1、邂逅
「さて、さよなら、世界。」
遺書を書き上げた僕は、その液体を飲んだ。
タバコ20本分のニコチンを水に溶かした液体だ。
致死量は1mg/kgだというから、十分な量だ。
当然の如く、僕はあの世へ旅立った。
思い出があふれてくる。同時に、物書きでもあった僕の書いてきた物語も。
夢から着想を得ていろいろな小説を書いた。
…あれ、なんでだろうな。
死んだはずなのに、考え事ができるなんて。
そう気づいた僕は、大の字になって倒れていた。
知らない場所で、大の字になって倒れていた。
転生、というヤツなのだろうか?
だとしたら、前世の記憶が残ったままというのは妙な話だ。
僕は、僕が描いてきた小説のことを思い返す。
僕の物語の主人公たちは、当然なのだが恵まれている。
しかし、今の僕が恵まれているかと言えば、そうでもないと思う。
見た目は変わっていないと思うし、みょうちきりんな能力だってもって居なさそうだし。
はて、転生した意味ってなんだろうな。
そう思った僕は、とりあえず立ち上がって周りの様子を眺めてみた。
森。そうとしかいえない。森でしかない。なんてこった。
お誂え向きにロープかなんかがないかと探したが、ロープはおろかツタすらも見つからない。
困った。楽に死ぬことすらできなさそうじゃないか。
と、言うわけで、
とちゅうです