魔術師の秘め事
『魔術師の秘め事』
俺はセロ。職業は魔術師。人は俺のことを完遂魔術師と呼ぶ。
依頼を受ければどんなもので遂行する。
失敗なし。成功率100パーセント。
そしていつしかついた渾名が完遂魔術師セロ。
だがどんなにあがめられても俺は顔には出さない。
いつでもどんな時でもクール&スタイリッシュに対応する。
それが俺の哲学だ。
依頼をこなせばこなすほど、俺の名は売れ、今では依頼者が後を絶たない。
困ったもんだ。いや。本当はうれしい。すごくうれしい。ありがとう。
だが俺は顔には出さない。
いつでもどんな時でも、マイ哲学クール&スタイリッシュで対応する。
今回の依頼は魔物の巣の一掃だ。
仲間の戦士と僧侶と一緒に行く。
戦士のゴンくんは強い。ゴツい体からのパワフル攻撃は本当にすごいと思う。
顔も体に似てゴツゴツしているので恐がれることが多いのが気の毒だ。
でも根はいいヤツだ。早く彼女ができるといいな。
僧侶のサマンサさんは頭のいい人だ。
いつも冷静で的確な指示をくれる。
クールキャラってところで俺とかぶっているのが気になるけど、いい人だ。
初めて会って年齢を聞いた時は驚いた。
そんなに? と思った。
俺はもちろん顔には出さなかったが、サマンサさんの眉がピクリと動いたのがわかった。
これはもう女性特有の感というもので感づいたのだろう。
女の感こわい。気をつけよう。
魔物の巣は深い森の奥にあった。
道中も虫がいっぱい出てイヤだった。
俺は虫が嫌いだ。魔物退治も本当はイヤだ。
熊サイズのムカデとか出たらきっと気絶する。
今日も出なかった。よかった。
いやまて。油断するのはまだ早い。
なんせ本番はこれからだ。
魔物の巣の中で巨大昆虫が待ちかまえている可能性は高い。
ああ、イヤだ。帰りたい。でも依頼受けちゃったしなー。やるしかないよなー。
がんばろう。大丈夫、俺ならできる。よし、やるぞー!
「いくぞ」
俺はいつものクール&スタイリッシュ対応で二人に向かって一言だけ言うと巣窟の中へと入っていった。
「あいつ顔は無表情だけど全部口に出てるんだよな」
「バカなんでしょ」
後ろの二人の会話も知らずに。




