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114.悪徳ギルドマスターvs悪神ドストエフスキー

書籍版ギルドマスター好評発売中です!




 俺はホームタウンに戻ってきていた。


「アクト・エイジ……なぜ貴様がここに……!」


 上空に浮かんでいるのは、白スーツの悪神ドストエフスキーだ。


 整った顔がくしゃりと怒りで歪んでいる。

「四天王の1人……西のステイシーを王都に襲わせたというのに!」


 先ほど王都は魔王四天王の1人の襲撃を受けた。


 それに応えるのは、上空に浮かんでいた邪竜ヴィーヴル。


『アクトさんに不意打ちが通じるとでも思ったんすか! 片腹痛いっすよ!』


 俺の持つ【時王の眼】。過去から未来を見通す最強の魔眼だ。


「この展開みらいも、読んでいたのか!?」


「どうした悪神? 声を荒らげて……以前にも増して小物感がでているぞ?」


 時王の目は強大な力を持つがゆえに制約も多い。


 任意発動させるためには莫大な魔力が要る。


 俺は西の四天王の襲撃を読み、ローレンスたちを王都に招集していた。


 こっちにも敵が来ることは……未来ではなく純粋に、悪神の思考を読んだだけにすぎない。


 連続して未来視を使えば、かなり消耗するからな。


「時王の目……どこまで先を読んでいる!?」


 だがこいつに全てをわざわざ語る必要は無い。


 心理的圧迫を与えることにもなるからな。

「マスター……」


 血だらけで倒れるフレデリカ。

 俺は時王の目を使って出血を止める。

 

 しゃがみこんで、彼女を正面からハグする。


「よくやった。よく……俺のギルドを守ってくれた」


「あ……ああ……」


 フレデリカの声が震えている。

 犬耳としっぽが出ていた。ふぁさふぁさと、うれしそうに動く。


「俺に言われるでもなく、貴様は自発的にギルドを守った。見事だフレデリカ。さすが、俺の最も信頼する部下だ」


「ますたー……ますたぁあああ…………!」


 わんわんと子供のようにフレデリカが涙を流す。


 こいつは俺の期待に120%応えて、みごとギルドマスターとしての仕事を全うした。


 ならば次は俺の番だ。


 俺が……代表として部下を守る番だ。


「き、貴様が1人来たところで、何ができる! わが憤怒の鉄槌を防げるのかなぁ!?」


 周辺に石の槍が無数に刺さっている。

 やつの部下が、遙か上空から攻撃を加えた結果だ。


「ヴィーヴル」


 俺は上空を指さす。


「俺が指示する場所にブレスを撃て」

『りょーかいっす!』


 俺は人差し指で空を指さす。


 石槍が目視できないスピードで振ってくるが、ドンピシャでヴィーヴルの竜の息吹ドラゴン・ブレスが炸裂した。


「なっ!? ば、バカな!?」


 俺は絶え間なく指示を送る。

 邪竜は寸分狂いもなくブレスで石槍を破壊した。

 

「すごい……あんな早い攻撃を、全て見切ってみせるなんて……さすがマスターです」


「ふざ……けるな! 人間の眼で追える速度を超越した攻撃だぞ!?」


「時を司る神の眼の前で、あんなチンケな攻撃なんぞ、止まってみえる」


 時の流れを読むことのできる時王の目は、桁外れの動体視力を保有する。


 たとえ未来を読まなくても、目で追えるならば攻撃を回避することも可能だ。


「だ、だが! 憤怒を倒さぬ限り無意味なこと!」


「愚者め」


 何かが上空から落ちてくる。

 激しい爆音を立てて、俺たちの前に……魔族が死体となって降ってきた。


「そ、そんなバカな!? 憤怒……なぜ!?」


 ドストエフスキーの部下である憤怒の魔族が、完全に事切れていた。


「あれだけバカみたいに遠距離攻撃をしてくれば、サルでも敵の位置を割り出すことが可能。あとはこの目で殺しただけだ」


 俺は【固有時間完全停止イヴィル・アイ】という、対象を視認しただけで即死させる技が使える。


「敵の攻撃を見切りながら……位置を割り出し、魔眼で殺したというのか……」


 ドストエフスキーは倒れ伏す自分の部下を見て呆然とつぶやく。


「どうした? 動揺しているぞ?」

「ば、バカな……! 私が人間なんぞに……動揺するわけがない!」


「そうか? ……ちなみに、俺の即死の術は1度使うと片目がしばらく使えなくなる。だが……」


 俺は無事な方の眼で悪神を見上げる。


「まだ、片目が残ってるぞ?」

「ッ……!?」


「青ざめたな」

「……この私が、人間を恐れるなど……あってはならぬのだ!」


 バッ……! とドストエフスキーが懐から拳銃ハンドガンを抜く。


「神を名乗る愚者が、そんな玩具に頼るとはな」


「黙れ……!」


 その瞬間、悪神は世界の時間を止める。


 ヤツは時間を停止させる能力があるのだ。

 一瞬で時間が止まり、動き出す。

 俺の周りには無数の銃弾があった。


 やつは時間を止めている間に銃を放ち、時間を動かしたのである。


 ……もっとも。


 俺は体内の時間を加速させ、超高速で体を動かしてかわす。


「無意味な攻撃だ」

「クソッ……!」


 再び悪神が時間を止めて、今度は直接始末しようとする。


 両手にナイフを構えて、俺に刃を振り下ろす。


 だが俺はヤツの拳を手で払う。


「なっ!?」

「遅い」


 俺は足払いして体勢を崩させ、ヤツの頬に拳をたたきつける。


「ぶげらっ!」


 やつが地面に顔をつけると同時に世界が動き出す。


「バカな……なぜ……!?」


「貴様自身に大した力が無いことは、前回のジャキ戦で予習済みだからな」


 世界の時間を止める、驚異的な能力をこいつは持つ。


 また、イランクスの時に見せた、他者に力を与える力もまた脅威。


 ……だが、それだけだ。

 こいつ単体の攻撃力はさほどでは無い。


「時間停止を未来視で読み、貴様が時間を止めるタイミングで俺の体内時間を加速させる。そうすれば……貴様はただの打たれ弱いだけのもやしに過ぎん」


 俺は落ちている悪神の拳銃を手に取る。


「いい銃だな」


 黒光りする拳銃を手に取って、俺は悪神に銃口を向ける。


「く、くそぉ……!」


 やつが時間停止させる。

 その瞬間、俺は銃口を明後日の方向へと向けて放つ。


 同時に3発。

 銃弾はやつの両肩と太ももの付け根を打ち抜く。


「連射もできるのか。いいなこれ。もらっておくぞ」


「ぢ、くしょぉ~……」


 地面に倒れ伏し、体から血を流す悪神ドストエフスキー。


『すごいっす……完全に悪神を圧倒してる……これが……アクトさんの力……』


 ふらり、とドストエフスキーが立ち上がる。


「これで……勝った気になるなよアクト・エイジぃ!」


 血走った目で俺をにらみつける悪神。


「次こそ……次こそは貴様を地獄に送ってやる!」


「なんだ? お得意の逃走か? やれやれ、芸が無いな」


「黙れぇ……!」


 やつが時間を停止させる。

 だが俺は体内の時間を加速させることはしなかった。


 否、必要が無かったからだ。


「逃がすと、お思いですか?」


 俺の背後に、ナイフを振りかぶったドストエフスキーの姿があった。


 ……ただし、ヤツは凍り付いていた。


「ご苦労、フレデリカ」


 体の傷を癒やし、人間の姿になった彼女が、俺の隣へとやってくる。


「ヴィーヴルがさっきから何もしないことに違和感を覚えなかったようだな」


 俺は邪神竜に、フレデリカの治癒を任せていたのだ。


 そしてアイコンタクトでフレデリカに、次に指示を出していたのである。


「どうせ貴様のことだ、追い詰められたらにげるだろう。だが貴様は腐っても神、ここまでコケにされて俺の前からおめおめにげるとは思えん」


 ゆえににげるフリして俺を殺すとそう踏んでいた。


 ……そこが、隙になった。


「間抜けな神も居たものです。それすらも、マスターの計算のうちだったというのに」


 俺はフレデリカから氷のナイフを受け取る。


 ヤツは驚愕の表情のまま、動けずにいる。

「にげようとしても無駄だ。氷魔狼フェンリルの氷は万物を凍らせる。たとえ神が相手だったとしてもな」


 俺たちの張った罠にまんまと引っかかった、間抜けな悪神の前に立つ。


 ナイフを振り上げて、魔眼に力を込める。

 俺の眼光をナイフの刃に移す。


「これで仕舞いだ」


 高速の一撃をたたき込む。

 ヤツは断末魔すらあげること叶わず、粉々に砕け散る。


「ふぅ……」


「さすがですマスター。いにしえの悪神すらも、」


 固有時間停止を刃に付与して一撃を放ったのだ。


 即死の斬撃となって、神を殺したのである。


 両目ともに、深いダメージを負った俺は、目の前がかすむ。


 くらりと傾く俺の体を、フレデリカが支える。


「お見事でした」

「いや……貴様の方こそ、見事だったぞ。よくギルドを守ったな」


 血でかすむ視界。

 だが俺はハッキリと、フレデリカの笑顔を見ることができたのだった。

書籍版GAノベルより好評発売中!

めちゃくちゃ頑張って書きました!

ぜひお手に取っていただけますと幸いです!

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[一言] あっさりしすぎて影武者かなぁ〜
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