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拾壱

と、思っていたのが悪かった。変な布みたいのを香がされ気づいたら狭い小屋?にいた。周りには俺とよく似た容姿の子供が俺も含めて五人いた。でも、この子供らは人間だな。混ざりっけなしの純血種だわ。



あぁ、見世物見たかったなぁ・・・・俺は部屋の隅に小さくコンパクトにしゃがみ膝を抱えた。まだ、俺以外に目を覚ました子供は・・・・・いた。横になりつつ視線をこっちに向ける子供


「お前何座ってんだよ!!起きてるのがバレるだろう!!目が覚めた時の体制になりやがれ!!」


小声で俺に向かって喋ったため慌てて横になる。


「おっ前も馬鹿だな!あんな人間に捕まるなんてドジフンだな」


『そういうお前こそ捕まってるんだから変わらないだろうが』


俺はカラカラと笑う子供を睨んだ。


「お前・・・何言ってるかわかんねぇぞ?」


俺は舌打ちをしたのは黙っとく。


「聞こえてんぞ」


『ばーか』


どうせなんて言ってんのか理解しないだろう。あて、なんで殴るんだよ・・・


「なんて言ったか分からんがムカつく発言したのはわかった」


へぇへぇそうですか。


「ここがどこか知ってるか?」


『知らん』


俺は首を振って答える。知るわけもねぇよ・・・・今日来たばっかりだしな。


「そうか・・・」



「お前も災難だったな。あんな連中に捕まるなんて・・・・俺も言えたもんじゃねぇけどな」


子供がカラカラと笑う。俺は捕まったのに呑気によく笑えるなって思ったが、瞳の奥が揺らいでいるのに気がついた。コイツは俺以上に怖い

んだ・・・・そうだよな、未知の世界だよな。強がってるだけだ・・・・強がらないとたってられないのか・・・・横になってるけどな・・

・・


「俺、コウヤってんだ。こんなところでなんだが誘拐された仲間としてヨロシクな」


コウヤはニカッと白い歯を見せ手を伸ばした。


『?』


「握手だよ、握手!ほらお前も手を出しやがれ」


握手・・・初めてした。小さい手だな・・・



「お前の手・・・・・・俺よりチビだな」


いま、殺意が芽生えてしまった。どうする?


「そんな顔すんなって!んで?」


『?』


「わっかんないやつだな!!名前だよ、名前!あんだろ?」


俺は頷き口を開いた。


『俺は、アヴェル』


「!!今度は聞き取れたぞ!アヴェルか良い名だな」


繋いだ手をブンブンと振り小声で喋る人間の子供のコウヤ・・・・何故か胸のあたりがポカポカする・・・なんでだろう?


「アヴェルは俺と友達だ。俺の背中は任せたぞ!!」


『調子よく吐かしやがって現在進行形で捕まってんだからそれは無理だろう』


「よくわかんなかったが、なんでため息吐くんだ?」


『もういいよ・・・』





「ん、ここは何処ですの?」


のそりと起き上がる子供・・・よく見たらここに捕まっている子供らが俺と似たり寄ったりな色をしていた。赤髪に紫の瞳・・・・何かあるんだろうか?


「ここはどこだ!?」


もう一人の子供も目を覚ました。


「ここ・・・・何処~?」


最後の一人は目を擦りながら呑気に欠伸をしていた。


「ちっ!お貴族様がたがお目覚めかよ・・・」


ボソッとコウヤが呟き立ち上がった。流れで立ち上がったけどもう立っていいの?それにお貴族様?・・・・人間は分からん。服か?服で判断するのか?もしそうなら今度から気を付け・・・・・・一体何に?


俺が思考を凝らしているとコウヤは貴族と言った子供から視線をそらした。よく見ると眉にシワを刻み小刻みに震えていた。なぜ?


「貴方・・・!!・・・・何故私がこの汚い部屋の、しかも平民と一緒にいますの?嫌ですわ・・・この服折角お父様に買って頂いてお気に入りでしたのに・

・・・・・・」


高慢ちきで甲高く叫ぶ子供に眉を寄せた。平民?なんだそれ?何か俺とコウヤを見て言ってるように感じるのは気のせいだろうか?・・・・ん、分からん。


「おい、ここは何処だ?はっきり言え平民が・・・・俺達から話しかけてるんだから光栄に思えよ」


なんかこの口調ムカつくな・・・・なあ、こうy・・・・あれ?コウヤ?顔が・・・・さっきまで俺と笑顔で喋っていたが今は顔に表情が無いように感じられるんだけど・・・?


「この状況見て貴族様ならお分かりでしょう?誘拐されたんですよ」


「なっ!!誘拐?私、劇を見てましたのに・・・」


「俺は馬車で母上の見舞いに行っていたな」


「僕は・・・・・・・草むらで寝てた・・・・・ふぁ~ぁ」


一人は誘拐してくださいって言ってるようなものだと思うのは気のせいだろうか?コウヤを見ると呆れた顔をしていたな・・・・うん。



バァン!!



「オラ!オメェらうるせぇぞ!!静かにしやがれってんだ全く!!」


テッペンハゲの男が蹴破る勢いで扉を・・・・扉が衝撃に耐え切れず勢いよく倒れる・・・男の方へ・・・


「いっって!!!!立て付け悪すぎんだろうがよ!!」


「騒がしいぞ、もっと静かに言え。気づかれる」


「だぁってよぉ兄貴!!・・・・・・分かったよ。俺が悪かったよ」


もう一人の細くて身長の高い男が睨んだためテッペンハゲの男は押し黙った。


「でも、兄貴こいつら攫ってこいって上の奴が言っていたが一体何のためなんだ?」


「さあな。俺達は依頼されたことを全うするだけだ。詮索は命取りになるからよせ」


「へっへ、兄貴がそう言うなら俺はもう言わねぇよ」


テッペンハゲの男は笑いながら言うが俺はその頭が眩しすぎて目にいたいなぁ~・・・・と呑気に考えていた。








変わったことと言ったら五人しか居なかった部屋にテッペンハゲの男が加わった。逃走防止らしい。

俺は立つのに疲れたので壁の隅にしゃがみ膝を抱えた。コウヤは無言で俺の横に座った。てか、近いな・・・・何もピッタリ隙間なく横に座る意味あるかな?


お貴族様方は固まって座っていたが一人近づいてきた。


「僕も君達と一緒にいいかな?」


何故に!?なんで移動してきた?あっちに居ればいいじゃないか?同じ部屋なんだから・・・・何かいるのか!?あそこに何かいたのか!?


「お貴族様は俺ら平民と居るより向こうがいいでしょうね」


コウヤも一緒に座るのは嫌らしい・・・・ん、でもね、密かに俺の服を掴むのは止めてくれないかな・・・・苦しいんだけど・・・・


「ん、それは偏見と言うものだよ。見解を広めるためにはいろいろ経験をしてみると良いと本で読んだからね」


見解も何も今、誘拐されてますけど?経験しているんじゃないか?多分。おぉ・・・そうこうしているうちに勝手に座ったが・・・・何故に俺の隣?コウヤもだが、

ピッタリ隙間なく横に座る意味があるのか?人間の中では流行りなのか?


「し、仕方ないですわね!!平民とつるむ気はありませんことよ!!」


そう言いつつ俺の正面に背を向けて座る・・・・ピッタリと密着して・・・・は、流行りなのかな・・・・人間って不思議だね・・・・


「あ、ずるいぞ!!女、そこを退け!!」


「あなた様はそこの平民の隣で十分ですわ」


「それを差別と言うんだ」


「あなた、レディーファーストってご存知?」


「貴様のどこがレディと言うんだ!!お前の嫌う平民に密着しすぎじゃないのか?」


「私は気にしませんことよ」


気にする!します!!どうでもいいが一定の距離があると思うんだ。落ち着く距離が・・・なに?竜族だけなのか?人間にはこんなに近づいて話すのか?知らなかった。ゼロ距離だもん・・・


「うるせぇぞ!!静かにしやがれ!!」


いがみ合っていた二人は腕を組みそっぽを向いて無言で座った俺の前に仲良く半分づつ・・・・どうでもいいから離れてくれないかな・・・・お尻が痛くなってきたし・・・





「時間だ」


細い男が顔を出し顎でしゃくった。


「おう!オラオメェら立ちやがれ」


「そこの肝の据わったお前来い・・・・そしたら必然的に立つだろう」


えっ?俺のこと言ってるの?肝なんて座ってないよ?えっ?何?他の子供も顔が・・・・宜しくないですね。青白いもん・・・


俺は素直に立ち上がったら他の子供も寄り添うように立ち上がった。距離が近すぎて歩きにくいんだが・・・・


「こっちだ。・・・・いいか?逃亡しようなんて考えるなよ?そんときは分かってんだろうな?」


逃亡しようにもこんなに密着してたらできません。


「オラ、キリキリ歩け!!」


あぃった!!なんで俺を棒で啄くんだ!?お尻が今痺れてんだから止めてほしい切実に・・・

幾度が角を曲がり奥の扉の前で立ち止まらされた。


「ここだ。止まれ」


細い男がドアノブに手をかける。その中には部屋いっぱいの模様が書かれていた。


「ま、魔法陣!?」


コウヤ?なんだそれ?分かんないな・・・・


俺は反応しきれず内心呟いた。


「・・・・・これ、何処かに転移陣だね・・・・座標が・・・・う~~んこれは・・・・カーノルドの方角みたいだね」


「カーノルドですって!?嫌ですわ!!行きたくありませんわ!!」


「カーノルドってあの?凶暴な魔獣とかがウヨウヨいるところだろ?」


「俺達下町の子供らでも知ってる・・・・・あそこは危険だと・・・」


「うぇ・・・ひっくっ・・・・・お母様~~~」


へぇ~予期せぬ形で渡りに船だな!!カーノルドまで送ってくれるのか・・・・やった――!!


内心小躍り状態の俺はニヤケそうになるのを必死に堪えるのに忙しかった。よく見ると細い男が俺の顔をじっと見てさっと視線を背けられた。何故?


「と、とにかく・・・・その中央に行け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・行ってください。すみません」


なっ、なんで謝るんだ!?お~いこっち向け~~ささ、どうぞ!!!じゃぁねぇよ!!!てか押すな子供!


「俺達はここまでだ。じゃあな、依頼主と会いな」


あさっての方向を見ながら追いやる感じに手を振った。



テッペンハゲが何やら呪文を唱え始めると魔法陣は淡く光を灯し出し陣の模様がゆっくりと回り始めた。その光は次第に強くなり目を瞑った。






最後まで読んで下さりありがとうございました。

拙い作品ですがこれを読んでくださる方に感謝です。


今後も亀更新で投稿させていただきますね。

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