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黒の章 第八話 前魔法騎士団長

(こ、怖い、この人)


 姿、形は非がないほど美しいのに、異様だった。

 その黒さも、鴉も、笑みも。

 何もかもが計り知れない闇のようだった。


「こんにちは、美珠様」


 名前を知られていたことに驚きつつ、魔希へと目を遣ると、魔希は額に冷や汗を流しながらその男へと跪いた。 

 今にも倒れそうなほど、蒼白な顔で。

 そして震える声で、言葉を紡いだ。


「教会においででしたとは」


「何だ、私がいちゃ悪いかね?」


「いえ」


 平身低頭な魔希の姿に美珠はおどろきつつも、恐る恐る問いかけてみた。

 自分の名を知るこの得体の知れない男が何なのかを知るために。

 出した声は少し掠れていた。


「あの、あなたは」


「前の魔法騎士団長、魔宗(ましゅう)と申します」


「前の?」


「ええ、魔央の前の騎士団長です」


 けれど年はどう見ても魔央と変わらなかった。


「あの、」


「ああ、あの頃は小さくてらっしゃったから」


「お会いしたことが?」


「ええ。貴方の記憶をチョコチョコといじったのは私です。どうやらその魔法を一人で解かれたとか」


 のぞきこまれて美珠はその男の異様な怪しさに引き込まれそうになった。

 それでも必死に自分を保とうとしていた。

 けれど、その黒い瞳に魂まで持ってゆかれそうだった。

 足元がぐらつくと、美珠の異変に気がついて、魔希が体を入れて二人を引き離した。


「わ、魔希君」


「この方に取り込まれてはなりません」


 すると魔宗と名乗った男は恐ろしく冷酷な顔をして魔希を見下ろした。


「何だ、弟子の弟子。偉そうな口を聞いているではないか」


「今、私の任務はどんなことからも美珠様をまもることです。例え、騎士団長であったあなたでも、気を許すことはできません。魔宗様、どうしてこちらに?」


「大切な商談のつめをしに王都に来たのだ。先ほど教皇様に挨拶をし、美珠様がいらっしゃると聞いて待たせてもらった。少しお顔を拝見したくてね」


「商談?」


「それは語れないが、少しやりがいのある仕事らしくてね」


 そして魔宗は美珠を見て口の端を持ち上げた。

 それは凍てつくようにつめたい表情。


「さ、行くとしよう。魔央と遜頌をいじれないのは悲しいが、では。美珠様」


 男は言葉が消えるのと同時に消えた。

 何の気配も匂いもなく。


「消えた!」


「あの方はいつもあんな風なんです。本当に団長が魔央で良かったって思いますよ。あの方が団長であった頃は魔法騎士は本当に不気味な存在に見えていたようですから。大体あの人が不気味なだけですけど」


「あの、今の方はおいくつなんですか? そんなに魔央さんと変わらない年のように見えるけど」


「ああ、それなりの年ですよ。見た目は二十代ですがね。教皇様が美珠様ぐらいの時にはもう団長していらした方ですから。ただあの方の年齢を語ると死よりも恐ろしい魔法が発動されるので、これで勘弁してください」


 魔希は嫌なものを振り払うかのように頭を振って、美珠を導いた。


(あの人が、私の記憶を消した人)


 別に怖いとか気持ち悪いとか言う気持ちは無かったが、不思議な気持ちだけがただ自分を包んでいた。


こんばんは!

桜がそろそろ見ごろですね。

お花見に行きたいな☆


って、こっちは全くそんな気分じゃなさそうな

黒い人の登場です。

この黒い人、一体何?


ではでは、アクセスありがとうございました。

失礼します。

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