149.超越者と再会
俺は月面にある神殿へと到着した。
ここには……すべての黒幕である、超越者の天羽がいる。
『アクトさん……』
魔族ヴィーヴルが心配そうに俺を見ている。ふん、何を心配してるのだバカものめ。
「貴様は外で待ってろ。貴様は馬だ。帰るための足を貯めていろ」
もとより俺は一人で、ケリを付けるつもりだった。
他にいると足手まといだからな。
けれど彼女は魔族の姿になって、俺の隣に来る。
「自分もついてくっす。アクトさんに比べたら弱いっすけど……でも、アクトさんの力になりたいので!」
……ふん。妙な女だ。危ない場所に自ら首を突っ込もうとするなんてな。
「勝手にしろ」
「うっす」
俺たちは月面の神殿の扉をくぐる。
中には罠のような類いは一切無かった。
「もっとこう……めちゃくちゃ罠とかあるんじゃないかって思ってたんすけど」
「この目があれば罠など見通せるからな、全部。だからやつは施さなかったのだろう」
俺も師事していたからこそわかる。
やつがどういう性格なのかがな。
やがて俺は最奥の扉の前までやってきた。
開くと……そこには巨大なホールがあった。
あちこちに本棚が置いてある。
山積みになった本の上に、天羽が寝そべっていた。
「やぁ、アクトくん。待ってたよ」
「天羽。久しいな」
髪の長い、中性的な見た目の男だ。
本の上で寝そべって、俺を見下ろしている。
「こんなところまでやってきて、いったいなんの用事だい?」
「茶番は結構。用件だけ伝える。手を引いて失せろ」
こいつが全部の悪事を裏で糸引いていたことはわかっている。
天羽が地下に帰ったら、おそらくは地上でバカやってる魔王なども機能停止するだろう。
「いやだね」
「なぜだ?」
「簡単さ。僕は人に命令されるのが、一番嫌いだからだよ」
「そうか。交渉決裂だな」
「え、はや!?」
俺は構えを取る。天羽は寝そべったままだ。
「俺は貴様を倒してでも止めさせてもらう」「やってみるといいよ」
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