番外編 化け物に化け物の面倒を見てもらう
ヘンリエッタは馬車に乗って、ウルガー、そしてローレンとともに、王都へと向かっていた。
「の、のうローレンよ。本当にうちにくるのか?」
「うむ! ギルドの役に立ちたいぞ!」
「そ、そうか……」
ヘンリエッタは内心で大きくため息をついた。
この、有り余るパワーの持ち主が、ギルドに加わる。
ただでさえ今のメンツには、やばいのが多い。
そこに輪をかけてやばいローレンが加わると、ヘンリエッタの心労はさらにますだろう。
制御できるだろうか、この化け物を……。
「む! 待てよ……そうじゃ!」
ヘンリエッタは名案を思い付く。
「わしで無理なら、任せればよい!」
「ぬ? 何を任せるのだ?」
そうだ。なにも自分が直接面倒を見なくていいじゃないか。
化け物には、化け物を。
「ローレンよ。王都についたら、先輩を紹介してやろう」
「おお! 先輩! して、どんなやつだ!」
「規格外の力を持ちながら、その力に自覚的じゃあない変わった子じゃ。いい子じゃけども」
「おお! そんなひとがいるのか! その人に面倒を見てもらえるのか! たのしみだ!」
すまん、と内心で彼に謝るヘンリエッタ。
面倒を押し付ける形になって。
いやでもしかし、彼もまた化け物。
化け物同士なら、うまくやってくれる……よね?
こうしてヘンリエッタは、新たなる爆弾を抱えたまま、王都へと戻るのだった。