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クラスメイトの女子全員に告白したら妹と付き合うことになった件について

作者: ウィロ

「うぬぬ~」


 何やらおれの一つ下の妹、如月(きさらぎ)(はるか)()()()()()()とにらめっこしながらうなっていた。


 こいつ、またおれのスマホで遊んでやがる。

 一応、パスワードでロックはしてあるのだが、誕生日を軽くもじっただけのものなので、すぐにばれて解除されてしまった。それ以来、面倒くさいのでそのままにしていたら、遥はしょっちゅうおれのスマホを使うようになった。


 大方、今もおれがやっていたゲームでもやっているのだろう。

 おれは熱しやすく、冷めやすいタイプなので、途中でやらなくなったゲームアプリが割と残っている。

 逆に、遥は序盤のチュートリアルやレベル上げが面倒に感じるタイプなので、いつしか面白そうな新作ゲームがでると、最初はおれがやって、途中からは遥がやるということが多くなった。


「ここはこうしてー、この人はどうしようかな~」


 だが、遥がここまで悩むほど難しいゲームを最近やっただろうか?

 遥は割と飲み込みが早く、あまり悩まずにゲームをするので、このように悩む姿は珍しい。


「なあ、お前今、何やっているんだ?」

「んー、ちょっと実験中」


 なるほど。

 実験中って、あれか。縛りプレイとか新しいキャラの編成でも試しているのかな?

 なら悩むのも納得。気にするほどじゃないな。


 そう思い、おれは再び家のソファーに座りながら、マンガを読む作業に戻る。

 今日は、というか今日も本当は部活の日だったのだが、幸か不幸か、雨でグラウンドが使えなくなり、急遽休みとなったのだ。

 そんなわけで、さっさと家に直帰し、両親も共働きでいないため、こうやってマンガにゲームに遊んでいられるということだ。

 あ、なぜ遥も家にいるかというと、おれと同じ高校の部活に入っているからだ。マネージャーとして。元々マネージャーのいない部活だったので、みんなに可愛がられている。

 兄妹仲は……まあ良い方だと思う。どちらも過剰に相手に合わせることはしないので、今みたいに別々で遊ぶことがほとんどだが。気安い関係ってやつだ。家族なので当然ともいえるが。


 そんな感じでしばらく遊んでいると、不意に『ピコン』という音が鳴った。

 恐らく、おれのスマホに誰かがメッセージを送ってきたのだろう。


「来た!」

「いや、来た!じゃねえよ。おれに対するメッセージだろそれ。返せよ」

「ダメ!お兄ちゃんは後で」


 ったく。しょうがないな。

 まあ、ゲームをしていたら途中で中断されたくないのはよくわかる。

 親ともめる一番の原因じゃないかなこれ。『ゲームなんかいつでも終われるでしょ』と母さんによく言われるが、ゲーム中だからこそすぐに終われないんじゃないかなとおれは思う。勉強中なんかいつでもすぐに終われるからな!


「わかったよ、後でちゃんと返せよ」

「もちろんもちろん」


 遥はおれの方を見もせずに適当にそう答える。


 おれがマンガを読むことを再開しているとまた『ピコンピコン』という音が鳴った。

 気にしない気にしない。


 『ピコンピコンピコン』

 ……


 『ピコンピコンピコンピコン』


「いや、さすがにおかしいだろ。お前なにかやった?」

「はあ~。お兄ちゃんってホント女子から男として認識されてないんだねぇ」


 えっ、何その反応。

 何で急におれに対する女子の反応の話になってるの?

 まあ、確かに女子と関わること自体少ないけれど。連絡事項とか挨拶以外で妹以外の女子と会話した覚えはあんまりないけども!

 今関係なくない?

 それに、もしかしたらって可能性もあるだろ?ほらっ、ラブコメでよくあるみたいに本人が気づかないような何気ない行動が好きになった――とかさ?いや、ないだろうけど。でも、可能性はゼロじゃないんだよ!


「そんなの確かめてみないと分かんないだろ?他人がどう思っているかなんて分かるわけないんだし」

「分かるもん!確かめたから」

「は?どうやって?」

「今、お兄ちゃんのスマホでクラスメイトの女子全員に告白してみたけど、全員ダメっぽいよ?」

「何してくれてんだよお前!」


 そう言っておれは遥から素早くスマホを奪い取る。

 そして、早速そのことが本当か確かめると、たしかに告白文らしきものがクラスメイトの女子全員に送られていて、そのうちもう何件かからは返信まで来ていた。


「おい遥!なんでおれがクラスメイト全員に告白したことになってるんだよ、ふざけんな!やっていいことと悪いことがあんだろ!」

「お、お兄ちゃんが怒るなんて珍しい……」

「いや、怒るだろこれは!うわー、どうしてくれんだよこれ……」


 え、これ本当にどうすんの?

 今更送信取り消しても意味ないだろし……冗談でしたとでも言うのか?

 え、それどんな外道?人の気持ち弄ぶとかたち悪すぎんだろ。


 どうしようか途方に暮れていると、遥がちょんちょんと肩を叩きながら声を掛けてきた。


「え、でもお兄ちゃん彼女とかいないよね?そんな気にする?」

「気にするよ!クラスメイトの女子全員に告白したなんてばれたら嫌われること間違いないし、万が一ばれなくても気まずいことには変わらないし……」

「でもでも、お兄ちゃん、女子にどう思われようが気にしないって言ってなかった?」

「それは好かれなくてもいいって意味で行っただけだ。無関心なら良いけど、嫌われるのは面倒くさいから嫌なんだよ!」


 こいつ、本当分かってねえな!

 無関心なら表面上は問題ないが、嫌われたら色々と面倒なことが起こるんだぞ!

 たぶん。


「ああ、それなら多分大丈夫だよ。ちゃんと返信見てよ」

「見るしかないか……」


 もはや諦めの境地で返信を見る。

 頼むから本気にしないでくれよ。いっそバカにされていたり、ネタにされていたりしてくれ!


 そう思って恐る恐る返信を見てみると、予想外の反応をされていた。


『遥ちゃんだよね?』

『はるかちゃん、そういう冗談はよくないよ』

『遥ちゃんなら付き合うよ!』

『遥かよ!一瞬誰かと思ったわ』

『お兄ちゃん乗っ取られてるw』

『何の罰ゲーム?』

『いくら兄妹でも好きにスマホ触らせるのは良くないと思うよ』


 等々、このような旨の返信が来ていた。


 ……え?状況ばれ過ぎじゃない?

 いや、誰も本気にしてなくてよかったけどさ。

 約一名百合カップル誕生仕掛けてるけど。

 でもさ、せめて一人くらいちゃんと振ってくれても良いのにね?


「……何でこっちの状況こんなに察せられてんの?」

「お兄ちゃんが女子に興味なさすぎだからじゃない?」

「いーや、絶対それだけじゃないね。お前、絶対普段からなんかしてるだろ!」


 絶対にこの状況は異常だ。

 本当におれが興味を持たれていないだけなら、こんなにも遥がやったのだと確信されるわけがない。

 さあ、白状しろ!


「いや、本当に大したことはしてないよ?ただ、ちょーとだけお兄ちゃんのことをアピールしてみたり、どんな人なのか伝えようとしたり、話しかけるように言ってみたりしただけで……」


 少し問い詰めてみると、遥はめちゃくちゃ目を逸らしながらそんなことを言った。

 ちょっとだけおかしいとは思ってたんだよ。いくら文化祭があったとはいえ、おれに話しかけてくる女子がやたら多いし、遥がなぜかおれのクラスの教室にいることが多いなーとは。

 まさかここまでおれらのクラスの女子と仲良くなっているとは思わなかったけど。


「十分してるじゃねえか!まあ、今回はそのおかげで助かったけど……」

「うーん、確かに今回はやりすぎだったかも。私からも謝っとく」

「そうしてくれ。それと、まだ返信が来てない人のところは送信取り消しとくか」

「うん、自分で言うのもなんだけどそれが良いと思うよ」


 とりあえず、最悪の事態は避けられそうだったのでホッとした気持ちになりながら、まだ返信が来てない人のところには送信取り消しをしていき、返信が来た人についてはお詫びのメッセージを送っていった。特に、最後にメッセージが来ていた忠告をしてくれた人には、以後気を付けますと返信しておいた。


 そうしてお互いに黙々とスマホを操作していると、あることに気付いた。

 遥のやつ、全員に違う内容の告白メッセージを送っていたんだな。それで、さっきまでうんうんと悩んでいたのか。

 いたずらにしてはずいぶん凝り過ぎている気がするなぁ。


「なあ、お前なんでこんなことしたんだ?」

「え、お兄ちゃんに彼女ができるようにするために決まってるでしょ?」

「おれ、彼女が欲しいって言ったことあったっけ?」

「言ってはないけど、今の草食系高校生男子は言わないだけで心の底ではみんなそう思ってるっていってたよ」

「ソースは?」

「ネット」

「……」

「……」


「お前、ネットの情報をうのみにするなって言ったことあったよなあ!」

「いや、でも、そう!友達も、言ってた、気がする!」


 それを聞いておれは『はあ~』とため息をつく。

 そういえばこいつ、バカだったな。勉強はそこそこできるけど、バカだった。


「お兄ちゃんは彼女欲しくないの?」

「別に欲しくないな。彼女ができたら気ぃ遣わなきゃいけなくて疲れそうだし」

「ああ、それは分かるかも」

「分かるのか?お前なら彼氏ができても自由にできそうだけど」


 こいつ、バカだけどそこそこ美少女だからな。むしろ、バカっぽいところが男子からは魅力的に映ったりもするだろうし。


「いやー、案外そうでもなかったよ」

「ん?お前、誰かと付き合ったことあるの?」

「あるよ」

「え、全然知らなかったんだけど。いつ?」

「高校入ってすぐくらいの時」

「で、いつ別れたの?」

「その一週間後くらい?」

「早えな」

「だって、すぐデートしようとか次空いてるのいつとかしつこく聞いてきてうっとうしかったんだもん。ちゃんと部活で忙しいけどそれどもいいのかって聞いて、いいよって言ったのに」

「これが熱量の差ってやつか……」


 ちょっと相手の男子がかわいそうになってきた。

 高校入学を機に心機一転頑張ろうとして、彼女もできたのにがっつきすぎて一週間で別れ話とか……辛すぎる。

 誰か知らんけど会ったら優しくしてやろう。

 いや、やっぱり面倒さくいな。自業自得だし、彼には強く生きてもらおう。

 いい経験になったと思って。

 うんうん。


「で、それ以来誰とも付き合っていないのか?」

「そうだね。この前の文化祭で3人から告白されたけど、全員ちゃんと断ったから」

「あっ、そう」


 本当にうちの妹、モテるんだなあ。

 人気があるのは知ってたけど、まさかここまでとは思わなかった。


「そうだ!お兄ちゃん、私と付き合ってるってことにしない?」

「一応聞くけど、何で?」


 おれは何をまたバカなこと言い出してんだこいつ、っていう態度丸出しでそう答える。


「ほらっ、やっぱり告白を断るのって申し訳ないじゃん?一回受けたことあるから、告白してくる人も多いし、彼氏がいるっていうことにしようとした時もあったけど、なぜかすぐにばれたし」

「まあ、お前バカだし分かりやすいもんな」

「一言多い!でも、そういうわけで嘘もすぐばれちゃうんだよねえ。だからお兄ちゃんに彼氏になってもらおうかと。お兄ちゃんは彼女作るつもりないんでしょ?なら名案じゃん!」

「いや、でも相手がおれだってばれたら意味ないんじゃないの?」

「大丈夫だよ。名前を言うのなんてせいぜいイニシャル位だし、写真だって見せるにしてもぼやけさせたりするのがほとんどだからばれないって」


 う~ん、なら問題ない、のか?

 まあ、最悪ばれたとしても遥が告白を断るのが申し訳ないからって言えば納得してもらえるかな。遥に良いと思える人ができたら別れたってことにすればいいだけだし。

 他にデメリットは……ばれた時に友達にシスコンってからかわれる位かな。

 その位のデメリットなら全然許容範囲だな。

 もう入学デビューに失敗した彼のような人をこれ以上生み出さないためにも。

 これは受けるべきだろう。


「それなら良いかもな。まあ、お前のことを彼女扱いすることはないだろうけど」

「それはこっちのセリフだよ。お兄ちゃんに彼女扱いされるとか気持ち悪すぎるから」


 そう言っておれたちは笑いあった。

 いや、それにしても人生初の彼女がまさかの妹とは。

 彼女なんて自分には縁がないものだと思っていたから、意外だ。

 まあ、状況はかなり特殊だけど。クラスメイトの女子全員に告白したら妹と付き合うことになるとか。想像できるわけないけど。


「じゃあ、お兄ちゃん、早速デート写真でも撮りに行こう!お母さんには買い物に行くとでも言っておけばいいでしょ」

「まあ、ちょっと面倒くさいけどそうするか」

「あ、でもちょっとくらいオシャレしてきてね」

「分かってるって。っていうか、写真撮るんだから当然だろ」


 そんな軽口をたたき合いながら、おれたちは()()()()に出かけた。


妹の行動が不快に思った方はすいません。

主人公は割とあっさり許しちゃってますが、絶対に許せないという方もいるんだろうな~とか思いながら書いてました。でも、僕なら許せると思います!!(なぜか断言)

まあ、そういう不快さより面白さが勝ってくれたらなと思います。

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