170.勝機
【★☆★読者の皆様へのお知らせ★☆★】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
アクトが天羽を撃破して見せた、一方その頃。
地上、魔王の城にて。
「ば、ば、ばかなあ! そんな、ばかなぁああああああああああああああああああああああああ!?」
魔王となったドストエフスキーが叫ぶ。
驚愕。あり得ない事態に、ただ驚くしかない。
魔王の体に供給されていたのは、天羽からもたらされる無尽蔵の魔力。
それがあるからこそ、魔王ドストエフスキーは無敵でいられた。
どんな攻撃を受けても瞬時に再生できた。
超勇者とも互角に渡り合えた。
だが……今、天羽からの加護は……無尽蔵の魔力は、なくなった。
それはすなわち、勇者に対する優位性を失ったことを意味していた。
「やった、やった……! アクトさん! やったんですね!!!!」
治癒術士ルーナが希望に満ちた目を頭上に向ける。
先ほどまで瀕死状態だった勇者パーティの瞳に、今、希望の光が宿る。
「はは! そうだよねえ、ギルマス! あんたは、いつだってそうだ!」
「あたいらが無理だと思うラインを、軽々と超えていくんだ!」
「そう、アクトさんは……あくとさんは……う、うう……うわぁああああん!」
ウルガー、ミード、イーライ。
もう誰も立っていられないほど消耗しているのだが、しかし。
彼らはみな笑っていた。
なぜか? 簡単だ……。
「うむ! うむ! さすがだ! アクトさんっっっっっっ!!!!!!!」
ごぉおおおお! と黄金の魔力を立ち上らせるのは、勇者ローレンス。
彼もまた、死にかけていたはず。
現に、彼は片腕を失っている。
だというのに、彼は笑っている。
勝ちを、確信してる。そんな笑みだ。
「ありがとう、アクトさん! 今度は……おれの番だ!!!!!!!」
ローレンスは大剣を片腕でもって、切っ先を魔王に向ける。
「さぁ! 長きにわたる物語の、幕を引こうじゃないか……!!!!! 魔王ドストエフスキー!」