番外編 欲望に忠実な女
スターライトのホテルの風呂は、それはもう豪華な物だった。
なにせ、ホテルの一室なのに、露天風呂が着いてるのだ。しかもちゃっちいものではなく、かなり広くて立派なものである。
風呂に入った状態から、このネログーマ王都を一望できる。
高い建設技術がうかがえた。自分で勉強したのか、あるいは技術者を高い金だして雇ったか。
いずれにしろ、スターライトの努力のたまものだろう。
出世したものだ……ふっ……。
「ま・す・た~♡」
……元部下の成長の余韻、ぶち壊すかのように、フレデリカは入ってきた。
長い銀髪をアップにし、その抜群のスタイルの裸体を惜しみなくさらしながら、いそいそと風呂場へと入ってくる。
ふぅ……うるさいのが入ってきたな。
「妻の裸体に見惚れてしまいました~? いいですよぉう♡ いっくらでも眺めてもらって!」
「……風邪を引く、さっさと体を洗って入れ」
「はいっ! きゃほー! マスターがわたくしの体を案じてくれてますぜ-!」
本当にやかましい女だ……やれやれ。
フレデリカがいそいそと俺の隣に座ってくる。
「マスターマスター」
「どうした?」
「ちらちら……目の前に、超絶美女が! 裸をさらしてますが!? ちらちら!」
「はあ……」
面倒なやつめ、まったく……。
人前(ヘンリエッタがいる時も)だと、ふざけた態度を取らぬくせに、俺と二人きりの時になると、こんな風に妙なことを言ってくる。
「マスター! 良いのですよ、欲望のままにフレデリカの裸体に、欲望を解放しても!」
「……貴様は欲望を解放しすぎだ。まったく」