180.勝利の雄叫び
超勇者ローレンスの一撃が、魔王ドストエフスキーを、完全に打ち砕いた。
彼の放つ斬撃の余波により、魔王城は完全に崩壊した。
吹き飛んだ天上から差し込むのは、ローレンスと同じ色の光り。
「…………」
ウルガーを含め、誰もが満身創痍だった。腕を欠損したもの、魔力を絞り尽くし立ち上がれない者。
そんなボロボロのパーティメンバーたちが見つめる先には、しっかりと立っているローレンスの姿がある。
彼は片腕と片足を失っている。
握っていた剣も塵と成って消えた。
だが……彼は立っている。
朝日に負けないくらい、輝く笑顔を仲間たちに向ける。
その瞬間、ウルガーたちは遅まきながら理解した。
「かった……?」
「そうですよ! 勝ちです! ぼくたち、勝ったんですよ!」
魔法使いイーライの言葉を皮切りに、メンバーたちは歓声を上げる。
みんながローレンスにかけよって、抱きつく。誰もが勝利をよろこんだ。
そんななかで、ローレンスがニコッと笑って、片腕を天に突きつける。
「アクトさん……!!!!!!!!!!!!!!!!!」
彼の大きな声が天に、空に、そして……宙に届く。
「勝ったぞーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
彼があげた勝ち鬨の雄叫び。
間近で聞いたウルガーたちはみな顔をしかめるほどの大音量であった。
それでも……。彼らは笑った。
きっとこの大きな声ならば、宇宙にいるであろう、彼らのマスターに届くだろうから。