第7話
今回は短いです
一応チェックはしていますが、誤字脱字や余計な文字が多かった場合の報告を感想にて受け付けております。
「……広いなぁ」
ボクは実技試験のために競技場まで来たのだが、それがかなり大きい。それはもう、スポーツコートのサッカー用が3面、テニス用が5面、野球用が3面、陸上競技用が6面、そのほかにも、バレー、バスケ、アメフト、なんか見たことないようなスポーツ用の場所など、ほかにも様々なスポーツ用コートとそれらを全て足したのと同じほどの面積がある何もない場所。本当に広い。王都の中のはずなのに。
《この学園の面積は王都の約3%です》
これだけ広くて一割にも満たないのか。すごいな、王都。ところで気になったんだが、あの何もない更地とか知らない競技用の場所、あれはなに?
《あれは魔法練習用と魔法スポーツ用です。どうやら、ハリーポ○ターが箒に乗ってやっていたスポーツを元に再現したようです》
へぇ、きっとその人は一生をアニメや映画のカッコイイシーンを再現し続けたのだろう。
《大方あっています》
やっぱり。
そんなこんな色々見ていると試験官が来た。
「これより実技試験を開始する!ルールは単純、あそこにある的に魔法を当てればいい。受験生は自分の100の位と同じ数字の看板が立ってる試験官のところに並んでくれ。それと最後に、自分のできる限界の魔法をぶっ放せッ!!」
「「「はいっ!」」」
みんな気合入ってるね。ボクは357番だから並ぶのは3かな。みんなの魔法を見て最高威力だった人の3倍くらいの難易度の魔法にしておこう。
別に目立つのが嫌というわけではないからね。寧ろ下手に目立たないように行動してるから中途半端な情報が漏れて結果的に目立つんだよ。苦労して隠しても能力がある人は嫌でも目立つんだから気楽に構えてようとボクは思う。
そんな事を考えていると……
ドゴオォォォオオオォォン!!
バチバチバチバチバチ!!
ザァバーーーン!!
ゴゴゴゴゴ!!
ビキビキビキビキ!!
おぉ、始まった始まった。ある者は大規模な爆発を、ある者は雷の如き電撃を、ある者は水が無いところに池を作り、ある者は地面を割り、またある者は大樹を生やす。中級魔法を使っている様だ。8歳にして中級を使うことはとても難しい。今回の試験は中々にみんなハイレベルだ。日本だったら災害クラスの魔法を撃って倒れてる。MP切れだろう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「次の方」
どうやらボクの番のようだ。
「それでは貴女の使える魔法を見せてください」
取り敢えず中級の火魔法にしておこう。
「はい。《蒼炎柱》」
炎柱は炎を上方向に細長く作る魔法で、柱に見えているだけで実際には渦巻いている。
「なっ!?」
試験官の人が驚いた。それもそのはず、ボクの炎柱は青いのだ。この世界で言う所の詠唱改造でMP消費を多く消費する代わりに温度だけを上げて青い炎にしている。ただ、この世界の人は、温度によって炎の色変わる事を知ってる人は少ない。偉い学者さんは過去の異住者に齎された知識で知っていても、一般的にはあまり知られていないのだ。そして、この試験官も魔術実技の試験官をしてるぐらいには魔法に詳しいが、科学知識は乏しいようである。
さらに言えば、無詠唱で発動させた事も試験官の驚きに拍車をかけているのだろう、
「あ、貴女!なんで青い炎が使えるの!?しかも無詠唱で息一つ切らしていない……貴女、一体何者?」
「ボクですか?ただの貴族家の次女ですよ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
まぁ、魔法の実技とは言っても使える魔法とその魔法の平均と比較しての+と−、魔法使用後の残存MP量を計るだけである。ボクが使った《蒼炎柱》は今のボクのMP量なら後150回は打てる。この程度ならなんてことはない。
これで、試験は終了。結果発表の2週間後までに地形把握を兼ねた観光……ではなく、観光を兼ねた地形把握をしよう。
一週間後
今日は王城で7歳の子の社交界デビューの日だ。勿論、ボクも今年7歳なので出席する。まぁ、正直に言えば然程気負う必要はない。王城でのパーティと言っても、親達の情報交換と子供達の社交ダンス位しか無いのである。さらに言えば、ダンスのステップが前世と然程変わらないので30分で完全に覚えられた。
閑話休題
パーティが始まって約10分、父さんの近くで父さんの友達に紹介されていると……
「あ、あの……踊っていただけませんか?」
「喜んで」
男の子が初々しくも頬を少し赤くしてダンスのお誘いに来た。なので、淑女らしく少し微笑んで返事を返した。
パーティ終了後
「サーシャ、初のパーティはどうだった?」
「はい、楽しかったですよ。でも何故か、お誘いに来た男の子が全員顔が赤かったのが気になりましたね」
「は、はははは……」
父さんがなぜか乾いた笑いをしていた。
さらに一週間後
今日は合格発表の日だ。父さんと一緒に来てみたわけだが……
「やったなサーシャ、本当に主席を取るとは。お前は我が家始まって以来の天才かもしれんぞ」
父さんが大きな声でそんなこと言う事を言うもんだから周りがざわっとして、次の瞬間には此方に視線が注がれていた。
「と、父さん……声のトーンを考えて下さい」
娘が主席になったのが嬉しいのは分かるが、少々場所や人の多さを考えて欲しかった。
「合格したことも分かったので帰りますよ、父さん」
「ちょ、ちょっと待て!私が悪かったから!」
「別に、怒ってませんから?」
笑顔でそう言ったのに父さんはなぜか先ほどにも増して謝って来た。謎だ。
本話も読んで頂き誠に感謝です。
さて、後半の『父さんがなぜか乾いた笑いをしていた。』って所は元男故に惚れられてる事に気付いてない事を表現したかったのです。