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番外編 転生超勇者は冒険者ギルドに入りたいらしい(泣)

【★おしらせ】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。



 元勇者パーティとともに、ヘンリエッタは勇者ローレンスの墓参りにやってきた。

 そこで、ローレンスの転生した存在、ローレンと再会する。


 現在ローレンはこの農村の子供として普通の生活を送っている。

 ローレンはヘンリエッタたちを自分の家へと案内した。


 ウルガーたちは世界を救った英雄として、大変歓迎された。

 ローレンの母親は、ごく平凡な女性……だが。

 

 なんだかとても疲れた表情をしていた。

 さて。


 ローレン母の食事をとり終えたあと、彼は開口一番にこう言った。


「ヘンリエッタちゃん! おれを、天与の原石に入れてくれないかっ?」


 その場にいた全員が固まる。ヘンリエッタの顔から、血の気が引いた。


「む! どうしたみんな! 長旅で疲れてるのか?」

「……ローレンス、じゃない、ローレン。聞き間違いかのぅ。わたしのギルドに入りたい?」

「うむ! そうだぞヘンリエッタちゃん! おれは冒険者として、もう一度、アクトさんが作ったギルドに、入りたいんだぞ!」


 いや、いやいやいやいや!

 ヘンリエッタは首を振る。だって相手は世界を救った超すごい勇者。


 そんなのが、自分の配下に?

 ただでさえ、今の天与の原石には、やばい連中がたくさんいて、手に余ってる状態なのに!


「う、うむ……どうして冒険者なんてするのだ? この村で、平凡な子供として生きる道もあるだろう」


 てゆーかぜひそうしてくれと、心の中で泣きながらヘンリエッタが言う。

 しかしローレンは屈託のない笑みを浮かべて言う。


「うむ! なんか知らないが、村の人たちからは『頼むからおまえは何もしないでくれ!』と言われてるのだ! 不思議だな、ケガも病気もしていないのに!」

「「ああ……」」


 ヘンリエッタたちは納得した。

 おそらく、ローレンはその身に、有り余るパワーを秘めているのだろう。


 なにかするだけで、ものが壊れるだろうし、パワーありすぎて村人たちも手を焼いているのだ。


「村の仕事はさせてもらえない。しかし何もしないのは心苦しいぞ。だから、村を出て冒険者をしようと思うのだ!」


 なるほど、周りが優しい人たちばかりなのだろう。

 そんな人たちのために、外に出て働き、彼らへの恩を返そうとしてるみたいだ。


 立派だ。

 そう、立派なのだ。だからこそ、


(こ、断りにくい……!)


 ヘンリエッタは内心で汗を流しまくる。断れない流れジャンこれと。


 そこへ。


「ローレン、おまえは天与の原石に入りたいっていうのかい?」


 ローレン母が語気を強めて言う。


「うむ!」

「そうか! いいことだわね! それがいい、ぜひともそうしたほうがいい! こんな狭い村にいるより、広い世界でその力を存分にふるっておいで!」


 存分にふるわないでほしい。世界が壊れる(比喩ではなく)。


 なにせこの超勇者、殺しても死なない。死んでも次の日に転生して生き返る。

 しかも0歳児にして村に出たモンスターを「おぎゃあ!」と一発大声で叫んで殺したらしい。化け物だ。


 村としてもこのパワーありまくりなローレンを置いとけないのだろう。

 そこへ冒険者ギルドのギルドマスターが来た。


 しかも並みのギルドじゃない。世界を救ったメンツを輩出した、大変優秀なギルドだ。

 きっと自分たちでは制御できなかった彼を、うまいこと使ってくれる、導いてくれるだろう。


 母はそう思って、送り出そうとしているのだ。決して追放ではない。決して。


「う、ううむ……いやぁ……」


 ヘンリエッタは、断りたかった。もうめっちゃ断りたい。

 今、ギルドには問題児がたくさんいる。


 規格外の力を持ちながら、その力を全く自覚していない薬師、リーフ・ケミスト。

 万物を召喚し魔神すら瞬殺する力をもってはいるも、定時になると必ず家に帰る、扱いにくい召喚士、キルト・インヴォーク。


 そこに、魔王を倒して世界を守った超勇者の転生体まで加わったらどうだろうか?


(わし心労でたおれちゃうぅううううううううううう!)


 頭を抱えるヘンリエッタは、矛先を変えてみる。


「い、イーライさんはどうかの? ミードの里でも人手が不足してるのでは?」


 しかし二人とも、さっと目をそらした。


「ぼくのとこは小規模ギルドで、これ以上の人員追加はちょっと無理ですね!」

「アタシんとこはほら、エルフじゃないとだめだからごめんね」


 ふたりとも、ローレンスには非常に非常に感謝している。

 なにせ魔王という最大の敵を、倒してくれたのだ。自らの命を引き換えにである。


 感謝はするし、彼のことは好きだ。

 でも彼を手元に置くのは無理だ。化け物っぷりを、誰よりも何よりも、元仲間たちは理解してる……。


 ……ということで。


「わ、わかり、ましたぁ……息子さんは、わしが、せ、責任もって、め、面倒みまぁしゅ……」


 断れるわけない。なにせ相手は恩人なのだから……。そして、父の友達なのだから……。

 断れるはずがない。


「うむ! ありがとうヘンリエッタちゃん! よおおし! これからローレンとして、ギルドの一員として、この力を存分に発揮するぞー!」


 おねがいやめて、ギルド壊れちゃう……と涙を流すヘンリエッタに、みなが同情のまなざしを向けるのだった。

【★☆新連載スタート!】


先日の短編が好評のため、新連載はじめました!

タイトルは――


『伝説の鍛冶師は無自覚に伝説を作りまくる~弟に婚約者と店を奪われた俺、技を磨く旅に出る。実は副業で勇者の聖剣や町の結界をメンテする仕事も楽々こなしてたと、今更気づいて土下座されても戻りません』


ページ下部↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!

リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。


https://ncode.syosetu.com/n6008ia/

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