表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

162/229

162.凍る時《せかい》


 俺はフレデリカと霊装……一体化した。

 月面での、黒幕 天羽との最終決戦。


 この最後の戦いの場において、時王の目を失うという最大のピンチ。


 俺は仲間たちと、そしてフレデリカと紡いできた絆の力を武器を手に、やつの前に立っている。


「まさか君が、霊装を身につけるとはね。驚嘆に値するよ」


 天羽は……笑っていた。


 どこかうれしそうだった。妙なやつだ。

『ゆきましょう、マスター。やつを一刻も早く倒さねば、地上で超勇者ローレンスたちが魔王と戦っておりますゆえ』


「わかっている。魔王への魔力供給源でであるこいつを殺さないかぎり、ローレンスたちの勝利はない」


 ここで、決める。これが本当に、最後のチャンスだ。


 天羽はにやりと笑って俺たちを見やる。


「その意気やよし。だけどかなうかな? 時を飛ばせるボクに、君たちがどう立ち向かう?」


 天羽がまた能力を発動させた。


 時間を消し飛ばし、結果のみを残す、最強の能力。


 だが……。


「俺たちにはもうきかん」

「なっ……!?」


 俺は天羽の目の前にいる。

 驚いたやつの顔面に、拳の一撃をお見舞いする。


 どごん! という大きな音とともに、天羽がピンボールのように飛んでいく。


「あり得ない……確かに時は飛ばされた。君たちは止まったときのなか、動けなかったはず……」


 天羽がもう一度、時飛ばしを発動させる。


 だが結果は変わりない。

 俺は今度は、氷のナイフを使って天羽に切りつける。


「ぐっ……! なんだ……何が起きてる……理解せねば、未知を、理解せねば……!」


「どうした、天羽。いつも余裕のおまえが、今はすごい動揺してるじゃあないか」


 天羽は超越者だ。


 やつは長い長い時を生きている。その頭脳には様々な経験が蓄積されてるのだろう。


 そんな天羽にとっても、予想外の出来事が起きてる。


 生まれて初めての、未知に対する恐怖心を覚えてるのだ。


「こっちから行くぞ」


 世界が……凍り付く。


 何もかもが、凍結していた。

 天羽が微動だにしないなか、俺だけが動く。


 そして、天羽の体に氷のナイフを突き刺した。


「ぐああああああああああ!」


 ぶしゅっ……! と天羽の肩から血が噴き出す。


「ばかな……接近を知覚できなかっただと……!?」


「凍り付いた世界では、おまえも動けないのだよ」


「凍りついた……ま、まさか……!」


 天羽が呆然とつぶやく。


「君は……時を止めていた。否……時を、凍結させていたのか!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ