第10章 一日の中で一番命の危険を感じた瞬間
書き溜めが尽きてしまった…またストックせねば
「私はリセス様のお世話をさせてもらっているシーラというものだ」
「…お世話係のシーラさんがいきなり俺ののど元にナイフを突きつけるのはどういったご用件ですかね」
せめてもの強がりで俺は返答する。
「先ほどまでの話しは聞かせてもらった。リセス様の美貌を前にしても間違いを起こさなかったことは褒めてやる」
「なるほど…」
つまりこの人は俺がリセス様に何かしないか見張ってたってことだな。
だが、まったく気配を感じなかった。
このシーラとかいう女は何か気配を遮断する魔法を使っていたのだろう。
是非とも覚えたい魔法だな。
「リセス様は素晴らしいお方だ。どんなものに対しても優しく接して下さる。それはかつてリセス様自身を暗殺しようとした私に対してもだ」
ん?なんだか雰囲気が変わったぞ。
さっきまでの暗殺者らしいクールな感じから、惚れた相手のいいところを説明する『恋してます』な感じに…
「あの黄金色に光る髪が太陽に照らされ、そんな中私のことを呼ぶリセス様…それはまるで女神のような…」
「あのー…それはのど元にナイフを突きつけられながらじゃないとできない会話ですか?」
いい加減ナイフの冷たい感触を首に感じるのを卒業したい。
「はっ…そうだったな、今回は何もしなかったからいいが、リセス様に何かしそうになった時は…勇者であろうとただではおかん。覚えておくといい」
つまりは忠告しに来たってわけか。
「相手は王族だぞ?そんなことするわけないだろう」
「だが、リセス様と話している途中から、お前の目は怪しい光が灯っているように見えた」
ジェイドに対する復讐を話していた時にことか…
「あの光を灯していた者の行動は、時として損得勘定を無視して突き進むことが多い。今はリセス様に対してではなかったが、いつそうなるかわからないからな」
そういってシーラは俺の首もとからナイフを離した。
「これは忠告だ。私はリセス様の剣であり盾である。今後リセス様と関わる際は私が見ていると思え」
そういってシーラは俺の前から姿を消した。
それは比喩表現ではなく、本当に目の前から消えたし気配も感じない。
魔法を極めていけばこういったこともできるのか…
「にしてもリセス様に対する思いは忠義だけには見えなかったが…大丈夫なんだろうか…」
絶対に裏切りはないだろうが、少し心配だ。
「とりあえずやっと一人になることができた…か。もう寝よう」
そういってやっと俺はベットの中で眠りにつくことができた。




