第20章 シャール防衛戦Ⅳ
1話の長さが安定していないのが本当に心残りです…
「にしても…ここまでの集団で魔物が進行してくるのは久しぶりだな」
「そうなんですか?」
「ここまでの魔物が集団で来るなら、それをまとめる魔族がいるもんだが…今回はそんな形跡がなかった」
魔族というのが魔物の上位種族なのだろうか…
「その辺の調査も落ち着いたらやらないとな…」
「近衛騎士団も大変なんですね…」
仕事が多岐にわたり大変そうだ。
「とりあえずある程度体力が回復したら簡易ベッドで休んでも…」
ライヤーさんが話している最中だった。
ドォォォォン!!!!
俺たちの近くに何かが落ちた。
「「!?」」
俺とライヤーさんが一緒に立ち上がり武器を構える。
「ほぅ…あれだけいた魔物をこの短時間で討伐することが出来るとは…なかなかやるようだな」
そこにいたのは…俺の身長の二倍ほどある赤い魔物だった。
一見すれば先ほどまで戦ていたゴブリンに似ているかもしれない。
だが、先ほどまで戦っていたゴブリンとはまるで格が違う。
「おまえは…なにものだ」
ライヤーさんが震えた声で問う。
「我が名はアグニス…魔王四天王の一人だ」
「四天王!?」
ライヤーさんが驚いた声を上げる。
にしても初戦闘の後に四天王登場とは…
「この街にあると思われる聖剣を破壊しに来たのだが…下等な魔物では無理だったか」
のんきに目的を話すアグニスは隙だらけなように見える。
だが…斬りかかった瞬間真っ二つになるのは自分であるとわかってしまう。
それだけアグニスは圧倒的だった。
「へぇ…この街に聖剣があるなんて俺たちも知らなかったぜ」
「あくまで推測だがな…この街には聖なる力が守られていた。だから我がその守りを破壊して侵攻した」
このアグニスにはその力を破るだけの力があるということか…
「にしても…そこの小僧、お前…」
「…な、なんだ」
唇の震えを抑えようとしながら返答する。
「いや、気のせいか…とりあえず貴様らを殺し、聖剣を見つけ出す」
そういってアグニスは手を合わせる。
すると、その手にはメリケンサックがはまっていた。
「!?慧!下がっていろ!」
「…ぐぅ!!」
ライヤーさんに突き飛ばされる。
その力も使いながら俺は10メートルほどの距離を取ることが出来た。
俺が先ほどまでいた場所を見ると…
「ほう…我の一撃を止めるか」
「魔法で強化してても抑えるので精一杯か!」
ライヤーさんがアグニスの拳を大剣で受け止めていた。
「なかなかいい剣を持っている。だが、お前自身はどうだ?」
「そうだな…俺が持つには部不相応な剣だってことはわかっているよ。だが!」
大剣に炎をまとい、拳をはじき返す。
「この剣にふさわしくなるための鍛錬を欠かしたことはない!『ファイヤースラッシュ』!」
以前俺に使った技を繰り出す。
以前は地面をえぐるほどの威力だったが、その時よりもより大きい斬撃だった。
それを……アグニスは片手で止めた。
「火の魔法か…相性が最悪だったな。俺の力も火に由来するものだ」
「くそったれ!」
渾身の一撃を止められたことに悪態をついたライヤーさんだったが…
「火の本当の使い方を教えてやる…『獄手』」
先ほどまでアグニスがいた場所から『消えた』
ガァァァァァン!
「ぐわぁぁぁ!!」
気づいたらライヤーさんが吹き飛ばされていた。
先ほどまでライヤーさんがいた場所には正拳突きをしたアグニスがいた。
「何とか剣でガードすることに成功しているか…なるほど」
アグニスは笑っていた。
獰猛な動物が獲物を見つけた時のような表情だった。
「ガードしてても…これだけのダメージは…ちょっとやばいな」
吹き飛ばされた先には、大剣を杖代わりにして何とか立っていることが精いっぱいな様子のライヤーさんがいた。
「ライヤーさん!」
「慧!今すぐジャッカルさんを呼んできてくれ!」
ライヤーさんは俺に言う。
「でも…」
「今のお前が敵う相手じゃない…もちろん俺もだ。だがジャッカルさんなら何とかすることが出来る!俺が何とか時間を稼ぐから…早く!」
文字通り決死の覚悟でライヤーさんが時間を稼ぐと言っているのだ。
なら俺はそれを遂行するだけだ!
「どこを見ている?」
「え…」
目の前にはアグニスがいた。
次の瞬間には俺は地面にたたきつけられていた。
「がはぁ!!」
俺の意識が急速に遠ざかる。
「慧!くっそぉ!!」
ライヤーさんが近づいてきているような気がする。
だが、俺は意識を保つことが出来なかった。




