第5章 魔力路の開通は結構大変
誤字のチェックをしていたら日付をまたいでしまった…まだセーフ?
「魔法を使えるようになるためには体の中にある魔力路を開放する必要がある」
「魔力路…」
「魔力路は生まれたときは閉じているが、あるものを飲むことで解放される。この世界では物心がついた時には開放しているのでそこまで強くはないが、慧殿は魔力数が大きすぎるため暴走する可能性がある」
魔力数10万ってメリットだけかと思っていたが、そんなデメリットもあるのか。
「暴走したときは…ジャッカルさんが何とかしてくれるのかな?」
「そうだ。しかし、できるだけ自分で制御してほしいとも思っている。魔法は今後の慧殿の生活で大きな助けになるものだ」
だよなぁ…自分の力に振り回されて自滅したんじゃ意味がない。
「もし魔力が暴走しそうになったときは意識を集中するんだ。自分の中の魔力を感じ、制御するイメージを持ってほしい」
「わかった」
覚悟はできた。あとはなるようにしかならない。
「これを噛まずに飲み込んでほしい」
そういってジャッカルさんに渡されたのは少し大きい飴程度の大きさのなにかだった。
「カリオの実という。飲み込むことで自身の中にある魔力を全身に循環させようとする効果がある」
「これを飲んで俺の魔力を全身に循環させることによって、閉じている魔力路を無理やりこじ開けるってことか」
閉じていた蛇口を開けて水を流すみたいだな。
ただ水道管となっている俺の魔力路が漏水したときはあまりいいことが起こるとは思えないな。
「男は度胸、いくぜ!」
俺はそれを受け取り、一息に飲んだ。
「…?何も変化なんてっ!?」
ドクン!!
なんだこれ…
ドクン!!
体が…熱い…!
「あ…が…」
思わず机に体を預ける。
くそったれっ、視界がぐらついてきた…!
「慧殿!自分の中にある魔力を感じるのです」
「んなの…言われなくても…わかってるよ…」
全身の血液が沸騰しているみたいだっ!
何が蛇口に水を流すだ!今にも決壊寸前なダムみたいなもんじゃないか!
落ち着け…意識を集中するんだ…
『慧…瞑想とは己と向き合うことなのです』
くそ、走馬灯まで見えてきやがった!
『慧、瞑想とはただ集中することではありません』
『でもめをつぶってできることなんてそんなにないよ?』
これは俺の幼いころ、まだ父さんが生きていた時の話しだ。
テレビで見たヒーローの剣術がかっこよくて、剣道をしていた父さんに教えてほしいとねだった時のことだった。
小さい竹刀を振り回すのは楽しかったが、終わった後の瞑想は苦手だった。
『慧…瞑想とは普段できない自分と向き合う時間なのです。内臓、骨、血液、血管など普段生きているとき当たり前に動いている物たちと会話することができる時間なのです』
『おとうさんのいっていることぜんぜんわからないよ…』
『慧がこうやっていろいろできるのは体の中のいろんなものが頑張っているからなんだよ。瞑想の時はそれをより感じることができる』
なんで今こんなことを思い出すのだろうか…
「そうか…魔力も魔力路も俺の体の一部…」
「慧殿!?」
椅子の上で瞑想の構えをする。
暴走しようがどうしようが魔力は俺の一部だ。
だったら瞑想することで魔力を掌握し、制御することだってできる!
「…………」
「!?これは…」
瞑想することで意識が澄み渡る。
「…ここだ!」
体の中にある暴れる魔力…これを全身にいきわたらせる!
「素晴らしい…今にもあふれ出しそうな魔力を見事に制御することができている」
「くそっ…ふざけやがって…生きてきた中で一番気分が最悪だ…」
その言葉を最後に俺の意識は闇に消えた。