表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/15

拾参














・・・・・ア・・・・・・・ベル・・・・・・アヴェル・・・・



遠くから声が聞こえる。


・・・・誰?




アヴェル・・・・・



誰?誰なの?


真っ暗な世界だった。何もない、何も見えない。そんな世界に俺は膝を抱えて丸くなっていた。

声が聞こえる方に徐に視線を向けると遥か遠くに一筋の光が見えた。



おいで・・・・こっちよ・・・



・・・・まって・・・今行くよ・・・

俺は立ち上がりその光に向かって走り出した。とても不思議な世界。走っても走ってもキツくならない・・・どこまでも行ける気がした。




光にだんだん近づいていくのを感じた。俺は何故だか分からないけど嬉しくなって胸の奥がジンときた。

光の先に人影が見えた。とても眩しかったけど・・・・安心して抱きついた。



母様・・・・母様だ・・・・あったかい・・・・・・大好きだよ・・・


抱き返してくれた。とても優しい匂いがした。顔を上げると湿った水が頬に当たった。なんだろう?


アヴェル・・・・ゴメンネ・・・・不甲斐ない母様で・・・・


母様は不甲斐なくないよ?俺の自慢の母様だ!!


そう言うと母様はクスリと笑い強く抱きしめてくれた。




アヴェルよくお聞き?お前には辛い思いをさせてしまったね・・・・・でもね、お前はまだここに来るのは早いだからおかえり・・・・




い、嫌だ!!嫌だよ!!母様と一緒にいる!!あっちには誰もいないもの・・・・



おかしなことを言うね?嘘おっしゃい?お前は愛されてるんだよ?私からも世界からも・・・



嘘だ!俺は信じない・・・人間なんて皆クズだ・・・



でもね、いい人間もいることはアヴェルも知ってるね?



・・・・・・うん。知ってるよ?リントもハルトもコウヤだっていい人・・・・



ほうらぁ・・・アヴェルはちゃんとわかってる・・・・



母の顔が綻ぶと俺はバツが悪い表情をすると額をつついた。



いいかい?アヴェル、お前は生きるのよ・・・・・・・・・・私達の分まで・・・・生きて―――――・・・・・



生きるの―――――・・・・



確かにあった筈の腕の温もりがゆっくりとなくなって行く・・・・・母様・・・・



・・・・生きて・・・・



母様・・・



愛してるわ―――――・・・アヴェル・・・・








母様―――――!!!




――――――――――・・・ズン!!



う、おっ、重い・・・・何かが俺の上に勢いよく落ちてきた。地面の土が口の中に入ったよ・・・・っぺ!!っペ!!



『重い!!重すぎだろ』


なんだこの!!うりゃ!!俺は勢いよくその何かを放り投げた。よく見るとスカートの中身丸見えの人間の子供?少女?が徐に振り向いた。



俺の全身に雷が打たれたような衝撃が走る。


なんなんだこいつは!!この胸のドキドキ俺・・・・おかしくなったのか?



「*******?」



急に俺の片頬に手を添え何かを答える。


頬が赤くなるのを俺は感じた。人間だよな?とても柔らかい・・・・なんだろうこのかけがえのない存在を見つけたかの衝撃は・・・・



「********・・・・****?」


何を言っているのかさっぱりわからん。


『貴女のお名前はなんて言うんですか?』



出会えた嬉しさからこみ上げてくる感情を抑えながら恐る恐る聞くと何故か頭を撫でられた。その優しい手つきに心地よさを感じながら羞恥で俯いてしま

った。



「***?**********************************?」



少女は懐からリンゴを取り出し俺に手渡した。・・・・こ、これは!!知識では知っていたが好意を持つ異性からの贈り物!?求婚・・・してくれるのか?べっ

、別に嫌とかそういうわけではないんだが・・・・・こんな俺でいいなら・・・・


『よろしく頼む』


貴女の番になります。いや!!ならせてください!!お願いします!!


俺は勢いよく頭を下げた。



「****。*****、******?」


少女は笑って何故か手を振ってその場を去ろうとした為俺は慌てて腕を掴んだ。



『どこ行くの!俺から離れるつもり!!』


俺は勢いよく首を振る。少女は不機嫌な顔をし、腕をはなそうとするがこれを離したらもう二度と逢えない予感がする・・・何処にもいかないで・・・


「*****、**************************?」


『俺は、貴方といたい・・・離れたくない』


俺は少女が困っているのもお構いなしに首を振った。そしたら何を思ったのか少女はこれで我慢してというかのように別の果物を渡そうとしてきた。


『!!!そんなの、いらないよ。貴女の傍に居させてください』



貴女から求婚してきたんだ。俺の番・・・俺だけの・・・・



心に空いた穴が埋まる・・・・足りなかったものが満たされる感じがした。この気持ちはなんだろう?



そうか・・・・


俺は貴女に恋をしてしまったんだ。


俺の番・・・・契約は成された。


仄かに手の甲に模様が浮き出てきた。俺と貴女。手を繋ぐと模様が見えて嬉しくて幸せだと感じた。




最後まで拙い作品を読んでいただき幸いです。


やっとアヴェルとルディアが出会いました(汗)

今後も亀更新で頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ