魔法少女とメイドと花嫁と……
一ヶ月ぶりの更新、黄金週間中はなんとか更新続けるよう頑張ります。
闇属性
色々なファンタジー物でもよく悪役や魔王サイドが使う事で有名な属性だ。
……中二病患者が好きそうな属性だな
俺はこの属性を【闇撫】や【影分身】【影転移】など闇や影を媒介にして行使するが、この属性の本来のあり方は、光属性の癒しの力とは対極の【呪い】で魂、霊体に【吸収】や【隷属】【霊体の実体化】といった形で干渉できる属性である。
【影分身】も俺自身を呪う事で魔力、生命力を吸収させ発現させているが、本来は自身では無く、他者の”もうひとつの魂”といえる【影】に呪力を掛けて実体化させ、吸収させながら同士討ちにさせるのが正しい使い方だ。
窮地において自身のステータスを爆発的に底上げし、一発逆転するスキル【窮鼠猫噛】も窮地に追いやった対象を呪いによる報復という形で発現する為、闇魔法属性にあたる。
精霊化したカグヤに物理的ダメージを与え、回復の阻害、遅延も闇魔法属性の呪いの特性だ。
長くなったが、俺は何が言いたいのかというと、俺が得意としている闇属性魔法の大半は魂に干渉出来るわけであり、高位霊体の大精霊にも効果がある様に、何処ぞの人形に命や魂を吹き込み変態白衣には【丑の刻参り・改】が効く事からも極めて効果的だということだ。
「……という訳だ。さぁどの闇魔法がいい? 好きな技でコロコロしてやる。」
「グフッ キアラちゃん? それ、どれもワイの本体に影響のでる天敵とも言える魔法やねんけど」
可憐な少女が、青空の下のコミケの会場である砦裏で変態が白衣をきた様な関西人を影から立ち上る幾本物黒い触手で締め付け、死亡宣告を放っていた。
認めたくないが、可憐な少女とは俺こと渡辺・アキラ(23)♂
対する今にも呪殺されかかってる変態白衣は 田中・ヨシツグ(24)♂+∞だった。
現状を客観的に見たら後で死にたくなるが、それよりも先ずは、この馬鹿の始末をつけねばなるまい。
魂を他の媒体に移して逃げることも、他の分霊で逃げることも許さん…【丑の刻参り】では俺の怒りが収まらん。
直々にコロコロしてやる。
「クックック……ねぇ、死にたい? 死にたいんだよねぇ? だって俺が好き好んで女体化しているんじゃ無い事を知ってる癖に!! 一刻も早く記憶から消去すべく努力しているのに、人形なんて形でこの世に送り出しやがって!!! その癖、妥協もしねぇ高度な造りとか嫌がらせか!!! 道中に変な視線を同性から受けて鳥肌が止まらないんだよ!!」
俺の怒りに呼応するかの如く、【闇撫】の威力が上がり、影から伸びている腕がより太く漆黒に染まる。
なんか言葉遣いがおかしくなってきたけど、そんな事はどうでもいいわ。
目の前のバカを魂ごと握りつぶしてやる。
「ぎゃあああ!締まる、締まってる!! 影の触手でワイの魂が締まるぅぅぅ!!!」
馬鹿が断末魔の悲鳴を挙げているけど許さない……あの周囲からの視線、鼻の下を伸ばした男共の鼻息、視線、表情を思い出しただけで鳥肌が立つ。
その元凶を今ここで経つのだ!
「グフっ ワ、ワイは【あきらちゃん☆プロデュースさせ隊】の中でも最弱No.4の存在……他の隊員と隊長はこの様には、行かへんで…ガク!」
「何を訳のわから……ハイィ!?」
辞世の句でも詠むのかと思いきや、聞き捨てならないセリフを吐きやがった。
同類が後三人もいるのか!?
これは即刻、影の魔手を手刀に変えて傲慢なショタっ子人造人間の如く影の斬撃を変態に叩き込まねば…、いや違う!
この手のバカ騒ぎ(特に俺が関わる事に関して)に笑いながら協力する奴がこの砦内にいる。
バカを放り投げ、影転移で今すぐこの場から逃げ━━━
「知らなかったのですか? 女帝からは逃げられない~♪【あきらちゃん☆プロデュースさせ隊】隊長 カグヤここに天・孫・降・臨♫ 」
…………イヤ、本当勘弁して下さいよ。
もう本当、振り返りたくないし、転移で逃げたいのだが、見つかった以上、目の前で逃げようものならこの暴君の機嫌がマッハで悪くなり、何を仕出かすか分からない。
覚悟を決めて振り返ると、満面の笑みを浮かべた戦女神がそこにいた。
しかも何故かメイド服だった。
眼福ではあるが皇帝が使用人の服を着るのはいいのか?
「……毎度、毎度斥候職の俺の背後を取るとか本当何者だよ…」
カグヤの実家は分家とはいえ、歴とした旧家との事だが、忍者の末裔とか言われても納得出来る隠密技能だし、俺みたいな魔法やスキルで強化されたニワカとは違う本職染みた気配の消し方だ。
「うふふ、皇帝が着るからこそ面白いんじゃないですか~♪ それに恋する乙女には気になる異性に気づかれずに追跡するスキルが初期設定で備わっているんですよ~♥」
世間は其れをストーカーというんだが? というか前半部分は口に出してないだろうが
マリアみたいに心を読むな。
「フフフ、それに、その姿のアキラさんを逃すわけないじゃないですか~♪
あ、今はあきらちゃんでしたっけ?
相変わらず唆る気配ですね~♥
本当、殺すも良し、愛でるも良しです~
ああ、あの時の記憶が、アキラをこの手で切り裂き、焼き尽くしたあの感覚が♥ ホゥ……」
ヤバイ、あの最も長い一日と、カグヤとの初邂逅での激戦が脳内でフラッシュバックする。
走馬灯だコレ。
「あ~♪ でも、今はダメですよ 私! 折角のお祭りを台無しにしては、またユイファンに怒られてしまいますし、始末書を書く羽目に… でも、デモォ目の前にこんなご馳走……方天画戟Ⅱを先っぽだけでも突き刺したい……♥ それに私を差し置いてエレノアと戯れたり、アデーレさんや、マリアちゃん、アニさんと楽しそうにワンちゃんを狩りにいった挙句、野球拳で私を公衆の面前で辱めようとしたり…憎くて愛しい人が……カモネギの如く私を挑発してる……♪ もう、私、私!!」
このメイドモドキ、目がイってやがる。
グルグルと目を回し、頬を紅潮させ、ヨダレが垂れている事からも明らかに正気じゃ無い。
アレの頭の中はもう、目の前の俺を殺すか着せ替えて愛でるかしないと収まらない。
暴走寸前だ。
しかし、天は俺を見捨てなかった。
「待て、カグヤよ。 アキラに色々な意味で手を出すのはこの女神たる私が許さん。」
その凛とした声、アルビノ容姿、ブーケを手にし、純白のウエディングドレスを纏った現人神、太陽の女神ルーが降臨した。
………うん、君もなんでウエディングドレス?
確かに女性にとってコスプレというか着る機会が少ないから人気もある衣装かも知れないけど……
あ、あれか?
セイラから剥ぎ取った聖骸布の複製品(俺作)それを元に作った奴か…もう完成したのか?
「アラアラ、ルーさん。 人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られますよ? それに何ですかその格好は?
式場なら砦にはありませんよ?」
「問題無い、教会とは本来私の家を指す。つまり、私が入った瞬間からその家屋は教会だし、式を上げる事も出来る。 今日は仮縫いだったが、折角だから花婿を迎えに来た。」
戦女神の殺気をどこ吹く風と受け流している!
いや、今は身体女性だけど姐さんマジ惚れるッス。
ルーに惚の字のミアータの気持ちが分かるな。
「あらあら♪ 折角、滅多に変身しないアキラさんを精霊化させてくれた立役者だったから見逃していたのに……そんなに薪になりたいのですか? キャンプファイヤーは未だ、先ですよ?」
「ハッ 泥棒猫が喚くな……まぁ序でに邪魔なライバルを排除するのもいいな…」
ん?
なんか不穏な空気が…
「光の女神が十字教徒を廃止した帝国領内では本国の様な信仰は得られませんよ?
その程度の神格で、ホームグラウンドにいる戦女神に勝てるとでも?」
メイド姿のカグヤがクルクルと方天画戟Ⅱに蒼い炎を纏わせながら振り回し始める。
「ふん、日の出ている日中、それも真夏のこの季節の太陽があれば、どうということは無い…チャチな焔よ、太陽の前では無力と知るがいい。 回答者に変わる新兵器の錆に変えてくれる。」
ルーも何故かブーケカグヤに向け(まさかそれが新兵器じゃないよな?)臨戦態勢を取る。
おい、バトルは祭りがぶち壊しになるからしないんじゃ無かったのか?
此の儘では俺を巡ってメイドと花嫁の死闘、それも最高神クラスの戦いが始まってしまう!
どうする俺! どうする!!
ライフカード
1 女装する。(諦める)
2 ナミを呼ぶ
3 男に戻る
4 逃げる
5 戦う
どうする!?
また、まとめ切れず……
次回こそ帝国編を切らないと!




