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終わりから始まり

 夜道を照らす街灯もなく、危険を察知するミラーもない、それにもかかわらず見通しが悪く、更に俺は12時間働いたばかりだ。従って、疲れでふらついた足では道の脇から突然現れたバイクを避ける筈がない。


 そう自分で解釈し、もうスピードで突っ込んでくる鉄の塊を受け入れた。


 俺は死んだのか?いや、瞼には力が入る。こんな事を考えられるということは思考は働いているということだ。どんな状況かはわからないが。


 覚悟を決め目を開けるとベッドに横たわる自分がいた。他には白い壁にベットに自分の前にも脇にもベットが並ぶ。誰が目を開けてもここは病室と判断するだろう。薬品の匂いが僅かに残る。自分は助かって病院に運ばれていたのだろう。そう解釈したとき、隣にいた白衣を着た人物に目が釘付けになる。


 白衣を着た天使、これ程似合う人はいない。ハンドボール程の小さな顔、目は二重かつ垂れ目、鼻は小さく高く、それでいて唇がプクッとしているので全体のかわいいらしさにセクシーさも漂っている。だか、目が釘付けになったのは絶世の美女に見惚れていたのではない。髪は長く綺麗な金色をしており、瞳がブルーで輝いているがそんなことはハーフなどで説明がつく。


 説明できず、目が釘付けになった理由は白衣の天使が宙に浮いているからだ。その大きな目は男をじっと見つめる。


 短髪の黒髪。目は細く鋭く、唇は薄い。どこか知的な雰囲気が漂う。かといって貧弱な印象も無いのはベットに横たわっても目立つ高身長にスーツの上からも確認出来る筋肉質の体のためだ。


「なっ、なんなんだあんた!」


「えっ、白衣の天使よ、かわいいでしょ」


首を傾け男全てが惚れる笑顔で見つめてる。その視線を無視して自分の置かれている状況を整理する。


俺の名前は安良城 慶 23才。


名前は言える。記憶はなくなってないみたいだ。


仕事帰りは事故に遭い病院は運ばれている。ここまでは理解出来る。そして、隣りに飛んでいる白衣の天使がいるのが意味がわからない。


 病院に運ばれて……


 慶は当たりを見回すと病室の風景だが周りに医療機材などが全くない。さらに、最初は気付かなかったが病室に入るにもかかわらず服装が事故にあった時から変わっておらず怪我の跡もない。


 ならば、夢か、いや、そうに


「夢なんかじゃないよ〜」


 白衣の天使?が心の声を遮る。


 やっぱり、ゆ


「だから夢じゃあないってば〜」


 いや、夢だろう、そうじゃあなければ


「そっちであってるよ!」


 白衣の天使?が笑顔で答える。


 慶の表情が強張っていき、長い一呼吸を置き、口を僅かに開いた。


「俺は死んだのか?」


「うん、死んじゃった!」


 息する間もなく慶に真実が伝えられる。白衣の天使?が両手を広げ手を合わせる。手が重なる音が響き渡ると病室は跡方もなく消え、ただの白が永遠に続く世界へと変わった。


 人の心が読め、こんな芸当が出来るなんて


「お前は天使か、それとも死神?」


「酷い、こんなかわいい死神がいるわけないじゃん」


 唇を尖らせ高い声で否定する。


「じゃあ、天使か?」


「うんうん」


可愛らしく小刻みに顔を振る。


「神様」


神様!、驚きの表情が隠せない慶だが、直ぐに表情が曇る。


神様にしろ、天使にしろ、死神にしろ、俺にはどうでもいいことだろ。生き


「生き返えらしてあげるよ〜」


「なにっ、本当か?」


 ベットから起き上がり白衣の天使?に迫る。


「本当だよーー、元の世界じゃあないけど」


嬉しさと理解不能が混ざり合い困惑の表情になる。


「元の世界じゃあということはこことは別の世界があるということか?」


「そうだよ」


「何故別の世界なんだ。元の世界では駄目なのか?」


「駄目じゃあないけど〜、元の世界じゃあ、生き返る権利がなくて、別の世界では生き返る権利があるだょ」


 なるほど、権利ということは元の世界に戻る権利を獲ればいいのだがそんなことがあるのか?俺は元の世界でやり残したことがある。


「う~ん、魔王を倒してくれたらいいよ〜」


「魔王だと?ゲームのような世界のか?」


「うーん、そんな感じ、剣と魔法の世界みたいな」


「といっても俺がいったところで何にもならないだろ」


当然の疑問だが


「だからね〜、力をあげちゃおうと思ってるの」


「どんな力だ?」


「何にでも負けない力、あっ、でも神様にはキツイかな〜」


「何にでも負けない力?なんだそれは?」


疑問と疑惑の目を向けるが、神様?は全く気にせず慶のベットに座り込む。


「あーぁ、もう時間がないや、手出して」


「うん?、こうか?」


突然のことで戸惑うが時間がないといわれ、右手を差し出す。


ギュッ


慶の右手を神様?が両手で強く握ると白い光が右手を包み込み、徐々に広がりを見せる。


「おい、何も聞いてないぞ!」


声と表情から焦りを隠せない慶だが、神様?は優しく微笑みながら


「大丈夫、あなたならきっと……」


 光は言葉の前に慶を包み込み消えていった。


 わたしの力を使いこなせる。そして、あいつにも























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