表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sick syndrome. ②  作者: AKIRU
1/1

移動

三浦と名乗った青年に言われるまま、弦は片腕のない女性と一緒に、彼に着いていった。

行き先は古い一軒家だった。

枚方弦(ひらかたゆづ)は、黒いポロシャツを着て黒のジーンズの三浦を、目立ちたくないネクラタイプかと思った。

「白のバイク格好いいね」

森に囲まれた公園を横切り、アスファルトの県道に出た。

「貰いもんだ」

三浦は歩幅を普段より狭め、MTBを押しながらゆっくり歩いた。三人が縦一列に進む歩道の横は、二車線の道路で、乗用車やトラックが渋滞気味に走っていた。

 勾配のある橋を渡っていると、薄川(すすきがわ)からぬるい風が吹きあがった。

「きゃっ!」

風に煽られた弦のスカート。

悲鳴をあげたのは弦の鞄に掴まって歩いていた女性の方だった。

「あれ?スカート穿いてたんだ」

「オマエさぁ、女の自覚あるのか?」

顔だけ振り返った三浦が、膝上15センチのスカートの裾に一瞥くれた。

「自覚…?」

弦は足を止めた。腰を左右にくねらせ、スカートを揺らしてみる。

「だいたい、大学生が何でそこの私立高の制服着てるんだよ?」

「あ、どっかで見たことあると思ったら、あそこの高校の制服かぁ」

弦は納得したように、三浦に追いついた。

「公立高は私服だから、私も私立の制服に憧れたわ」

笑顔でいう彼女に、弦は曖昧にうなずいた。

「確か、明日はこの辺のお祭りで、花火が上がるわよ。浴衣着ればいいじゃない」

「ん…、浴衣や着物は着たことがないです」

弦は苦笑いを浮かべ、浴衣の記憶がないことを反芻していた。

「でも、せっかくだし、簡単だから着てみたら?」

二人の浴衣談義をよそに、三浦は神社近くの小路を左折した。そのまま奥へ進み、少しするとマウンテンバイクを横づけした。

趣のある一軒家だ。

「会わせたい奴がいる」

三浦は鍵のかかっていない扉を開けた。

「奥にいるはずだ。遠慮なく涼んでろ」

「はぁ…」

有無を言わせない空気に、二人は言われたとおり、玄関で靴を脱ぎ揃えた。

一番手前の扉がこれみよがしに開け放たれ、ソファーとテーブルが並んでいた。テレビやエアコンなどの類いは見当たらない。

 弦は何とはなしに足を踏み入れ、ためらいがちな彼女を呼び入れた。

「この部屋、寒い…」

彼女は青ざめていた。

「体調悪くなっちゃいましたか?」

弦は慌てて彼女の額に手をあてた。と、その冷ややかさに飛び退いてしまった。

 冷たい

 体温が、ない

 まさか、 

「あ、あの、あの…」

公園で感じた違和感。

だからと言って、さっきまで笑いあった彼女に、手のひらを返すような真似はできなかった。

「オマエ、ひとりで何してんだ?」

「え?」

弦は弾かれたように顔をあげた。

いつから戸口に立っていたのか、三浦は空のペットボトルを握っていた。

こんなに短く区切っていいのか?

ってくらいのテンポです。

苦しくて申し訳ありません

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ