白い悪魔の憂鬱 ④
回想終わり!
あと質問にあったアキラの魔改造の使用例。
古びたバットの属性情報をブースト変更、ホーミングモードにできますw
ルーside
学生達には我が精鋭(ベルゼ・ゼノン・ミアータ・クリフ・ベイン・アルマ)を付けて戦う。
さらにアキラ・ナミ・私を加えた自由の槍のメンバー勢揃いだ。
国の一つや二つは落とせる戦力であるが、私たちは後方支援のみ回復、補助のみに徹する。
是れはアキラがつけた条件で、こうしないと実戦経験がつかないのだ。
どうしても危ない時は援護に入るが極力、生徒達に最後まで戦わせるのだ。
「という訳で先生達は後ろで応援するから極力自分たちで戦うように~」
緊張感のない声でアキラが生徒達に注意を呼びかける。
この前、誰ひとり死なせないとか言っていたと教えてやりたくなるな。
さて注意が必要なのは今回が主役でもある、薬師、白魔術師の生徒であるが・・・・・・今回、注目はやはり悪魔使いの小娘だな・・・・・・
アキラ、カグヤと同格の七英雄のマリア・サトウ雛の群れの中に獅子がいる状態だがこの娘の目的は戦闘では無く、諜報任務だそうだが・・・・・・全く向いていない。
有益な情報を持っている訳では無く、此方のアクションに対する鈴の役割を担っている用だ。
つまりマリアは鈴、餌であり、其れを見張る監視役がいるはずだ。
怪しいのは義姉のクリスタなのだが、わかり易すぎる。
一体誰が監視員なのか?
まぁそんな疑っても答えは出ないし、今回の課外授業に悪影響は及ぼさないだろうし、戦力としては十分なので今日は放置としよう。
あとは学園の外に出るともう一人厄介な七英雄に出くわすのだが・・・・・・
「お嬢さーん!モデルになってくれへ~ん お礼にデートしよう! な?それがえeぐえ!!」
出た・・・・・・
バカが人形に乗り移ってやって来た。
そして瞬時にアキラにアイアンクローをかけられぶら下がる。
「あだだだだ!なべヤン!? そんな!?学園の外やのになんで此処におんねん!!」
「今日は課外授業なんだよヨッシー!そして俺は引率で此処にいるんだ。お分かり?」
メキメキと人形の頭から嫌な音が鳴り出す。
臨界者なら林檎を握りつぶすより容易にあの人形を砕くことができるだろうが、敢えて万力の様に締め付けているな。
「タンマ!タンマや!なべヤン! 春先でやらかしてからワイも学校でのナンパ もとい取材は控えてたやん!? 今日は美女の匂いが大量に流れてきたから来たわけであってなべヤンの生徒やとは思わんかったんや!!」
「遺言は終いか?俺たちの祖国、此処では東方の島国に【丑の刻参り】という呪詛があるのは知っているな?面白そうだから、お前で実験しようと思ってこの前の折檻の時に髪の毛を拝借したんだが・・・この世界で通用するか試してやろうか?」
そう言って藁人形とシン国の漢字で書かれた札、五寸釘、木槌を取り出すアキラ。
「止めて!?洒落ならんよソレ!?カンストのワイらがやったら洒落ならん威力になりますよ!?」
おお!流石、ジパング!そんな呪術も存在するのか! 内容から察するに髪の毛を媒体にする呪いの様だな身代わり人形の真逆の効果を与えるのだろうか?今度二人きりで内容を訊いてみよう♪
「命が押しくば課外授業に付き合え。」
「手伝う! 手伝いますから! だから丑の刻参りは勘弁してくれへん!? 髪の毛も返すか放してくれへん!? 頼むから!」
「今回の働き次第だな・・・・・・」
うん私も悪魔とか言われるがアキラも大概だな・・・・・・
生徒たちも必死で自分の髪の毛を抑えている。
この出来事で髪の毛を不用意に捨てたりすると死神に盗られて殺されるという怪談が出来るのだがこういう行いがアキラの強さや畏怖につながるのでは無いのだろうか?
閑話休題
そして死都の第二層にやって来た。
本来、死の匂いや濃密な魔素で重苦しい雰囲気を放つのだが生徒に不安な表情をする者はいない。
アキラと私が設計したあの鬼畜ダンジョン、学園迷宮で揉まれた生徒だ。
当然だろう。
それに七英雄が二人(正確には三人)大精霊が一人(正確には二人)いる上に自由の槍のメンバーがいるのだ。
ピクニックでも、もう少し緊張感があるのではなかろうか?
そして私の心配は杞憂に終わる。
人形師の田中が彷徨う鎧や屍人を身体に仕込まれたギミックで武器を飛ばしたり、銃器で乱射したりして惹きつけ、それに向かって治癒魔法や聖水、治療薬を染み込ませた短剣や弓矢が雨あられと打ち込まれ、更に【火球】攻撃も加わり、何時もの三倍以上もの火力が加わり魔物を殲滅していく、魔物を倒すと同時に聖水を振りまき、周囲を浄化していくのも忘れない。
第二層に散在していた国軍、ギルドハンターとも合流し、一気に殲滅、浄化を続け、自由の槍は後方支援に徹して進軍し続け・・・・・・そしてとうとう第二層を攻略、浄化に成功したのだ。
そして第三層・・・・・・死都の中心部の攻略に差し掛かり、アキラが一旦中止を呼びかけた。
「は~い 今回はここまで! 皆さん特に白魔術師と薬師の人は物足りないかも知れませんがキリがいいのでここで止めまーす。 日も暮れてきたし危険です。 補給もしないといけませんので明日は第2層の復興作業に入り、補給地点の作成を行います。」
「先生。私たちはまだいけますが?」
「万全の状態を期します。 先生はボス戦前には回復地点でセーブする主義なんです。」
ああ、今、生徒達の心が一つになっただろう。
(お前が言うな!)
と学園ダンジョンのボス戦前の部屋に回復の泉に偽装した毒の泉を設置した男のセリフでは無い。
「はいはい冒険ってのは家に帰るまでが冒険なんです。気を引き締めて帰りますよ!」
「遠足のノリかい!?」
そうして今日の快進撃は終わり生徒達を引率して帰していったのだが。
生徒達を返したあと私とアキラが第三層の前に再集合していた。
「どういうことだ?他の皆には内緒で再集合とは?」
まさか!死都で逢瀬か!? そんな人気の無い所で! ふ不謹慎な///
私は外面に出さなかったが内心、期待に満ちていたのだが次の瞬間、素に戻った。
「なんやなべヤン。まだワイを扱き使うんか?」
「アキラさん?私に用とは?」
人形師と受付嬢がやって来た。
チィ!デートでは無かったか!
というかよく考えなくともナミはアキラの影に待機しているだろうし、二人きりでは無いか ハァ。
「第三層からイヤな匂いがする。 これに近い感覚を俺は知っている。」
「・・・・・・真逆、黄泉の入口の?」
「ああ・・・不死者、それも特上の奴だ。俺のスキル【危険感知・改】が大音量で危険信号を発する程にやばい奴、カンストクラスの化物が死都の中心部にいる。」
私たちは歴史上からその存在にあたりが着いた・・・・・・嘗てこの都市国家で臨界者と争った人類の天敵、死都へと変貌させ、この街と運命を共にし、滅んだ筈の最強の魔物の一角を・・・・・・
「吸血鬼の真祖、それも臨界者の超大物が中心部にいる。」
次回、VS人外の臨界者




