jewelry
ペンダントの宝石に意思が宿った。
石なだけに、なんてつまらないギャグは置いといて。
私の二十歳の誕生日に、自分へのプレゼントに買ったペンダントだ。八月の誕生石のペリドット。
『いいなあ。ボクも人間になりたい』
自我が芽生えたばかりの宝石は、私を見上げてそう言った。無邪気な可愛い声だった。
「代わる?」と私は話しかけていた。
『エッいいの!?』と弾んだ声がして、私は自分がとても素晴らしい提案をしたような気がした。
「いいよ」
そうしてペリドットの宝石は私に、二十五歳の私は彼女の胸元のペンダントの宝石になった。
無邪気な可愛い声でよく笑う宝石だった彼女は、私よりもずっと人間らしくて、私よりもずっとみんなから愛された。
人間だった私ははじめに言葉がなくなって、だれかに優しくみつめて愛してもらえる存在になってようやく、夜も安心して眠れるようになった。