或る夜の軌跡/and,
どうも、七つ夜です。中二病全開の高校生です。
この「ナイフと少年」が初投稿の文章となります。
稚拙な文章ではありますが、読んで頂けるのであればそれ以上に嬉しいことはありません。
……あ、言い過ぎました。悪いところの指摘の方が嬉しいかも。
では、前書きのくせにダラダラと自己紹介しやがって、と思っていらっしゃる方、そうでもない方も、どうぞ本編をお楽しみ下さい(ペコリ)。
ナイフと少年。
どこかで聞いた、この言葉が俺は好きだった。……いや、今もだから「だった」は間違いだ。
訂正しよう。俺は、この言葉が好きだ。
……このままじゃあ変態と思われるかもしれないから、理由付けもしておこう。
「ナイフ」とは、格好良さの象徴だ。あのギラギラとした危険な金属色の輝きが、あのスラリとした芸術的なフォルムが、とにかく全てが。
「少年」は、自分を重ねやすいから。ナイフという格好良い獲物を持って戦う自分。俺は、そんな幻想を心のどこかで抱いていたのだろう。
短いけれど、今まで生きてきて十七年。それはもう平凡な人生だった。それなりに勉強して、それなりの高校に入学して、それなりに友人とふざけあって。
そんな中で俺は、その言葉とそれが持つイメージを一時も忘れることはなかった。夢にまで見るほど、俺はそれに憧れた。もう、それは崇拝の域に達していたのかもしれない。
――そして、今。街の喧騒が少し遠のいている路地裏で、それは起こっている。
どくん、と胸の内側から強い興奮が湧き上がってくる。頭の奥がジンジンするほどに血液が全身に叩きつけられている。
――ナイフが描く、流線型の、銀色の軌跡。
「あ、あ、あ」
その声は恐怖から出ているモノじゃない、と確信する。だってこんなに俺は……
「は、ははは……はは」
この喜びに、胸を震わせているのだから。
――キン、と金属とそれに近い何かが交差する音。
続いて、電灯の光の届かない闇の中から小刻みにギラギラとした光が放たれる。
再び、交差。
キン、キン、キン、と心地よく耳に届く音の波。
その後に続く、一際高い金属音。そして――。
「おい、そこのお前。ボケッとするな。そこに居たら死ぬぞ」
――俺の目の前にすたっ、と降り立った、眼光までもが鋭い刃のような少年。
どこかで見たような気がしたが、そんな些細なことはどうでもいい。
いつまでも見ていたいような、そんな芸術的な瞬間が今、ここにあった。
「おい、早く退け。守りきれないだろうが……ッ!」
――闇の奥。鋭い光が、こっちに近づいてくる。そして、その光はゆらり、と目の前で掻き消え……。
「……あ」
スパ、という布が、そして皮膚が裂ける音。
それに次いで、ぱっくりと開いた自分の胸元から滲み出る赤い液体。
ああ、なんて綺麗なんだろう……!
彼らの闘いを、演舞を、もっと近くで見ていたかったのに。
……俺の意識は、そこで暗転した。
これがプロローグとなります。
一応は学生のバトル物なんで……
登場人物の名前が出てないのは仕様でございます、はい。
では、ここまで読んでくださった方、どうもありがとうございました。
僕の冒険はまだ始まったばかりだ!(打ち切りじゃないよー)