表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/171

紅の章 第百十四話 気の合う馬鹿同士

 祥伽の部屋は驚くほど厳重に警備されていた。

 紗伊那の騎士に兵士、秦奈国の兵士。

 一体、どれほどの犯罪者がいるのかという様相を呈していた。

 美珠が軽く警備の者に挨拶をして中に入ると、祥伽は寝転んで本を顔の上においていた。

「寝てるの?」

 本を取ると赤い瞳と黒い瞳がぶつかる。

 祥伽は誰かに殴られたのか頬にあざを作っていた。

「痛そうね、どうしたの?」

「将軍にボコられた。やるんだあいつは昔から。で? どうだった?」

「どうかな。分らない」

 美珠は軽く笑うと隣に腰掛けた。

「馬鹿姫だと思われたかもしれない」

「まあ、俺も馬鹿ボンだってさっき散々怒られたからな、いいんじゃないか? 馬鹿同士。お似合いだろう」

「そうですね。馬鹿同士」

 本当は不安だった。

 皆に嫌われて今頃悪口を言われていると思いたくないから、祥伽のそばに来た。

 彼の自分への悪口なら聞き飽きたものだったから、堪えられると踏んだのだ。

 そんな弱いところ気づかれたくなくて、美珠は笑うことにした。

「今日の夜、帰るのでしょう?」

「ああ、帰る」

「寂しくなるわね」

「そうか? まあ、そうだな」

 祥伽は立ち上がると荷物の中からまた瓶を取り出した。

「折角だ、飲むか?」

「え? また? まだお昼ではありませんか、見つかれば叱られますよ」

「ああ。でも、まあ嫌なことは忘れてだ」

 祥伽は今日は二つだけグラスに注ぐと美珠に手渡した。

 口をつけると、またきつい酒の味がして喉が焼け付く。

「次、会えるのはいつになるのかな? 祥伽といれば、祥伽がいれば、迷ったときでも助けてもらえるのに」

 祥伽はこみ上げてきた笑みを頑張って消すと、冷静な男を装い酒を煽った。

「なら、お前、あのヘタレと別れて俺と結婚すればいい。そうすればいつでも一緒にいられる」

「何ですか、それ」

 美珠は真面目に取ることなく、笑った。

「それに私の好きな人はヘタレではありませんし、しっかりとした人です」

「言いたいこともちゃんと言えない相手がか?」

「向こうにも向こうの立場がありますから」

「変に分かった振りしてんじゃねえよ」

 美珠は口を尖らせた。

 返すことが出来なかった。

 見透かされていた。

 国明は本当は一番に理解して欲しい相手だった。

 けれど甘やかして欲しくはなくて、でも分かっては欲しかった。

 持っていた器を一気に煽って、自分で瓶から器に注ぐ。

 暫くお互い言葉はなかった。

「気の強いお姫様は嫌われちゃうのかしら?」

「さあな、わがままは嫌われるだろうが。……俺はそんなに気の強い姫は嫌いじゃない」

 祥伽は言ってから口を押さえて顔を赤らめた。

 けれど美珠は気がつかず転がって天井を見上げていた。

 祥伽はそんな美珠の様子に気がつくと自分も寝転がって天井を見上げた。

「ねえ、祥伽」

「ん?」

「三十年後もこうして一緒にお酒のめれたらいいわね」

「ああ、そうだな」



「どうも、今夜の酒をお持ちしました。」

 城の裏口では商人が夕食用の商品を納入をしていた。

 王族に食べさせる選び抜かれた食材とは別に騎士や兵士にも大量の食材が運ばれてくる。

 その荷物は一旦、調理されるまで倉庫に置かれることになっていた。

 今日も、いつもと同じように。

 けれど倉庫でいくつもの木箱が動き始め、中から突き上げられ破られた箱の中から黒服の者達が現れ、そして散っていった。


こヾ(^o^-) ん(o^ー^)o ばo(^0^o*) ん(o^-^)ヾわ(*^〇^*)ノ”

今日もお付き合いいただきましてありがとうございます。


美珠に全く気づいてもらえない祥伽、哀れすぎる……


最近、「不幸のメール」もどきを送られへ凹み気味。

このままではとんでもなく暗いものを作ってしまいそう。


お気に入り登録いただければ生きてゆく活力になります。

ボタンをポチと押してもらえれば幸いです。

♪~♪ d(⌒o⌒)b♪~♪ランラン

尚、感想、文句、指摘などありましたら、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ