的な感じ嫌いじゃないよ。俺も使おうかな?いや、さすがに中二病すぎんか?でもたまに前世の言葉使っても意味が分からないし、別にいっか。変な人だなって思われないように気を付けないと。
「お待たせしましたガルア様、こちらが前に預かっていたものです」
おっ、来た来た。見た目完全にお宝箱だね、そこまで大きくはないが、なんだろう?あれかな、転生主人公と言ったらチート装備や能力でしょう、楽しみだな。いやだガルア様、こんなサプライズを準備してくれて、わくわくするぜ!
「ささ、開けてごらん」
「いやー、本当に感謝しが…え?これって、服?」
「うむ、一応防具じゃい、ほら出してみ、似合うと思うぞ」
防具か、プレゼントだから嫌そうなとこ顔に出しちゃダメ、でもな、武器の方がもっとかっこいいだろうな。さてと、どんな服なのか。
「……」
「なかなかええやろ、わしの手作りじゃい」
「すみませんセフィーナさん、ちょっとこのくそじじぃ一回殴るから、一旦下がってもらえますか?」
「えーっと……はい、かしこまりました、ではお先に失礼します。」
セフィーナさんが客間を出た瞬間に、俺は怒鳴り始めた。
「なんだこれ!!!!なんでよりによってマントをプレゼントしたんだよ!!!!バカにしてんのか?俺をからかって楽しいのか?」
「そこまで嫌がるとは思ってなかった、素直に謝ろう。だがな、これは決していたずらではない、不幸なのは確かじゃが、それでもお主は前世で散々逃げた、“まんと”からな。」
「それはなにが悪い、俺の人生だから別に逃げようが逃げないか、お前に関係ないだろう!」
「うむ、そうやな、確かにわしに全く持って関係ない。でもチャンスを与えたい意味でこのマントをプレゼントにしたんのじゃ、せっかくの新たな人生なのに、また逃げるつもり?」
「……」
「ほら、一回騙されたと思って、試しに着けてみ?」
「一回だけだぞ、言っとくけどまだ許してないからな」
そのマントを持ち上げて見て、さっきガルア様が言ってたこと見直した。前世を振り返って見ると、確かに俺は何度も何度も、逃げ続けてた。今ふっと思えば“まんと”は何も悪くない、結局自分のことを一番見くびってるは紛れもなく、俺自身だった。これってもはや反省あるあるだろう。新たな人生こそは、そろそろ“まんと”にチャンスを与えてもいいんじゃないか?少しずつでもいいから、“まんと”を受け入れよう。うん、よし!
決意したのはいいものの、結構オシャレだなこのマント。長さも丁度いい、腰辺りまでの長さで、動きを妨げなさそう、よく見るとレアそうな素材も使ってるかこれ?ガルア様がわざわざ手間ひまかけてこのマントを作ってくれたのに、さっき俺の態度ゴミすぎるな。
「さっきはごめんガルア様、プレゼント用意してくれてたのに、俺はあんな態度で、しかも大声で怒鳴ってしまい、本当に許して欲しい」
「よいよい、わしがお主の立場だと同じく怒ってたかも。いいから、気にせんといてな。ささ、試着してみ」
「うん、分かった」
着けてみたら案外嫌な気持ちも少なく、不思議ながら紐やボタンみたいな留め具いないのに全然落ちる気がしない。そして相変わらず準備万端なガルア様だ、すでに全身鏡を用意してくれた。
「うむ、やっぱわしの手作りええな、かっこいいね」
「一周回って結局自画自賛じゃねか、しかもマントだけ褒めてるじゃん。まあ、見た目がかっこいいのは否めないけど」
「忘れとったか?お主もわしの手作りじゃぜ」
「言われてみれば確かにそうだった。それで、もうマント外していい?ちょっと気分がね」
「そうじゃな、わしもそろそろ神界に戻らなきゃ、こう見えてわりと忙しくてね」
「それはいいけどさ、なんで下がりながら話してんの?」
「いやー、別に?」
「まあいいや、ってあれ?マントがはず、外せない!?ちょっと!ガルア様、このマントなんかおかしいよ、外せないけど!!」
「詳しいことは装備の概要を見てみな、あと修行したければセフィーナに声をかけてな、んじゃさらばだ!」
「ちょ待てって!!ねぇぇぇええ!!ガルア様ってば!!」
……
ガチで帰りやがった、さっき装備の概要って言ってたよね?装備、装備、あった。え?なにこれ?
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【普通のマント|レベル1】
スキル:
●再生
●プロテクション
●リサイズ
#レベル上がると進化する
#武器装備不可
#一度着けると外せなくなる
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はあぁぁ!?なんじゃこりゃああああ!!!!!!!