臣下
帝国なのにカグヤ成分が足りない・・・
補給しなければ!!
~帝都・宮殿図書館~
◇召喚獣◆
大精霊と対を成す存在、精霊・人間・魔物等の信仰に大きい影響を受け、姿、能力が変わる。
契約することで姿を安定させることが出来る。
風の大精霊⇔雷の召喚獣(王天虎)
水の大精霊⇔海の召喚獣(海龍)
炎の大精霊⇔焔の召喚獣 未確認
土の大精霊⇔地の召喚獣 未確認
闇の大精霊⇔闇の勇者
光の大精霊⇔光の勇者
元素の大精霊⇔起源の召喚獣 未確認
彼らの共通点がその属性に見合った災害の力を持ち、その災害と共に現れる存在である。
王天虎は雷雲と嵐を呼び
海龍は津波を起こす。
勇者の二人は戦乱という人災の中に現れる。
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◇◆◇◆◇◆◇◆
~帝都・皇室図書館~
戦力増強の為、新たな召喚獣、大精霊の文献を調べるためマリアとアキラは帝都の皇室図書館に訪れ、同じ机に座り、ふたりっきりで読みふけっていた。
何故二人なのかというと、カグヤは宰相のユイファンに捕まり、執務室に泣く泣く押し込められ、腹いせに田中の藁人形をメッタ刺しにした為、田中とビビは医務室へ、ルーは帝国に自分を祀っている協会の視察に行き、ナミはセイラに蘇生魔法、回復魔法の教授するために別行動を取り、テレサは東方の着物を物色しに行った為、残ったふたりで当初の目的である戦力増強の為、召喚獣と大精霊の契約を進めるために二人で調べることになったのだ。
アキラは騒がしい連中から開放され、肩の荷が下りた気分で文献を読みあさり、マリアは降って湧いたチャンスにそわそわしてしまっている。
紙のめくる音と、筆を走らせる音だけが響く中、密室の中で二人っきりという状況で、精神同調で本の情報を瞬時に読み取る行動を取れず、先程から内容が全く頭に入らず、筆も先程から図書館の密室で愛を囁く最早別人の域にまで美形化されたアキラの漫画を描き、妄想の世界に旅立っては、正気に戻り、悶えながら紙を丸めては捨て、妄想に入っては描きの繰り返しに陥ってしまっている。
一方、アキラは真剣そのもので、マリアの事を全く意識せずに次々、古文書、歴史書、童話の中から要点を抜き出し、まとめていく。
最初は、わかり易すぎるマリアの反応と今の状況を察し、別室で調べようとしたのだが、マリアが泣きそうになった為、仕方なく同室で作業に取り掛かり、没頭することで自信の煩悩を打ち消していたのだ。
そうしてマリアは一向に進まず、アキラは炎の召喚獣と地の召喚獣の正体と、次の発生場所におおよその当たりをつけ始めた所で闖入者が現れた。
・・・現れてしまった。
その闖入者は金髪の髪に戦闘衣を纏った賢者の姿をしていた。
そして淑女らしく、オブラードに包んだ挨拶をアキラに寄越した。
其れを意訳するとこんなセリフになる。
「随分、ナメた事をしていたようだな? 少し顔を貸せよ。」
◇◆◇◆◇◆◇◆
帝都・執務室
時を同じくして、ここにも書類作業に追われる七英雄がいた。
最強の七英雄 カグヤ・伊藤・ヴァルキュリア、その人である。
しかし、今の彼女は英雄と言われる猛々しさも覇気も無かった。
なぜなら・・・
「うわ~ん。 ユイにゃ~ん つ~か~れ~ま~し~た~。」
「誰がユイにゃんですか。 未だ、目を通してもらう書類が残っています。」
ユイファンに捕まり、今迄、溜めに溜た内政の執務に追われていたからだ。
普段は政務は元・シン国の皇女のユイファンが取り仕切っているのだが、政務の分野にも非凡な才を見せるカグヤにも政に参加させようと励んでいるのだ。
元・皇女である肩書きの通り、ユイファンはカグヤに滅ぼされた国家の内の一つ、シン国の元・皇女にして、火の大精霊の因子を体内に残す、姫巫女でもあった。
彼女の祖国がカグヤに滅ぼされた原因は彼女の実父に当たる先代の皇帝の過ぎた欲望が原因である。
類まれな美しさ、知性、武力と三拍子揃った絶世の美女であるカグヤの話を聞いた皇帝は、あらゆる力を使ってカグヤを手に入れようと試みたのだが、遂にはカグヤの逆鱗(正確にはカグヤ・ファンクラブ)に触れてしまい、返り討ちに合い、帝国の民衆と女性を敵に回し、果てには 火の加護を持つ、ファン家の守り神たる大精霊までもが皇帝に愛想を尽かして盟約を破棄し、カグヤと契約してしまい、結果、国を乗っ取られたのだ。
執務室で愛らしい顔でう~う~呻きながらも執務をこなし、内政に取り組む少女が其れをなしたとはとても想像できないが全て事実である。
そして、それで終わらなかったのが、カグヤの凄まじい所で有り、次々と改革案を出し、当時、男尊女卑の傾向にあった国風を変えようと、立ち上がり、それに反対する勢力を魅力と武力で黙らせ、国名をヴァルキュリアと改名し、世界を改革していったのだ。
彼女が日ごろ話す異世界の話をゆめ物語として聞いていたユイファンはこの少女が見ている世界に言ってみたい、新しい、世界を共に見たいと思うようになっていき、一層、尊敬の念を抱き、世界を統べる力を持つ、王にすべく、日々付き従うのであった。
そんな想いを知ってか知らずか、まるで担任の監修のもと、教室で居残り補修を受ける姿を彷彿とさせなるカグヤの口から出るのはおよそ、世界を統べる王とは思えない、弱音である。
「ふえ~ん。こんなの今日中に終わりませんよ~。 私は世界を救うためにアキラ達と遊びに・・・じゃなくて戦いに行くという使命があるのに~(泣)」
嘘泣きをして、執務室から逃れる言い訳をユイファンに並び立てるカグヤ。
しかし、並みの人間なら一発で落とせる泣き顔も、西欧諸国でいう精霊巫女のユイファンには通じない。
「私も、世界を救うなとは言いません。 しかし、世界の脅威を取り払った後に内乱が起こる要因を全て排除せねばなりません。 国内の元・王侯貴族が反旗を翻す事も考慮に入れて、政策にも力を入れるべきです!」
「もう、ユイファンがやってよ~! 宰相でしょ? 元・皇女でしょ!?」
「この世界に来て、僅か一ヶ月足らずでシン帝国を落とし、周辺各国を攻め落とし、国力を何倍にも上げた陛下に誰も代わりなど務められません。国民にも絶対的な支持を受ける貴方にとって変わるなど、私ではとてもとても。諦めて仕上げてください。」
「あ~ん!アキラさ~ん! 助けて~! 悪い龍に執務室に幽閉されたか弱い私を助けに来て~。」
「素手で竜を三枚おろしに出来る女性をか弱いとは言いません・・・いい加減に・・・」
ユイファンが続きを言おうとした瞬間、外から轟音が響いた。
驚いて、執務室から見える中庭の方を見ると、同じ五将軍のエレノアとカグヤが懸想しているアキラが対峙していた。
そしてユイファンが慌てて、カグヤの方に視線を向けなおすと、執務室の席にはカグヤの姿は無くなっていた。
そして扉は開け放たれている。
「・・・また逃げられましたね。」
色々言いたいことが中庭で騒いでいる同僚とチャンスとばかりに逃げ出した上司にはあるが、とにかく、事態の収拾をつけるため、ユイファンも騒ぎの元へかけるのだった。




