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1-1: クリぼっちからあの世へ

なんで…なんでよりによって…俺なんだ…

俺はただ、あの子を助けたいっていうのに。

すべて!すべてが!この名前のせいだ!


……


俺は風見満人(かざみ まんと)、今年で三十歳だ、いい年頃なのにまだ彼女なし、親にも『いつ結婚するの?』っていつも聞かれるけどさあ、そもそも仕事でいっぱいだから、全然出会いがねぇ。うちの会社ってブラック企業でもないのに、なんでこんなに忙しいのだろう?でもなんだかんだ給料がいいから辞めたらいろいろと困るよな。しょうがないから、今日も仕事頑張ろう。


「風見先輩!おはようございます!」

「おー、なんだ、しげしげじゃん。どうだい?仕事はもう慣れたか?」

「先輩、しげしげはやめてくださいよ、僕の名前は重成茂夫(しげなり しげお)です!仕事はだいぶ慣れてきました、先輩のおかげで」

「そっか、ならいい。それより、仕事終わったら飲みに行かない?そろそろ彼女を作りたいけど、出会いがねぇんだよ、お前ってわりとイケメンだからめちゃモテるだろうな」

「うわー、ガチな目してるじゃん!別に構いませんけど、でも彼女との予定がありますので、早めに終わってくださいね」

「このリア充め!」


しげしげは去年入社した新人で、頑張り屋さんだ、昔はいじめられたって聞いた、俺もなんとなく分かる、だから彼とはすぐに仲良くなれた。彼を見ていると何だか昔の自分が見えてしまうような気分だ。けど彼女持ちに関しては羨ましくてしょうがない!


……


「おーい、しげしげ、仕事終わったか?」

「はい、今ちょうど終わったところです、行きましょう!」


会社を出たら街中にカップルだらけだ、そう言えばそろそろクリスマスか、どうやら今年のクリスマスも一人ぼっちだな。


「…や…やめて!…だれか!…助けて!…」


道を歩いてたら、ふと路地裏から叫び声が聞えた


「なぁ、しげしげ、なんか聞えない?」

「うん、でもちょっかいを出すのも危ないから、やめたほうがいいですよ先輩」

「いや、ここはチャンスだ!あの子を助けたらワンチャン彼女になってくれるかもしんない!」

「いやいや、危ないですって、あっ先輩!」


しげしげが言ってる時点で、足がもう動いた、だって、女の子を助けるチャンスって滅多にないから!

今となって思えば早まった、後先を考えずだからこんな目に……


「おい!お前ら!あの子から離れろ!」

「はー?誰だ?テメー!」


相手は二人、いけるかな俺?、いや、いける、元剣道部だし、今でもちょくちょく筋トレしてるし、おじさんとはいえ、ヤンキー二人は倒せる。まぁ、喧嘩しなくて済むなら一番だけど。


「兄貴!こんなやつ、やっちまえ!」


ただのヤンキーだと思ってたけど、動きがキレキレで、パンチが重い、防ぐためにかばんを上げたら、名刺が何枚も落ちた。もう一人は名刺を拾って、思わず笑った。


「兄貴!見てくれよこれを、こいつの名前“まんと”だって!」

「まじかよ、あはっはっはっは!なにが“まんと”だ!クソだせえなぁ!」


“まんと”、バカにされることはもう慣れたと思っていたが、実際目の前で言われると腹が立つな。そのせいなのか、俺は少し冷静さを失った。かばんを捨てて、本能的な衝動が体を支配した、俺は拳を握り締めて、そして奴らが笑ってる隙に右フックを顔にかました、その兄貴が倒れたを見て、もう一人は恐れながら距離を取った。俺は少し勝利感に浸って、あの子を支えながら離れようとした途端、あいつがふらふらと起き上がった。その時、俺はまだ気づかなかった。


「先輩! 後ろっ!」


っと、しげしげがいきなり俺の前で叫んだ、俺はすぐ振り向いていたが、それでも手遅れだ、奴は壁に支えてともに銃を構えた、無論、俺に向かって。


「この野郎、死ねえ!」


あいつが叫んだ途端、あー、これは死ぬなって思った、死への恐怖なのか、時間が遅くなったかのように感じる、ふと頭の中に昔のことが思い浮かぶ、これって走馬灯って言うやつか、せめて死ぬときは気持ち楽にさせてよ、くそが。


“まんと”、小さい頃からずっと笑われた、なんでこんな名前を付けたんだ、別に親を責めたい訳じゃないだけど。ガキの頃の俺は何故かお化け苦手で、小学生の時で騎士とお姫様の物語を台本にした演劇をすると決まって、もちろん男の子は誰しも騎士役をやりたいって訳よ、騎士になって、ボスキャラみたいなヴァンパイア役をやっつけて、お姫様を助けるっていう。この名前のせいなのか、とある男の子がこう言った「ヴァンパイアってマントあるよね、じゃあ満人くんがやれよ、お互い“まんと”だしさあ」、それで他のクラスメイトも賛成し、結局俺は泣きたいぐらいの気持ちで無理矢理ヴァンパイア役にやらされた……


中学生の時もそうだった、学園祭ってだいたいメイドカフェか屋台か、やるってお決まりみたいなもんだろう?無論、お化け屋敷もそうだ。うちのクラスも最初メイドカフェをやる予定だったか、急に生徒会長が学級に同じイベントをやるのを禁止したって、先輩たちに聞くと去年までは禁止されていないらしい。それでうちのクラスはなんやかんやでお化け屋敷をやることになった。まぁ、そうと決まればやるしかないと思って道具作り班に加わった。よし、これで役を演じなくて済んだな。だが俺の考えは甘かった、まさか学園祭当日にお化け役の全員が食中毒で入院、それで俺はまた“まんと”のせいでお化け苦手なのにお化け役になった……


なんでこんな目に…俺はただあの子を助けたいって言うのに…やっぱちょっかいを出した俺が悪いか?いや、結果的に俺はあの子を助けたけど、でもそれはあの子のせいで俺は死んだのか?それも違う、だって、これは俺自身の欲望による自業自得だから。


やつは引き金を引いた、火花とともに、その弾丸は真っ直ぐ俺に向かって飛んだ、そして胸に刺さった、全身の気力が消え去ったかのように、俺は倒れた、白いワイシャツは真っ赤に染まっていく。


「ややや…やばいぜ兄貴!人を殺したんだ、早く逃げようぜ!」

「チッ!ざまあ見ろ!ヒーローになろうとするからこうなるんだよ!」


奴らは言葉だけを残したまま、姿を消した、そしてすぐ警察のサイレンが鳴った、どうやらしげしげは警察を呼んでから俺を追ったみたい、賢明な判断だ、さすが俺の後輩だな、ごめんな、こんなわがままな先輩がいて。ごめんな、まだ、大したものしか教えてなくって。


「先輩!しっかりして!今救急車を呼ぶから!」


しげしげが救急車を呼んでいると同時に、助けた女の子は傷口を必死に押さえてて、彼女は泣きながらずっと「ごめんなさい…ごめんなさい…」と謝っている。そしたら体が段々寒くなって、それは今まで感じたことがない寒さだ、手と足の感覚は少しずつなくなって。あーあ、人生の最後にいい事したし……もう…いっか……


俺の意識は徐々に暗闇の中へ沈んでいく。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

初めて小説を書いてみました、文字だけでの表現はなかなか難しいですね。

少しつづマイペースで頑張りますので、よろしくお願いいたします。

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