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女王
私は毎夜、女王に出会う。
それは微睡みの奥に潜む女王で、私の慕情と罪悪がはち切れんばかりになったとき、彼女は独り私を抱き留めてくれる。
女王は暗闇の中、私の瞼の裏で優しく私を殺し、慰める。
薄紅梅の靄がかかった世界で、女王は私の頭を撫ででくれる。私は児のように、その膝に縋る。
が、彼の女王は非情である。
私の中の絶対な神を、私を赦すことで、甘い言葉の虚ろな熱で無慈悲に溶かそうとする。
私は一時それでもいいかと誘惑されて、いややはり駄目だと思い直して心を致す。
私は彼女の黄金色の眼に抗って、薄紅梅の風景を、その都度暗闇へと落としていく。
* * * * *
冷たい夜明け、私は女王だった物から名残惜しく身を引き剥がし、現世へ踏み出す。
女王はもうそこにはいない。
今宵会えるかも分からない。
私は魅力的な女王に後ろ髪を引かれながらも、また始まった一日のために支度をする。
しかしあの温かな布団は、また私の女王となる夜を待っているのだ。




