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◯◯が◯◯シリーズ

兄が嫌い

作者: 腰光

 私は三人兄弟の末っ子である。私が嫌いな兄とは長男のことだ。そんな兄が嫌いな理由と愚痴を文章にしたいと思う。


 兄と私は歳が八つ離れている。これだけ離れていると、子供の頃など喧嘩の相手にもならない。理不尽な暴力も受けた。それが嫌いな理由かと問われれば、当時はそうだったと答えるかもしれないが、大人になった今では――心も大人になっている自信はない――子供の頃のことで済まされる記憶である。

 

 私が社会人になると八歳というのも子供の頃と比べて差がないものと感じられる。つまり、兄と私は対等に話や行動ができる間柄になったということである。そのうえで私は兄が嫌いである。そうなった事象の一例を以下に述べる。


 私が和歌山に、兄が大阪に住んでいた頃、私は友人に会うために大阪に電車で出かけていた。

 大阪についた頃、兄から電話がかかってきた。内容は今日、兄の家に来るようにとのことだ。終電で帰ろうと思っていた私は兄の家に泊まらなくてはならないので、少し厄介だと思っていたが、大阪に来ることも少ないので了承した。ただ、友人と約束があるので、十時か十一時頃になると伝えた。


 飲み会を大いに楽しみ、友人と別れたとき夜の十一時頃だった。これから兄の家へ向かうことを伝えようと、兄の携帯に連絡を入れた。すると、兄は「ふざけるな、遅すぎる。俺はもう風呂に入って寝る頃だ」と激昂していた。

 なぜこれほど怒られなければならないのか。時間は伝えていたはずである。そのときは「わかった」と短いけれども了解していたはずなのに、この変わりように俺は驚いた。――第一理不尽ゾーン


 しかし、終電はもうないので、なぜか頼み込む形で兄の家に向かった。兄は寝ているかもしれないので、また怒られるのかとインターホンを押した。

 しばらくして出てきた兄はまだ部屋着である。部屋は煌々と電気がついており、私が持っているのより少し大きいTVにはゲームの画面が映し出されている。そして、部屋に落ち着いた俺にこう言ったのである。「風呂入れてないから入れといてくれ」

 おかしいではないか。電話では風呂に入って寝るところだと言っていた。それがどうだ。これから徹夜でもしちゃおっかなというような状態ではないか。ぽかんとした俺に気づかずに兄はゲームをしていた。――第二理不尽ゾーン


 しかし、兄が長男特有のばりばりわがままな性格なことはわかっている。私は風呂に湯を張り、兄に風呂が沸いたことを伝えた。兄はゲームを相変わらずしていたが、中断して風呂に入っていった。

 しばらくして、兄が風呂から出てきたので私も風呂に入ろうと浴室に足を踏み入れた。そして唖然とした。風呂の湯が抜かれていたのである。兄は私に風呂の湯を入れさせ、自分が入った後はお湯を抜いたのである。仕方なくシャワーで済ますこととなった。――第三理不尽ゾーン


 兄の部屋に泊まり、次の日の朝には用事があるからと言って、部屋を追い出された。結局何の用もなかったのに呼び出されたようだった。

 駅に向かっている間、街を眺めながら、兄がもっと良いところに引越したいと言っていたのを思い出した。途中の街並みがとても良い雰囲気だったので、兄に候補地としてどうかとメールを入れた。すると、しばらくして返信がきた。「そんなつまらんことで、いちいち連絡してくるな」――第四理不尽ゾーン


 本当にむかつく兄である。理不尽の塊である。実家に帰ってくるたびにわざわざP●4を持って帰ってきて、TVを占領するような兄である。も●クロの追っかけをして、俺にまでチケットを取る手伝いをさせる兄である。


 おわかりでしょうが、そんな兄と私はとても仲がよい。




 

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