第23章 シャール防衛戦Ⅶ
引き続き連続投稿です
「勇者殿、よくぞ持ちこたえてくれた」
アグニスの拳は一迅の風で防がれた。
「お、おまえは…!」
「スパーダ王国近衛騎士団長ジャッカルだ。よくも私の仲間を傷つけてくれたな」
そこからはジャッカルさんの一方的な展開だった。
「お前の結界魔法は見事だった。この私ですら気づくことが出来なかった。だが先ほど勇者殿の一撃でほころびができたのが運の尽きだな」
「くそ!くそ!!万全な状態なら!!!」
そういいながらアグニスは後退する。
「勇者、そしてジャッカル!覚えておくがいい、次会ったときは…殺す!」
アグニスは地面に石を叩き付けるとその姿は忽然と消えた。
「転移魔法か…」
ジャッカルさんはそう呟いていたが、俺は残る力を振り絞ってある場所に向かう。
それは血だまりに倒れるライヤーさんの元だった。
「ライヤーさん!ライヤーさん!!しっかりしてくれ!!!」
「…なんだ…勇者殿じゃないか…」
生きてた、生きてた!!
「だが悪いな勇者殿…いや、慧…俺は…眠いんだ…」
「!?寝ちゃだめだ!今回復の魔法や薬を…」
急いで持っていたポーションを探す俺の手をライヤーさんが握る。
ライヤーさんは首を横に数回振った。
「でも…でも!!」
「最後に…いくつか…話させてくれ…」
かすれた声でライヤーさんが言う。
「慧…お前は…まさしく勇者だ…さっきの一撃にその剣…お前ならこの世界を…救えると俺は確信した」
「そんな…俺は…こんなにも弱いのに…」
そういった俺の頭を右手で優しくなでる。
「たとえ今は弱くても…お前は強くなれる」
俺のことをなでる力が徐々に弱くなる。
「ライヤーさん!ライヤーさん!!」
「騎士団のみんなには『ありがとう』…『あとは任せた』と」
「ああ、私が皆に伝えておこう」
ジャッカルさんも近くに来ていた。
「ジャッカルさん…あんたたちに会えて俺は…幸せ…だ…」
そういって俺の頭からライヤーさんの右手が滑り落ちた。
「あぁ…あぁ…あぁぁぁぁ!!!!」
その場で俺は…泣き崩れた。




