164.悪と悪の戦い
【★☆★読者の皆様へのお知らせ★☆★】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
黒幕 天羽との戦いは熾烈を極めていた。
やつは時を飛ばす異能を封じられてもなお、俺たちに立ち向かってくる。
向こうは能力がつかえず、徒手空拳での戦いを強いられている。
一方でこちらの異能は、敵の異能を封じることに大半を裂かれている状態だ。
条件は五分。
だが、こちらには一日の長がある。素手での戦いなら、俺の方が強い。
敵の打撃をいなし、カウンターを入れる。
やつの蹴りを見切ってよけて、腹部に掌底をいれる。
「やるじゃないかアクト君……! 魔眼を使わず、素手だけの勝負でここまでやるなんて!」
「組織の長となるものが、雑魚であるわけにはいかないからな」
俺は自分の目が、時王の目であると判明した後も鍛えてきた。
眼だけに頼っていたら、その眼が使えなくなったときに、誰も守れなくなる。
そんなのはいやだった。だから、俺は鍛えておいたのだ。
どんなときでも、仲間を守れるように。
俺の打撃はやつから体力を徐々に、だが確実に奪っていく。
天羽はすでに余裕をなくし、肩で息をし出した。
一方、俺はまだまだ余力を残している。
俺には、俺とフレデリカ、二人分の力が乗っているのだから。
「驚いたよ……特別な力を、時王の目を失って、ここまで君がやるなんてね」
『当然です。マスターはあなたとは違うのです』
フレデリカがきっぱりとそういう。
『天羽。あなたは確かに強い。けれどあなたの強さの源は、異世界から転生してきた際に与えられた力。つまり他者の力です。一方で、マスターは違った。与えられた力に頼りきりになるのではなく、己を鍛え、他者を救い、自分だけの強さを確立していたのです』
俺の蹴りを真正面から受けて、天羽が吹っ飛ぶ。
天羽は血を吐きながら、にこりと笑う。
「確かに……そうだね。ボクは成長していなかった。大いなる力をこの身にやどしてから、一度たりとも努力してこなかった。無才ゆえに努力し続けてきた君と、才あるがゆえにおごった、ボクとの差が、今ここで現れてるわけか……」
天羽はどこかうれしそうだった。
やつの心情を推し量ることはできない。
だが俺は手心を加える気は一切ない。
地上では、ローレンスたちが魔王との戦いを繰り広げている。
魔力供給源であるこいつを殺さない限り、地上に勝利は訪れない。
「降参するなら、楽に殺してやる」
「ふっ……ここで見逃してやるとは言わないんだね」
「当然だ」
天羽はにやり、と笑う。まるで俺からの答えを聞いて、喜んでるようだ。
「ああ……やっとボクは死ねるんだね……長かったなぁ」
そこには、どこか感慨がこもってるように思えた。
天羽は不死者だと言っていた。強大すぎる力を持つ故に死ねないと。
……もしかして、死ぬために俺を育てたのか?
……だとしたら、さみしいやつだな。
「おいおい、同情なんて今更してくれないでよ。ボクは悪人さ。自分の利益のために、他人を利用したんだから」
「……ふっ。なら、貴様と俺は同類だな」
きょとん、と天羽が目を点にする。
そして……腹を抱えて笑い出した。
「最後まで君は、そのスタンスを崩さないんだね……わかった。ではこれは、悪と悪の戦いだな」
「ああ。おたがいの信じる悪の道、どちらがより強いかの戦いだ。手加減など無用だ」
「だね……じゃあ、見せてあげるよ。ボクの、最後の一撃を!」
天羽の体からすさまじい量の魔力があふれ出る。ようやく、終わりが見えてきたな。
【★とても大切なお知らせ】
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タイトルは、
『天才錬金術師の私は気ままに旅する~世界最高の宮廷錬金術師、ポーション技術の衰退した未来の世界に転生し、無自覚に人助けをしていたら、いつの間にか聖女扱いされていた件』
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