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ガクト視点です。

   ***


俺の名前はガクト=コテイシャル。風竜の雄だ。俺の里では成竜になると・・・・・てか、なる前に里を出るな・・・・風竜王ってのが存在してるが、ただ強い個体がそう呼ばれれるだけだ。結構いるんだよな・・・・嵐の風竜王。月華の風竜王。高熱の風竜王。疾風の風竜王とかな・・・・なんか二つ名が恥ずかしいくらいには一杯あると答える。



俺は王至宝主義なんてものはない。てか、風竜皆がそうだしな。


気ままに旅を続けて人間と気まぐれに旅をして数十年だったか?んで、今は気まぐれに人間達に混ざり伝令部隊という隊に入った。たしか・・・・ドーストリア?だったか?てとこの王族?に気が向くまで部下になってやっている。人間とは面白いな!ちょっと目を離すとすごい繁殖力。わらわら出てくるわ。俺達とは違うんだなぁとしみじみ思うわ~~


何処かに面白いこと転がってないかな~~~と思いつつ庭園を散策すると、発見!!からかいがいがある奴を・・・


「お~~~い、オルバ!!」


俺が声を掛けるといつもは嫌悪感を隠そうともせずに顔を歪め踵を返すオルバを追いかけて遊ぼうと思って声をかけたんだが・・・・


「・・・・・・」


反応がない。ただの屍のようだ。


「オ・ル・バ」


オルバの様子がおかしい事に気づいた。だって、オルバの頬つつけんだもん。頬だって引っ張ってんだけど無反応。え~~い、起きろ!!


ッパン!!


頬を力一杯叩くと初めて接近に気づいたというように俺を見て目を見開いた。


「なんだ?ガクトか・・・・いつも元気だな・・・・でも、程々にしとけよ」


そう言うと俺の頭をポンポンと子供にするように優しく叩くとフラフラと踵を返しその場を離れていった。俺はあまりの驚きで動けなかった。オルバに一体何があったんだ?と思い首を捻るしかなかった。


・・・・・そして、原因が判明した。俺が絡む火竜達の様子がおかしい事に!!セントはいつも絡んでくる俺を眼光鋭く睨み問答無用で魔力を込めた拳で殴ってくるのになぜか今日は・・・・


「あぁ、ガクト?ガクトって・・・・あぁ、この前遊びに来ていた子供か・・・・ほら、飴玉やるからあっちに行ってろ。ここは危ないからな」


と言い、イチゴミルクと書かれた飴玉を数個俺の手に握らせブツブツと呟きだした。俺は恐ろしくてその場から離れたのは言うまでのなかった。でも、貰ったものは食べるよ?もったいないから・・・・うまうま~~・・・・てか、セントって甘党だったんだ~~~とあのなりでそれはないな・・・・って笑ったのは不覚だった。


テレサもそうだ。俺がちょっと背中のブラのフックを外したら鬼のような形相で睨み鋭い短剣で避けるのが難しく、しまいには地面に突き刺し地割れを起こすテレサが・・・・


「あら、ガクトどうしたの?え?ブラのフックがない?当たり前でしょう・・・・だって、してないんだから・・・・もともと無い胸だったしもういっそのこと男になろうかしら・・・・・・ふふふ・・・・それいいわね・・・うふふ」


と不気味に笑うんだ。胸がないのは否定しないけど・・・・・テレサがなんか怖かったのは黙っておく。


出会う火竜達が皆そんな感じだったんだ。他の竜はいつも通りさ。他の竜も楽しいんだけど火竜ほどではないんだよね~~おかげで今日は怪我ゼロ!!えへへ~~すごい?




でもそれが何日、何ヶ月と続くと俺も飽きてくるんだよね。何処からともなく剣が飛んでくるけどさ、ぶっちゃけ居場所ばればれんだよね・・・・あいつは確か・・・・地竜のルクトだな・・・・相手にもならないよ・・・・と言いつつ鬱陶しかったから避けた剣をルクトに投げ返す。遠くでウグッって声が聞こえたけど気にしない。あれぐらいをよけられないなんて情けないね・・・・・そうこうしてるうちに火竜達が総出で有給を使った。病欠なんだってさ・・・・ちぇっ!つまんねえの・・・・


俺は煩い人間の上司?からの命令で数ヶ月ぶりに遠征から帰ってきたリント隊長に呼び出しがかかってることを伝えろって言われたから軽く返事をして口笛を吹きながら気配を探り騎士寮に居ることが判明。さて、行きますかね・・・・


「探したんですよ~全く帰ったんなら上に報告してくれないと俺がパシリに使われて困るんですよ~」


腕を後ろで組みながら欠伸をしながら近づくと


「俺は伝令部隊所属の問題児を部下に持った記憶はないんだが・・・お前に呼ばれると癪だ、呼ぶな」


「いいじゃないですか~~そんな硬いこと言わず、オルバがそう呼ぶから俺も伝染ったんですよ・・・・・・」


オルバ達もそうだけどリント隊長もひどいよね・・・・



そしてふとオルバを見ると・・・・・・驚きもものき・・・・竜の中でも最高の礼をリントにとっていた。オルバからは想像もつかないほど青ざめ・・・・てか白すぎじゃねぇ?あと、身だしなみ整えろよ・・・・・


だから聞いてしまった。


「オルバ・・・お前何してんの?いくら隊長だからってそれはないんじゃない?お前らの一族は人一倍プライドが高かったんじゃなかったっけ?」


首を傾げると子供と、リント隊長の表情が曇った。なんで?


「・・・・・・・・あれ~?隊長~この子どうしたんですか~?」


子供に近づき覗き込み。可愛いな~っと自然と笑みが出てきてしまった。


「迷子を拾った。もう用が済んだならどっかいけ・・・しっし!!」


猫でも追い払うように手を動す。


「酷いですね~・・・・・それにしても小汚い子供・・・・・・・そのふてぶてしい顔。あっ!そうだおい坊主俺が、洗ってやんよ」


いい案だ。うん。俺も風呂に入る予定だったし、一緒に連れてこう。


『なんで、俺がお前に洗われなければならないんだ!!断る!!』


手を払いのけられ子供が喋った言葉に内心驚愕した。てか、こいつ子竜じゃねぇか!!ダメだ。悪党の人間どもに狙われかねない・・・・子竜は竜の宝。庇護する対象だ。


「・・・・・・・・・隊長。この子俺が連れてきますね」


子竜を抱え上げると晴れた日の匂いがした。子竜を見るのは何十年ぶりだろうか・・・・・暖かな温もりは安心感も半端ないな・・・・


後ろでなにか声が聞こえたが気にしない。俺はこの子竜を気に入ったもん・・・でも、まだ汚いからこの掴みかたでゴメンな・・・


とかなんとか思いつつ風呂場に着くと子竜がキョロキョロと視界を彷徨わせてることに気づいた。


「なんだ、お前風呂は初めてか?」


未知の物を知ろうとする好奇心は竜特有のものらしい可笑しくて笑ったら不快そうに眉を寄せたので下ろした。


「さあ、脱げ」


俺が言うとモノすっごく嫌そうな顔をした為数ヶ月ぶりにワクワクしてしまった。


『なんでお前も脱いでるんだ!?』


鈴を転がすような声で俺を睨むがなにぶん子竜なので愛らしさしか感じられない。


「はぁ、何言ってんの?俺も一緒に風呂に入るに決まってんだろ?いいから来い」


子竜の腕を軽くつかんだら激しく抵抗されたから、脇に抱えた。すると、急におとなしくなった・・・あるぇ~?



「ほら、目潰れ・・・・・お前竜の子だろ?なんで人里に下りてきた?里は成竜にならないと出られなかったはずだろ?・・・・・司る種はなんだ?その色なら地竜か?それとも暗竜か?」


地竜はたしかこんな色をしていたはずだ。俺は目を瞑ったのを確認してお湯を頭からかけた。


「これはな、人間の浸かる風呂って奴だ。んで、これがお湯」


シャンプーを泡立てワシャワシャと子竜の頭を擦る。髪柔らか~い・・・・


『なっ、なんだこれ!!目にしみる!!』


「だから目を瞑れって・・・・・・・あ~汚れてんな。泡が立たない」


やっぱり一回では汚れは取れなかったな・・・・


「次は体なほら、背中、背中」


クルンと向きを変え背中を洗う。何回も体を洗った。泡が立たなかったからね・・・


「うへ~~やっと汚れがでなくなったな・・・・・・って、お前見違えたな・・・・どす黒い色からなんでそんな髪の色になるんだ?」


地竜かと思ったが、どうやら違ったらしい。


「その色は・・・・火竜か?珍しいな、火竜は特に種族愛が強いから成竜になっても里からは中々出たがらないって聞いたんだが・・・・・お前の里は何処だ?」


へぇ、火竜の子供はこんななりをしてんのか・・・・・湯船につけると予想以上に暴れるため最初腕を掴んだが激しく抵抗されたため怪我をしかねんと思い脇を掴むと抵抗が少し緩んだ。


ちっちゃいな~~と思い口角が上がるのを俺は止められなかった。子竜の顔はみるみる不機嫌になるけど、それも愉快だった。


『熱いと言ってるんだ!!離せ』


子竜は口を開くと口から小さい火の粉が出た。初めてのことで口を開けたまま固まっているその顔がウケた。顔がにやけるのを我慢しつつ高い高いをしてやると余計に暴れだした為湯船につけた。


『やっぱり火竜だったか・・・・でも、やっぱ子竜は可愛いな』


『離せ!他族の竜と馴れ合うつもりはない!』


あはは、オルバ達と同じこと言っている子竜が可笑しくてニヤけてしまった。


『うん、火竜だわ。火竜は同族愛が激しいからな他種の竜を嫌悪するんだ。子竜でも同じか・・・・そして短気』


『短気で悪かったな!!お前こそ風竜だろう・・・・』


風竜と言い当てられビックリした。なんでわかったんだろう気になるな・・・・


『なんでわかった?』


『その天真爛漫さ、何よりお前から・・・・・・・晴れた日の匂いがする・・・・』


最後の言葉は恥ずかしかったのか小声になって聞き取りづらかったがなんとかわかった。俺が子竜にたいして感じた匂いと一緒かと可笑しくなった。


『そんな理由か・・・・・・まぁ、そうだけど?俺は気ままに生きてるしな・・・・火竜の件ではなぜあそこまで気落ちするかが分からん』


『?・・・・お前のところは王、至宝主義ではないのか?オルバかオンバか知らんがあれは俺が見ても酷かったぞ?』


火竜王をなぜそこまで崇めるのか分からん。俺だって風竜王がいなくなったら悲し・・・・・まないな・・・うん


『俺の里では確かに強い個体は生まれてるが、ただそれだけだ。それを風竜王というが名ばかりだしな・・・・風の赴くままに・・・・何からも縛られない。だから俺は里を出て人間と共存して暮らしてるんだ』


『ふーん・・・・・てか、上がらせろ』


なおも上がろうとするため両肩を抑た。何をするんだと睨む子竜はやっぱり愛らしいだけだった。


『数を100まで数えられたらな?』


そう言うと絶望的な顔をしうな垂れた。




数え終わる頃にはのぼせてフラフラしていた。のろのろと服を着ていたから・・・


『遅い!!ほら、貸せ』


服を取り上げようとしたら子竜も力を込めとられまいとし


『う、煩い・・・・自分で着れる』


『着れてないから言ってんだ。・・・・大人しく渡せばよかったんだよ』


問答無用で取り上げて得意げに言うと睨んできたが鼻で笑う。


コトン


何かが落ちる音がした方を見るちっぼけな竜玉だった。なんだこれ・・・・どこから出てきた?と思ってると


『か、返してください。お願いします。俺の宝物なんです』


急に下手に出たことに俺は酷く驚いてしまった。恥も外見も関係ないというように、返してもらえるなら下等な人間にさえ土下座してしまいそうな必死の形相で・・・・・目には一杯涙を貯めて潤んだ瞳で俺を見た為居た堪れなくなった。


『・・・・・・・・・ほらよ』


子竜の広げた両手にそっと乗せると綻ぶような笑顔を見せた。少し俯き顔をすぐに上げたかと思えば全開の笑顔で


『ありがとう』


『んだよ!!俺が弱い者いじめする奴に見えんのかよ!!お前のその必死そうなその表情見ればわかるよ。どんなに大切なものか・・・・火竜がプライドを捨ててもいいと思える程の・・・・・その・・・・悪かったな』


『いいんだ返してくれただけで俺は嬉しい』


そう言い、手元の竜玉を大切そうに慈しむように見つめながら喋る。


『ほら、それを早くしまえ。服を着せてやる』


『・・・・・・・・分かった』


子竜は抵抗するのを諦めた為服を着せてたらふと子竜の顔を見るとふてぶてしい態度で鼻から息を吐いていた。なんかムカついたから拳骨を入れてしまった。


これは虐待ではない一種の躾だ。


最後まで読んで下さり感謝します。


今後も亀更新で行きます。

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