156.連携
俺の元にメイドのフレデリカが、助太刀にやってきた。
フレデリカはナイフを抜いて、創造主である天羽に、刃を向けている。
「ご主人様に刃向かうなんて、イケナイわんこだ。お仕置きだね」
天羽が、消える。
だが次の瞬間……。
がきぃんん!
俺の目の前にフレデリカがいて、2本のナイフをクロスさせ、敵からの攻撃を防いでいる。
「へえ! これを防ぐか!」
ぎりぎり……と天羽の手刀をフレデリカが押している。
また一瞬で二人が消える。
がきんっ! きんっ! がきんっ!
「す、すげえっす……! フレデリカ姉さん、あの天羽の動きに、完全についてけてるっす!」
ヴィーヴルが背後で倒れている。
駄犬をここまで連れ来てたことで、体力がつきてしまっているらしい。
「フレデリカ、5秒後に2時の方向」
俺がそう指示を飛ばす。
彼女はナイフを、俺の指示したとおりに投げた。
ざしゅっ! という音とともに……。
「やるじゃーん?」
血だらけの天羽がそこにいた。
ナイフが脳天に突き刺さっている。
「な、何が起きてるんすかこれ?」
「ふーむ、どうやらアクトくんとフレデリカは、視界を共有してるみたいだねぇ」
天羽がヴィーヴルの問いに答える。まだ余裕か。
フレデリカがツッコんで、天羽に突撃する。
「アクトくんの時王の目は、凄まじい動体視力を持つ、神の目だ。だがしかしアクトくんの肉体自体は人間の物。つまり、目に体がついていけてない。一方フレデリカは腐っても伝説の魔獣。フィジカルで言えば人間を遙かに凌駕する」
「そう! だから、マスターの目を借りて、わたしが戦うのです!」
神の目と伝説の魔獣のボディ、ふたつを会わせることで、やつと対等以上に戦えている。
「フレデリカ、3秒後に9時の方向。ブレス」
フレデリカが氷のブレスを放つ。
後ろから迫ってきた、無数の炎の矢を、フェンリルのブレスで凍らせる。
「いやしかしはんぱないね、アクトくんは。右目で僕の動きを読み、左目をフレデリカと共有する。常人では酔ってまともに立っていられないだろう。そこを耐えて、この運用ができるなんて……誰にでもできることじゃない」
「当たり前です、マスターは特別なんですから!」
天羽の動きを、俺のアシストを受けたフレデリカが凌駕する。
隙を突いて、フレデリカは天羽の眼球にナイフを突き立てた。
「はぁあああああああああああああああ!」
そのまま氷の魔力を、敵の体の中に直接流し込む。
すると天羽は一気に、巨大な氷の塊へと変貌を遂げるのだった。
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