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暴走

 まだ仮定でがこれまでの説明はつく、速度の上昇ならあの攻撃を裂けられなかったのはおかしい。とにかく、これで攻撃手段が見つかった。反撃だ。


 今までと逆、慶がミオグワンに向かい走りこむ。前の攻撃が効いているのだろうかミオグワンの反応が遅れる。そのまま拳をミオグワンの顔面に繰り出す。拳が触れたと同時に吹っ飛ぶ。全長5メートルは超えるであろう巨体が宙を舞った。


 勝てるぞ。 勝利の兆しを感じミオグワンが飛んでいった方向へ足を動かす。


 鳴き声を喚きながら慶の攻撃が届かないであろう位置まで飛ぶ。


「また、舌で攻撃するつもりか、もう通じないぞ」


 慶の表情からは余裕すら感じられる。異世界に来て初めて魔物に対し優勢を保っている。


 上空からは規則的な音な音が聞こえる。ミオグワンは空に留まるとただ翼を羽ばたかせている。舌を伸ばし上空から攻撃する様子は見受けられない。


 何かくるのか?何か仕掛けてくるのは明白だが、本来の目的は時間稼ぎここで無理に仕掛ける必要はないと判断しミオグワンの奇妙な行動を見守る。


 ミオグワンに変化が起きたのは数分後、鮮やかや黄緑色だったのが徐々に濃い緑色に変化していく。更に変化はそれだけではなく羽が抜け落ちる。


 何をしているのはわからないが色の変化はともかく羽が抜け落ちるなどいくら魔物だろうと相当なリスクなはずだ。つまり、それだけの強力な効果が見込まれる何かがあるのだろう。時間はかなりたったが少しくらい大丈夫だろう。


 慶はミオグワンから視線は外さす後ずさりしている。何の効果が得られるのは知らないがこちらが困るのは一瞬で倒されることだ。その場合を軽減するには単純に距離を取ればいい。もう村人は遠くに行っただろう。


 ミオグワンの体が完全に緑に変色すると翼の動きを止めた。羽は相変わらず抜け落ちている。


 さあ、どう来る?慶はミオグワンから10メートルを超える距離を取りもちろん目を離さないでいた。


 ミオグワンが翼で空を切ると。


「何っ!」


 慶の視界は翼で覆われていた。瞬時に目と体を反応されるが右翼で体が打たれ飛んでいった。


 速すぎる。しかも落ちたダメージより遥かに効く。地面に叩きつけられる前に受身を取り体制を整える。前に顔を向けるとすでにミオグワンが迫っていた。寸前で攻撃を避けるが、左手が舌に捕まる。


 またか、いや前とは全く状況が違うか。舌を上に向け慶を上空に放り投げると空中でもう一度翼で打撃を加えた。


「ぐっ!」


 声にならない声を出し溝内に直撃し地面に勢いよく叩きつけられる。 気を失いそうになるが歯を食いしばりかろうじて意識保つ。


 ミオグワンは攻撃の手を緩めることなく再び口を開け長い舌を伸ばし慶の首に巻き付かせる。


 ヤバイ、指に力を入れろ。舌を引き離そうと舌を握り力をいr無い入れるが僅かに動くのみ。ミオグワンは更に舌を強く巻きつけ絞め殺そうとする。慶もそれだけは防ごうと首と舌の間に手を入れる。力を精一杯こめ首の拘束を解こうとするが首が締まりを止めることで限界だ。ミオグワンが今の状況を自分に有利にするためそのまま翼を羽ばたかせた。


「くそっ」


 これじゃあ首の拘束を解いても空中に放り出されるだけだ。


 そこで僅かに開いた目に写るカラフルな景色。慶の頭はミオグワンの行動を読み取れない。ミオグワンはネノイマに向かって飛んでいた。


 

「プフもっととばせねぇか」


 だが、プフがこれ以上速度を上げられないのは飼い主であるオロイがよくわかっている。村まではまだ距離がある。焦りが意味の無い問いかけえをしてしまう。


 おい、あれはミオグワンとケイじゃあねぇか。


 空を見上げたとき猛スピードで空をきるミオグワンと舌で捕まっているケイを見つけた。


 死んでいるのか、いや、生きてはいる。もし死んでいたらケイを離せばいいだけだ。しかし、危険な状態なのは変わりない。とにかく追い付かないと。


 

 ヤバイ、少しでも力を抜けば吹っ飛ばされる。慶には風圧が体を圧迫する。前よりも明らかに高い、ここから落ちれば唯では済まないだろう。


 それにこれは村に戻る理由は何だ?この緑の姿になってから圧倒していたはずだが?


 慶が視線を村に移すと竜巻のようなものが見えた。


「まさか!」


 ミオグワンと慶はそのまま竜巻に突っ込んでいった。竜巻の強力な風に巻き込まれ手を離してしまう。地面に落ち痛みを堪え立ち上がると初めに村を襲ってきたミオグワンと慶を連れて来たミオグワンが合流していた。


「お主は、確か旅の者」


 年老いた声に反応する。


「村長さん。無事だったのですね」


「あぁ、なんとかの。しかし、何故お主がここに……」


「いや、話している時間はないようじゃの」


 ネスはミオグワン達に視線を移す。


「しかも、スキルが暴走しておる。奴がここに来た理由は恐らく」


 暴走?いや、スキルと今言ったな魔物にもスキルがあったのか。だったら何のスキルが発動していたのか?そんな様子はなかったが。


 巨大なミオグワンに小さなミオグワンが近づくと舌を伸ばし羽をむしり取り口に運んだ。


「やはり、体力の回復じゃあな」


「このまま奴の体力を回復させるわけにはいかん。ワシが出る。もし、手を貸す気があるのならいらぬ助けだ」


リーダーである巨鳥の食事を邪魔させまいと他のミオグワンがネスに襲い掛かる。


「風式魔術


言葉が続かないネスが膝をついて座り込む。息が切れ心臓を手で押さえている。


 こんな時に発作が、ふざけるなよ。この老いた体が動け早くワシはネノイマの長、ネスだ。


「何?」


ネスの驚きの声。ネスが倒れ込む前に慶が立ち塞がる。敵の数を確認すると対処方法を思考する。


 数は8羽から1羽デカイのがいるがさっきの半分の大きさだ。色も黄緑色のまま焦らず着実に1羽づつ倒せば負けることはないだろう。


方やミオグワンは上下4羽づつに分かれ上に飛んで行った4羽は上昇していく。


 上から攻撃するつもりか、または後ろに周り込み挟みこむ気か。どちかにしろ、上の4羽はすぐには攻撃するつもりがないってことだ。もちろん攻撃される気もない。この方法が出来るかどうかわからないが、可能なら確実に数を減らせる。


どうやら敵は挟み込むつもりらしい。慶とほぼ変わらない高さに飛んでいる4羽はあまりスピードを出さずに慶を警戒しながらゆっくり近づいていく。反対に上に分かれた4羽は慶に目もくれずスピードを上げて飛行している。


慶は足に力を入れ、思いっきりジャンプした。


 これは予想よりも、理想はミオグワンと同じか少し高い程度がよかったのだが


慶はミオグワンを見下ろす形、ミオグワンの遥か上まで跳んだ。


 取り敢えず、まずは1羽。


 空中で何とか体制を整え右足で踏みつける。その反動を利用し次の標的に向かい再び跳ぶ。今度はミオグワンも反応している。右翼で向かえ討つつもりだが慶の両手は翼を受け止める。懸命に助けを求めているのか他の2羽が呻き声に反応を見せるが。


「遅いぞ」


 片手を離し顔面にパンチを繰り出すと。動かなくなったことを確かめ手を離す。そのまま落下してくるのがチャンスだと下にいた4羽が慶を狙う。


 たが慶も黙ってやられない。身体を捻り攻撃を避けると蹴りを加える。ただ倒れゆく味方を呆然と観ていた1羽の頭を掴み着地と同時に落下のスピードを利用する。


 地にめり込んだミオグワンの姿が見えた。


 残り4羽か、やはりデカイの以外は大したことはない、中途半端なデカさな奴も今の流れで攻撃して来なかった。なら、大丈夫だ。


慶の推測が正しいことを証明するように残りの4羽は再び集まり攻撃する様子もない。自分達ではどうにもならないことを悟ったかのように。


 呼吸を整えながらも慶の戦いを観察するネスの目が光る。こやつは何ものじゃ、旅人とは思ってなかったがこの強さで見たことも聞いたこともない。


 「次いくぞ」


地面を蹴り瞬時に移動する。反応すら出来ないまま右拳が炸裂する。続いて左足を蹴り上げ攻撃する。慶の猛攻にたまたま当たらなかった残りの2羽は1羽は逃げ、最後の1羽他のミオグワンより大きい1羽が襲い掛かってくる。


 「中ボスって感じか」


 同じように右拳を握り締めミオグワンに繰り出す。翼をコントロールしてパンチを避ける。その隙を突こうと翼で打撃を加える。慶に直撃するが微動だにせず身体を捻り廻し蹴りを繰り出す。蹴りが直撃し飛んでいく。その先には巨鳥 ミオグワンがいた。


 相変わらず緑色になったまま、横には羽根が全て剥ぎ取とられ剥き出しになった皮膚を晒したままピクリとも動かない。


 「さあ、ラスボスだ」


 慶とミオグワンが睨みあう。


 慶とミオグワン再び両者が対峙して睨みあっている。だがミオグワンは羽が抜け続けている。今の膠着状態は長くは続かないだろう。


 「旅の物よ、それを食べよ」


 慶の後ろから何かが投げられちょうど慶の目の前に落ちていく。急な事に一瞬何が起こったかわからないが目の前に落ちそうになっているものをキャッチ。手触りでは小さなもの慶が手を開いて確認すると昼間に散々運んだ赤を黄色が混ざった小さな実。


 これは確かラムビ、確か体力と魔力の両方回復するとオロイさんが言ってたな、村長さんがこれを俺にくれるっていう事はもう自分では戦えないという事。つまり、こいつは俺が倒さなければならない。


 ミオグワンがまだ動かないことを確認してから口に入れる。


 うまっっ! それに体が軽くなる。そういえば、この世界に来てから半日何も食べてない。それに前の世界でも夕食は家に帰ってから食べるつもりだったから昼から食べてない。合計役1日何にも食べてなかったか。うん、このラムビって実、腹も適度に膨れる。


 ゴクッと喉を通った。


 「さぁ、反撃開始」


 ミオグワンの口から喉に駆けて膨らんでいたのがなくなる。あちらも食事が終わったようだ。地に着いた足を外し翼を羽ばたかせる。慶の前に瞬時に移動して右翼で打撃を加えようとする。


 表情からは前とは違い余裕が見える。後ろステップで躱しすかさずパンチで攻撃する。ミオグワンも上空に羽ばたき口から出た舌が猛スピードで慶を襲う。


 余裕の表情を崩さず向かってくる舌を両手で捕まえ。


 「うりゃぁあ!」


 今までやられた分をやり返すかのようにおもいっきりぶん投げる。スムーズに回り動いた腰その力が腕に伝わり手を離す。ハンマー選手のような綺麗なフォームから投げられたミオグワン。その巨体が宙に飛んだ。


 村の方に行ってしまった。タフな奴だまだやられてないだろう。自ら投げたミオグワンを追う。


 瓦が崩れる音と木が割るがした。


 やってしまった……。


投げたミオグワンの落下点はカラフルな木で出来た民家、もちろん原型は留めていない。


 過ぎたことは仕方ない。ミオグワンを倒した事を交渉材料にしてなんとか穏便にしてもらおう。


 ガレキの木々を跳ね除けミオグワンが姿を表す。


 まったく、効いていないぞ。飛ばれたり、舌で攻撃されたら面倒だ先に仕掛ける。素早くミオグワンの前まで移動して右拳で攻撃する。ミオグワンも反応して巨大な体を器用に動かし避けるととっさに距離を離れた。


 また、舌か?


 舌からの攻撃を見切ろうと口元を警戒した時だった。


 しまった!慶の目が開く。翼を羽ばたかせたミオグワンが直接襲いかかる。急ぎ顔の前を両手でガードの構えに取り掛かる。避ける余裕はないと判断した。


 鈍い音が響き慶の顔が崩れそのまま地面になぎ倒される。何とか立つことは可能だが。


 ヤバイ、間に合わなかった。しかも、右目が開かない。慶の右目は大きな痣が出来ていて鼻からも血が出でいる。


 おまけに頭が痛い、吐き気もしている。どうする?もう戦える状態ではない。では逃げるか村人がどこまで逃げているかわからないが最大限時間は稼いだだろう。逃げてもいいが1つ可能性がある。だが問題は。


 ミオグランは慶に打撃を加えた後、旋回して慶の届かない場所に滞空する。


 そうくるよな、これらが弱ってくるのは明らかだ。近づいてリスクを取る必要がない遠くから舌で攻撃すればいいだけだ。さて、鬼ごっこか。


 ミオグワンの口から舌が飛び出し慶を狙う。幾多もあった光景だがこの時が一番恐怖を感じられる。左目を大きく開き舌の攻撃方向を予測し攻撃を避ける。足の力は万全といかないが力はまだ入れることができ走ることに煩わしさは感じられなかった。体を横に半身にしにしながら走りだしミオグワンからも目を離さない。


 なおもミオグワンからの舌の乱れ突きは続き避けながら時には受けながら進んで行く。ネスがいた小道に。


 村長さんは戦うつもりで村に残った。ならば、傷薬を持っているかもしれない。実際にラムビの実を持っていた。何とかあそこまで逃げれればこの右目が治す薬があるかもしれない。そうすればもうあんなミスはしない、奴に勝てる。


 慶の希望が必要な計画だが現状を打破出来るかもしれない計画は慶の思惑通り進んでいると思えたが。


 慶の上空が影で覆われる。


 こいつ、知能は烏ぐらいかと思っていたが猿より賢いのでは……。


 ミオグワンが慶の後ろに回り込みネスへの進路を防いだ。慶の表情から絶望を読み取ったのか翼を羽ばたかせ左翼で追撃を加える。


 しまった、とにかくガードだ。


 両腕のガードが今度は間に合いうが衝撃には当然耐えられずに後ろに飛ぶ。身動きが取れない空中で背中に衝撃が襲う。ミオグワンの長舌が背中を攻撃されたため真上に放り出させる。そして、今までで1番力を込めただろう。右翼からの強烈な一撃を受ける。


 「ぐっわっぁぁぁ」


 血を吐きながら飛んでいった落下先はカラフルな家。痛々しい音をたてながら落下する。


 くっそ、死にそうだ。痛みに顔を歪ませながら左目を開ける。


 こうなったら逃げるしかないか、この状態で逃げれるのか?左目も霞んできている。


 次の行動が決まり落下した家の部屋を見渡すと。


 「だっ……誰ですか、あなた?」


 少女の声を聞いた。



 


 






 


 

 


 

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