番外編 うるさい女
俺たちは獣人国ネログーマへと、慰安旅行へとやってきた。
そこへ、かつて俺のギルドに所属していた、スターライトの遣いのものが参上。
どうやら俺たちがここへ来るのを事前に察知していたらしく、高いホテルを用意してくれてたそうだ。
俺たちは馬車に乗り、ホテルへと向かう。
「ふふ……マスターはやはり優しいですね♡」
隣に座る犬女、もといフレデリカが微笑みかけてくる。
「なんだ、いきなり」
「断ることもできたのに、そうしなかったのですから」
「ふん……勘違いするな。スターライトのやつが用意した部屋が、無駄になるのが嫌なだけだ」
「でた。はい、でましたー」
にやにやとムカつく笑みを浮かべ、俺の発言に指摘をする。
まるで鬼の首を取ったかのように、フレデリカが言う。
「その理屈で言うなら、マスターが元々予約していたお部屋が無駄になっておりますがー?」
「……ふん」
ちっ。
察しのいいやつだ。
「マスターってばほんと、ツンデレなんですから。スターライトの厚意を素直に受け取ればいいのに~。ま、でもマスターのそういうツンデレなところ、わたくしは大好きです♡ それにマスターの微妙な心の機微を察知できるのも、このわたくしだけ……ふぎゃっ」
俺はフレデリカの尻尾を握って黙らせる。
「しゃべりすぎだ」
「えっへへ~♡」
これのどこに笑う要素があるのだ。まったく……わからん女だ。
「でも好きなんでしょ? でしょでしょ?」
「ふぅ……」
うざいな……。が、まあ嫌いではない……。がそれを言うとうるさいから黙っておこう。
俺は目を閉じる。
「あーんますたー、好きっていってくださいよぅ!」