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163.霊装の真価


 天羽との最終決戦。


 霊装れいそうをまとい、フレデリカの力を手に入れた俺は、敵を圧倒していた。


 天羽の使う、時飛ばしの能力が、俺には全く通じていない。


「そうか……からくりがわかったぞ!」


 天羽がにやりと笑う。それはいつもの、余裕のある、上にたつものの笑みじゃなかった。


 追い詰められた獣が、反撃の一手を思いついたようなそんな笑み。


「君は世界を凍らせてるんだ、瞬時に、僕が時を止めるその刹那に!」


「ど、どーゆーことっすか?」


 後ろで見てる邪神竜ヴィーヴルが、天羽の言葉に首をかしげる。


「おそらく、彼の霊装は、自動で発動する。僕が時を飛ばす動作をした瞬間に、カウンターとして、僕ごと世界をまるごと凍結させてるんだ」


「そうだ。貴様の能力がいかに無敵だろうと、能力が発動できなければ、貴様はただの非力なガキだ」


 フレデリカの霊装。


 自動凍結機能を持つ。任意での発動も可能だがな。


 天羽が解説したとおり、やつが能力を使うそぶりを見せた瞬間、やつより早く、やつ自身の時間を凍らせる。


「いやアクトさん……さらっていってますけど、世界ごと凍らせるってやばいっすよ……」


「フレデリカは神獣の一種だ。それくらいの離れ業はできる。もっとも……人間と同化してるときしか使えないみたいだがな」


 フレデリカ個人では発動できない絶技。

 なぜ人間が媒介として必要なのかは不明だ。


 だが……これで。


『ようやく、王手が見えてきましたね、マスター』


「ああ。あとは、やつを敗北まで追い込むだけだ。……無論、一手でもミスれば即おわり。ついてこれるな?」


『もちろんです、マスター。どこまでも、あなたのそばに』


「ふん……いくぞ!」

 

 俺の周りには無数の、氷のナイフが空中にとどまっている。


 これらはセンサーだ。やつの動きを自動で感知する受信機であると同時に、武器にもなる。


 俺は氷のナイフを手に宙をかける。


 この体になってから、物理法則から解放されている。


 人間が知覚できる速度を超えた速さで天羽に接近し、ナイフによる一撃を放つ。

 やつは動けない。反撃しようとした瞬間、自動凍結が発動してるから。


『わたくしのこの自動凍結は、正確に言えば、敵がこちらに向かって敵対行動をしたときにオート発動するもの。あなたはもう……我々に何もできない!』


 ナイフの一撃を避けられず、天羽は深いダメージを負う。


「ぐぅう……!」


 すぐに回復しようとする天羽。

 だがまた自動凍結が発動。


『無駄です。回復行為も、敵対行動に含まれます』


 俺はそこから二度三度と天羽を切りつける。


 やつは大汗をかいていた。


 だろうな。ここまで圧倒され、手も足も出ないんだから。


「天羽、投了を勧めるぞ」

「はっ……! 馬鹿言っちゃいけないよ。勝負は最後までわからない! 僕は……勝負をあきらめないよ!」

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