表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界攻略のススメ  作者: 渡久地 耕助
難攻不落

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

210/238

霊剣・日立

前回のあらすじ


アキラの死亡フラグが増えたw

 ――源呼吸


 アリシアは即座に奥の手を使う。


 反発しあう気と魔力を混ぜ合わせて練り上げた霊力が心、技、体、全てが爆発的に上昇する。


 強制的に心は落ち着き、眼前の敵を斬るのに最適な答え(剣技)が浮かぶ

 高い精神力によって剣技は鋭く、冴え渡る。

 精神が肉体を凌駕し、限界を超える一撃を放つ事を可能にする。


 世界最強(カグヤ)にも届いた剣閃。

 それを文字通り源呼吸の一息(・・)の間に九つ同時に繰り出す。


 唐竹からたけ

 袈裟斬り(けさぎり)

 右薙みぎなぎ

 右斬上みぎきりあげ

 逆風さかかぜ

 左斬上ひだりきりあげ

 左薙ひだりなぎ

 逆袈裟さかげさ

 刺突つき


 迷宮の守護者とはいえB評価のボスには過ぎた九斬撃。

 回避不可能の過剰攻撃(オーバーキル)の剣撃。 


 それを―――


「【裏技・名護屋撃ち】」


 黒エルフ(リーパー)の体が明滅し、九つの斬撃、その全てが擦り抜ける。 


「はい!!」

「――ぐぁ!!」 


 そのまま掌を鎧に充て、至近距離から風魔法の衝撃波を叩き込まれる。


 【名古屋撃ち】


 源呼吸と転移魔法の複合技術。


 転移魔法を同じ座標に連続で飛び攻撃を透ける様に回避

 接敵した相手に零距離で魔法攻撃(カウンター)を叩き込む裏技。


師匠(アキラ)の技……」


 アキラの対剣士用に開発したスキル。

 死神が近接戦の切り札が目の前の黒エルフ(リーパー)が放った事に少なからず衝撃を受ける。 


 ――受けるがアリシアは即座に冷静になる。

 源呼吸は今尚、発動中だ。

 加えて冷気を放ち頭も冷やす。


 彼女の正体に関しても察しがついてくる。

 察しは着くが、現状を打破することに専心する。


「おっと危な〜い」


 黒エルフ(リーパー)の死角から弧を描きながら魔力の矢が幾本も飛んでくる。

 フィオナが放った援護射撃。


 当然のように回避されるが、この程度は予想通り。

 アリシアは剣に冷気の魔力を込め、再度斬りかかる。

 そしてフィオナが更に追撃の矢を連写する。


「氷結剣・凩一閃!!」

「水矢・乱れ打ち!!」


 線と面の同時攻撃    

 威力、攻撃範囲共に申し分ない合わせ技が黒エルフ(リーパー)に襲いかかる。


「しまったーーー!!……なんちゃって。」


 口では驚きつつも黒エルフ(リーパー)はそれを予期していたかのように動いた。


「召喚魔法・剣林弾雨」


 地面から召喚光が溢れる。

 十二丁の魔剣が召喚され、黒エルフ(リーパー)を護る壁となり飛んできた冷気の剣閃を弾く。


 残りの魔剣は上空に向かって射出し襲いかかる魔弾を迎え撃ち爆発し吹き飛ばす。


「【縮地・廻】」

「おお、速い!?」


 回転を加えたステップで相手の背後を取り振り返り際に剣を抜いて斬りかかるアリシア。

 慌てて手をついてしゃがむ事で回避するリーパー。


 頭上を剣が通過するが、返す剣が再度、襲いかかる。


「……錬金術・土槍隆起」 


 地面に手をつけていた事で地面に錬金術を掛け、土槍を錬成。

 アリシアに向かって幾本もの土槍が襲いかかる。


「縮地・廻 連結――氷結剣・【吹雪乱舞】!!」


 土槍を躱しつつ再度、縮地からの魔法剣を振り続ける。

 黒エルフ(リーパー)の周囲を高速で走り回り続け、冷気と剣圧が吹雪の如く吹き荒れる。


「ちょっ!! ボクの柔肌に優しくない攻撃をしないでよ~……もう!!」


 癇癪を上げるような声、空気を読まない様な態度。

 しかし、繰り出された手刀はアリシアの動きが吹雪と化したアリシアの動きを止める。


「―――!」

「全く危うくボクの柔肌が凍傷と擦り傷が出来るとこだったよ~

 ――ってよく見たらそれってば地を揺らす獣(フェンリル)の魔剣じゃん。」


 アリシアとフィオナは絶句する。

 マイペースな口調、纏う寒さを覚えるような熱気。

 形勢を逆転させるかのような一撃。  

 その全てに見覚えがある。


 同時にアリシアとフィオナは剣閃と魔弾を目標に向かって放つ。

 互いに合図などしていない。けれど、二人の攻撃は完璧に同じ呼吸で十字砲火となって黒エルフ(リーパー)に襲いかかる。

 それに対してリーパーは躱そうともしなかった。


「日立、抜刀」


 力のある言霊と同時に腰に指した魔剣が抜き放たれる。

 それだけで、周囲の地面が揺れ、不自然な森がざわめいた。


「――なっ!?」


 アリシアの剣閃が消え、フィオナの魔弾が全て消失した。


「くっ! アリシアさん、一体何が起こったんですか!?」


 この現象に見覚えの無いフィオナが座学で勝るアリシアに問いかける。


「魔力を吸収した……? いえ、違いますあの剣から感じる力、霊剣?」


 抜き放たれたのはあろうことか木刀だった。

 自然と共に生きるエルフが持つには相応しい武器。


 即座にリーパーの持つ剣をスキルで鑑定、解析する。


 【霊剣・日立】


 アリシアの鑑定眼で判ったのは霊剣である事と、剣の銘。

 しかし自分のスキルでは計り知れない名剣である事が判った。

 そして、自分がその剣に魅入っている事に驚いた。


 不思議と魅力を感じる不思議な剣。

 見たところ、魔力を吸収する効果もある。


 ――気になる。


「ん?気になる?この剣が何の剣か気になるかい?」

「ええ、正直、貴女の正体はどうでもいいですが、その剣に関しては興味津々です。」

「酷っ!?」


 警戒しながら思考する為に会話を引き伸ばすアリシア。

 先の一連の流れを思い出し、原因を探る。

 そして、気づくのは本来、ありえない事実。

 名も知らぬ木刀に魔力が収束し吸収された。


 魔力吸収効果を持つ剣。

 だとしたら、自分たちとの相性は最悪だ。


「それで……自称、アキラとカグヤさんの愛のけっ……いえ悪巫山戯の結晶さん。」

「何で言い直したの?そのままいけばよかったじゃん……で、何?何?この剣の事が知りたい?」

「何故、此処に居るんですか?恐らく貴女の持ち場は30層か、最下層の筈ですよね?」

「へ~ご明察だね。 でも30階層までには罠も魔物もいないんだよ?」


「どういう事ですか?」

「皆、このボクと刀の元に集まって来るからさ。」

「私達が貴女とその刀を目的にすると?」

「そだよ? でも今の君たちじゃ未だ未だ資格なしだね。」


 その言葉にアリシアとフィオナの眉根が寄る。


「ま、ゴーレム相手に正面突破出来るくらいになったらお出でよ、今の君達ではどうあがいでもボクには勝てないって判るだろ?」


 確かに、此処には調整と調査に来たのが理由である。


 魔法か魔力を吸収する効果を持つ武器持ちのボス。

 それも死神と武神の子供を名乗る少女の姿。


 一度、撤退するのが手だろう。


 戦闘を強行しても裏技による回避術で接近戦は通じず、

 遠距離攻撃も無効化される。


 転移魔法陣と回復魔法陣でノーリスクで修行に望めるが、そんなハリボテの様な強さを纏った所で本当に強くなれない。

 情報を持ち帰る必要がある。


「では、私達は出直すとしましょう。帰りますよフィオナさん。」

「え、ええ。」


 元いた階層へと引き返す。

 20階層と21階層を繋ぐ回廊には帰還用の片道転移魔法陣が存在する。

 迷宮の授業もここまでやれば上出来だ。


「また来ます。」

「ええ、楽しみにしてるよ。父さんと母さんによろしくね~」


 リーパーは背中を見せて帰っていく二人の生徒を手を降って見送る。


「あれが、主様の弟子かぁ、さて次会うのが楽しみだな~」


 最後にそう呟いて21階層から姿を消した。


 ◆◆◆◆◆


 この後、迷宮にアキラの隠し子が居るという根も葉もある噂が王立学園内に広がったのは言うまでもない。

 

アキラ印の剣。


魔剣・稲葉

100人乗っても大丈夫な頑丈な黒刀 柄と鞘は道具袋代わり。


霊剣・日立

不思議な木刀 材質不明 気になる剣。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ