集いし英雄達 裏
お待たせしました 更新を再開します。
リハビリも兼ねて少しづつですが書いていきます。
ロマリア神殿 最下層
アキラ達が談笑しているのと時を同じくして、ここにも残りの七英雄とが集結していた。
勇者、海賊王、鉄人、駆除屋の四名である。
本来、敵対関係にある王国側、帝国側の七英雄だったが、とある目的の為に、この4名は同盟を組むにいたったのだ。
「それで?帝国にも匹敵する美女揃いの国に来たのに何故、薄暗い地下祭壇で野郎共と密談なんてしないといけないんだ? さっさと要件というか、手紙にあった事、聴いてさっさと帰りたいんだが?」
薄暗い地下祭壇の中、【海賊王】の二つ名を持つ七英雄 高橋・ワタルが口火を切る。
「俺も高橋氏と同感だな。別に美女は見慣れてるからいいんだけど、こんな薄暗い闇の中で蠢動する害虫共の本拠地にいると、ついつい駆除したくなってくるんだけど?」
伝説の猟兵の称号【駆除屋】一・コウスケも口調こそ軽いが、深くかぶった作業帽から覗く眼光からその言葉が虚勢では無く、本当に実行できるという事を実感させるスゴ味がある。
「・・・・・・」
【鉄人】と呼ばれる七英雄 鈴木・ゴウタロウは口こそ開かないが、周囲を警戒している。
高橋、一、鈴木の三人の元に、3日前に『この世界の真実と帰還する術を教える』と、日本語で書かれた手紙が送られ、その手紙と転移魔石が送られてきたのだ。
鈴木と一は先の佐藤・マリアが望郷心を利用されて、召喚者に傀儡にされ、カグヤ・アキラを追い詰めたと、帝国の宰相 ユイファンから聞き及んでいたし、自身の未来と暮らしを家族、友人、愛する者を全て奪い去る行為、しかも魔物が跋扈し、治安も現代日本に比べ、決して高いわけではない、アースで必死に生き延び、そしてアキラから得た情報で自分たちが戦争の道具としてこの世界に連れてこられたという事実を知り、事実上終戦したこの世界で未だに戦争の構えを見せるロマリアに良い印象は決して持っていなかった。
一方、鈴木と同じく、【勇者】山本・シュウも沈黙を保っていた。
此方は、三日前に転移で飛んできたセイラの成れの果てを見て、その遺体を見て、咽び泣くテレーゼが何度も脳裏を走り、思い悩んでいた。
自分と同じ異世界人と魔物には一切容赦しないアキラだったが、女子供の命を奪うような真似は決してしなかった。 帝国との国境線での戦いでも女性兵、士官、将校が多く在籍する戦乙女団を自身の命を危険にさらされても只の一人も殺さず撃退した話は余りにも有名だ。
以前、協会の教えやいうことに疑問を持ち、仲間を引き連れアキラの身辺調査の為にガリアに赴いて得た情報から感じ取った人物像も、悪戯好きで悪人のような鋭い相貌だが、実態は義理人情に熱く女子供に優しい青年というものだった。
そんなアキラが女性の命を奪うとは到底信じれず、只々、困惑していた。
「ふむ、真逆全員出席とは意外じゃな・・・・・・兎も角、先ずは此処に集ってくれた礼を言おう。」
振り向くと、杖を突いた枯木のような壮年の老人が、屈強な護衛騎士を連れて、地下祭壇の奥の部屋から現れる。
七英雄の面々は日は浅いが
「儂が主らを呼びつけた者じゃ・・・・・・いや正確には此処では無く、この世界に呼びつけた者。死神の言を借りるならば召喚者という奴じゃの。」
その言葉が言い終わるや否や、ニノが虚空から太刀を抜刀し、ゴウタロウが瞬時に強化服に換装して召喚者に襲いかかる。
だが、二ノの刀が、海賊王のサーベルに、ゴウタロウの腕が勇者の聖剣に阻まれ壮年の召喚者に届くことはなかった。
「何故邪魔をする!? こいつが、このジジイが俺たちの人生を奪ったんだぞ!」
「悪魔使いの少女、佐藤さんの一件で、こいつらが俺たちを戦争の道具の為に呼び出したということも姫さんやユイファンから聞いている。それを知って未だこいつ等を庇うのか?」
駆除屋が激昂し、鉄人が静かに問いかける。
だが、海賊王の目に光は無く、勇者は自分が何故、自分がこのような行動をとっているのか理解できなく、混乱していることに二人は気づき、召喚者を睨む。
「ハッハッハ、気づいたようだな。海賊王はこの儂が、自ら召喚した異世界人。厄介な精神防壁や大精霊に阻害されん以上、意のままに操れる。 勇者に至っては下から傀儡の為に用意した役職じゃ。神器や聖具といって渡した装備には装備者の魔力を吸って能力を向上させる効果の他に、体の自由を奪う魔法、呪いを仕込んでおる。 こやつらは既に我らの完全な駒じゃ。」
ニノとゴウタロウは帝国側の人間の為、カグヤの大精霊の加護を少なからず受けていたのである程度防御できたが、大精霊の加護を持たないワタルには人たまりもなく、勇者・シュウも神殿側が用意した自身の力に比例して強固になり、これまで幾度となく自分の命を守ってきた装備が今、自信を拘束しているという事実に歯ぎしりする。
「鈴木さん、一さん! 逃げてください! 」
ルーが残していった聖剣により、仮契約の状態であるため、ワタルの様に完全に洗脳はされず、必死に逃がそうとする勇者。
「・・・どうする鈴木氏? ここは勇者君の言うとおり、一度撤退するのもアリだと思うんだけど?」
「思ってもないことを言うなニノマエ君。もとより俺たちはこの召集が罠だと知ってて来たんだ。
この二人を倒して召喚者も捕らえる。
老人を叩きのめすのは気が進まないが、悪党にかける慈悲など無い。頭と胴体が残ってさえいれば問題あるまい。」
その答えに唇を釣り上げ、相対する海賊王を剣戟で弾き飛ばすニノ。
アキラと戦ったより遥かにバージョンアップした強化服の怪力で勇者を投げ飛ばす鈴木。
「渡辺氏や伊藤女史には悪いが俺たちで決着をつけるとしますか。」
その様子にカカカと嘲笑する召喚者。
「ほう。逃げずに立ち向かうか・・・じゃが、転生者二人に敗れた貴様らに儂の手駒と勇者を倒せるかな?」
その召喚者の口にめがけて、ニノが高速で放たれた鉄針を放つが、すかさずワタルは腰から中折式の散弾銃を引き抜き、散弾を放って全て撃ち落とす。
「やっぱ イキナリ王手は無理か。」
隙あらば、奇襲をかけて王手を狙うニノ。 ワタルが壮年の召喚者に操られていると知った以上、召喚者を攻撃すれば、ワタルを正気に戻し、数の理で勇者を無力化出来ると踏んでの攻撃だったが、相手も自身と同格の存在、そう簡単に事は運ばなかった。
「ま、いいか、要は勝てばいいだけなんだから、シンプルでいいね。」
気を取り直し、目の前のワタルに向かって太刀を構え、ワタルも銃を捨て、サーベルをフェンシングの様に突き出して構える。
「さぁ駆除の時間だ!!」
その声が合図となり、4人の英雄たちの戦いの幕が開いた。
・
・
・
・
・
・
此処に、4人の臨界者達の戦いが始まり、同時に召喚者と七英雄の反逆の戦いの火蓋が切って落とされた。




