受付嬢だってヒロインです！ 2
多忙な七月よさようなら、バカ～ンスな八月よこんにちは!!
お待たせしました。
もう、エンドレスサマーって感じで更新します!!
---リィーン視点---
ギルマスに就任し、早速身の回りの整理と、夢の為に足場固めを始めました。
ガリア、南西部に位置するトゥールーズは探索者、冒険者の狩り場と同時に、墓場ともされる土地である為に
ルーは黄泉の入口を攻略する為に部下の育成と信仰を集める為に慈善事業と賞金首の盗賊、魔物の討伐を行いはじめました。
私も負けず、ギルドでの人材発掘、育成に力を入れ、
治安維持も兼ねて町民の中に諜報、暗殺を任務とする
レベルと武術に心得のある部下を配置していきました。
私達の働きもあって地方都市の治安も向上し、
人体実験を行う地下研究場を潰したり、
盗賊や傭兵上がりのゴロツキを潰し続け、
残ったのは定職に付かない、小物程度と言うほどになる程には潰しました。
……決して、私たちは、いい男が見つからない腹いせをした訳では無いですよ？
そして、真の目的である婿探しと、その育成です。
トゥールーズ支部のギルドの男性陣で私の花婿候補？の方が大分絞れてきました。
先ず、円卓の騎士
アルマン、ロベール、ベルナール
彼等は冒険者では無く士官した立派な騎士なのですが、
治安維持を冒険者に任せるだけでは心もとないので、
普段は国境警備か憲兵として活動しています。
この三名の中でもアルマンは他の二人と違い、憲兵として街に駐在している為、接点が多いです。
彼は、棒術、棍術という東方の武術を操る不殺を胸とする武術ですね。
その為、生かして捕縛する仕事や、武器の持ち込みが禁止される場所でも活躍できる貴重な騎士です。
霊力も魔術士と異なり、鍛錬の果てに悟りを開き、霊力を身につけるタイプですね。
将来に期待ですね。
次に、銀狼の牙
ガーコルト 通称ガコライ
銀髪というルーを除けばあまり見ない髪色を持つ青年です。
剣と格闘術をバランスよく使い、カウンターを得意とする戦士ですね。
神獣の系譜か、契約者なのか、微量ながらに霊力を纏う時があります。
恐らく、相棒のア二という私ですら経歴を追えない魔女が関わっていますね。
彼女の契約者でしょうか？
略奪愛……もいいのですが、どう見ても彼はアニさん以外、眼中にありません。
残念。
ケビンという弟くんがいるみたいなので、彼を私好みに育てましょう。
アキレウス学園に推薦状でも書きましょう。
蛇女の尻尾
アデーレさんが抜けて以来、落ち目ですね。
アデーレさんに戻ってきても大丈夫なように、身の丈以上の依頼を受けるきらいが見えます。
無茶な死線を越えてきた経験か、多少は霊力がついていますが、地力が低いのが残念ですね。
婚約者候補には届かないでしょう。
主な男性陣は以上!?
妖精の涙や猫の目等、強力な実力者は全員 女性で構成されています。
うう……アルマンさんとガコライさんとケビン君が狙い目ですけど……
運命的ではありません。
そんな日々を過ごしながら一年が経とうとした頃、
状況は動き出しました。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
人造聖人計画の支部を潰し、聖女と実験体の子供たちを保護した日の朝、
ルーがその施設にいた古代種の少年を仲間に入れたという自慢を営業スマイルで聞いていた時、
部下から気になる報告が念話で送られていました。
『……余所者ですか？』
『はい、執事服に黒いフードコートを着た若い男です。
突如、商業区の路地裏に現れた後、ギルドの場所を訊ねてきました。』
執事？
貴族側からアポは無かった筈ですから
どこかの貴族が何かギルドに依頼でもしに来たのでしょうか？
若く、新顔という事ですからギルドに顔合わせと言う事ですかね。
仮に刺客だったとしても、
ギルドナイトに加え、現在ルーと古代種の少年がいる以上、大事には至りませんね。
むしろ、飛んで火にいるなんとやら…ですね。
ですが、そんな情報を私に態々報告してきたという事は……
『いい男なのですね？』
『強面ですが、磨けば光るタイプです。 眼力系男子？』
『いい仕事です。給料に色をつけておきましょう。』
そう、本業の婿探しの報告です!!
ギルドナイトの女性隊員も寿退社する為、この手の話題が好きな為、積極的に協力してくれます。
霊力持ちの探索者、冒険者にも裏クエストとして、霊力の高い者を見つけ次第、
住所や性癖、性格などを逐一ギルドに報告するよう伝えてあります。
ギルドカードで表示される者に、趣味嗜好、人格は出ませんから、
こういう生の情報はとても貴重です。
執事という事なら、教養は高いでしょう…
最悪、私がその人を雇って…いけない主従関係を………それから、それから～♪
妄想を含まらせ、内心を周囲に悟られない様に、
営業スマイルで隠しつつ、ルーと雑談する中、彼は来ました。
ふむ……フードを深くかぶった執事？
というより、商人風？ 少し、執事とは異なる服装ですね。
歩き方からも、重心が座っていますし……
素人ではないですね。
服越しに肉の付き方を観察しても投擲と格闘術……両腕が要なスタイルでしょうか？
ルーも立ち止まり、スペクタクルズで執事服の青年を凝視しています。
私に向かって真っすぐ歩く彼をみて、霊視で注視しようとして
…驚愕しました。
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名前 ■■■■■
性別 男
レベル 1
クラス なし
魔法 なし
スキル【拳闘術】【■■戦闘術】【投擲】【挑発】
【調理】【歌唱術】【速記術】【文才】
固有スキル ??? ???
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戦闘スキル三種に、精神系スキルが一種
唄って料理が出来て、詩も書ける上に、文官としても扱える程の多才な能力値に加え、
固有スキル持ち!? それも二つ!?
しかも、私の霊視を持ってしても真名とスキルを完全に見れないなんて…
能力値に至っては完全に隠蔽され、
分かるのはスキルとレベル、性別のみ……
霊視で見ようとしても、闇のような、陽炎のように輪郭がぼやけ、看破出来ない。
レベル200相当の私の霊視、スキルを持ってしても看破できないなんて!!
しかし、この一年で見に付けた受付嬢としての仕事と10年以上にわたる暗部での経験が動揺を出さず、
坦々とギルドカードの登録と、説明を済ませます。
兎に角、逃がしません。
住所欄、氏名、年齢などを住民票に記帳しながら、しっかり覚えます。
実力は不確かでも、この街で影ながら鍛えれば相当な実力者になるかも知れません。
彼が去った後、ホクホク顔で、ギルドカードの控えを胸にしまってしまいました。
後でルーがスカウトしたがって文句を言いに来ましたが、
登録した以上、彼は此方の物です。
結構ごねましたが、知りませんね。
◇◆◇◆◇◆◇◆
私の持っているギルドマスターカードは登録した人物のステータスを、
霊視しなくても表示できる特別製です。
なのに、それをもってしても執事服の男
アキラさんのステータスを閲覧できません。
故障や不具合では無く、
正体を隠蔽するか、認識を阻害する呪いか加護を持っているのでしょうか？
潜在能力は高そうなので、監視を続けていますが、
彼は、ここ数日は商業区を中心に小間使いをし続け、
その猛禽類の様な相貌に相応しく、
爪を隠して雑務クエストばかり受けているようですが、私は騙されませんよ？
ふふふ、狙った獲物は逃がしません。
かなりの素質持ち…それも正体不明の固有スキルなんて
彼ほどの人材はルーを敵に回して手に入れてもお釣りが来ます。
ほら、恋は戦争といいますし。
後で（スト―キングと越権行為で）手に入れた情報も興味深いです。
彼は突如、何もない所から街に現れ
レベル20弱のゴロツキ三人を素手で無力化し、
相手を睨むだけで萎縮させ、気絶させる強力な眼力を持っている。
恐らく、■■戦闘術は対人戦でレベル差を覆す強力なスキル。
正体不明の二つの固有スキルの正体は魔眼系と、隠蔽、認識阻害の呪い
と言った所と当たりが付いています。
召喚か転移能力者の線も在りますが、認識を阻害する能力なら、この街の関所やギルドナイトの眼を掻い潜ってこの街に入れないでしょう。
謎の戦闘術ですが、対人しか効果が無いというのも、裏が取れています。
クエストで下水道の掃除の際アキラさんはスライムの襲撃に遭うも、
対人では無類の強さを誇った戦闘術がスライムには全く効かず。
息を切らしてやっと追い払うという脆弱さを見せました。
その軟弱さに、違和感と、少々評価を下げようとしたのですが、
彼が、仕事帰りの途中、以前叩きのめした三人組のボス？がお礼参りに来ました。
ですが、彼はスライムとの死闘？で疲れているにも関らず、
また、一撃で返り討ちにしていました。
これは、対魔物に対する攻撃能力の欠如でしょうか？
対人戦闘術を強化する為の代償でしょうか？
あの隠蔽された【■■戦闘術】の効果…要調査ですね。
よく生命力を犠牲に強力なスキルを放つ所謂捨て身系の契約魔法、スキルでしょうか？
だとすれば、対人との戦闘を主任務にする暗部に欲しい逸材ですね。
斥候の職業を専攻した人材では？と思いながら、彼の評価をギルド帳に記入しようと、マスターカードを閲覧した時、
私は驚愕しました。
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名前 アキラ
ランク E
性別 男
レベル 2
クラス バイト戦士 new
魔法
スキル【初級・錬金術】new【薬品調合】new
固有スキル ??? ???
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増えてます。
なんだか、新しいスキルが増えています。
何故か厨房での雑務クエストを受けた翌日に、錬金術と薬品調合のスキルを修得していました。
普通、調理スキルの熟練度が上がったら、調理から中級料理といった感じにスキルアップするのですが…
何故？ 錬金術と薬品調合？
何か、料理に危ない薬でも入れているのですか？
しかも、それを置いていても通常、こんなペースでスキルを修得するなんてありえません。
卵も割れない子供が、翌日には、宮廷料理を作りだすようなものです。
更新されるギルドカード（マスターカード）の情報を見て戦々恐々とします。
その日からアキラさんの、生産系技能が爆発的に増えだし、随時更新され続けました。
さらに一週間後
とうとう、露店で売り出した新薬（もはやエルフの霊薬クラス）と携行食品（美味しかったです。）が売れまくり
商業ギルドから私のギルドに苦情が来るほど、プチ市場危機が起きています。
本当に何者ですか!?
勘違い系…ではないのかな。多分。
