2の五、~7/28
PET検査でも転移は認められなかった。CTと合わせて、現在は活性化している癌は無いということ。
では健康体か、治療は終了か、というとそうはならない。血管に浸潤してしまった癌は、身体の何処に潜んでいるか分からない。膵臓癌が厳しいのは、進行が早いだけでなく、一旦は切除などで治まったかに見えた後の再発率が極めて高いことだ。そしてそれを防ぐ、あるいは遅らせるために、抗癌剤治療は可能な限り続けられる。
現在の身体的な辛さや障害は、ほぼ全て癌由来ではなく抗癌剤の副作用だ。ここから解放されることはない。とは言え、これは贅沢すぎる言葉だろう。現状で得られる最善の経過なのだ。今、生きていることでさえ、決して当たり前ではないのだ。
喜びはある。間違いなく。
ただこの後の、どこまで伸びるか分からない闘いに向けて、少しの戸惑い、不安、そして気の緩み。
そんなものを感じてしまうのだ。
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癌は無い
PETの結果 告げられる
それでも続く 抗癌剤は
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どうやって 闘えばいい
目に見えず
緩む心と
潜伏する癌
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喜びは ある
生きている
今もまだ
そして明日も
きっと生きてる
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頭髪が 抜けると聞いて いたけれど
眉毛も消えた 抗癌剤で
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炎天下 アシスト無しの 自転車で
坂道上る
作り笑顔で
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残された 時間が 少し あるのなら
痩せ腕まくり もう一仕事