二十一、~4/12
歩くことを心掛けて、浜離宮恩賜庭園や清澄公園を訪れる。転勤で関西から出てきて35年も経つのに一度も訪れたことが無かった。今までとは違う時間の流れの中で生きているんだなぁ、と思う。
10日は妻と東京タワー近くの料亭で外食。12日は結婚記念日だが、その時は抗癌剤注入中で外出も食事も覚束ない。
歌は10日までのものだが、11日、診察を受けて、CTから見ても経過は順調、血液検査の数値も悪くない、という言葉を主治医から頂く。抗癌剤は尚、強い現在の薬剤を継続。効いていて、こちらに体力があるのなら、続けた方がいいという判断。予後の悪さに定評のある膵癌であれば仕方ない。
一方で、重粒子治療の実績として、中央値がほぼ生存2年。これが視野に入ってきたことを意識する。
長くは無いし保証もされていないけど、刹那だけでなく、少し長いスパンで人生を充実させ、楽しみたいと思う。抗癌剤の3日間が苦しいだけに、なおさらに。
卒業式出席時の歌が一首、こぼれていたので、第一首載せる。
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子らは歩む
自分がいない 未来へと
送る言葉は もう手渡した
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もう少し 手を繋いでて くれないか
セロトニンが満ち溢れるまで
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思い出の 味を 尋ねて 行き惑う
全ては 変わる 街も 私も
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物食えば 唇痛し 口内炎
キムチ、カレーと しばしの別れ
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散歩する
春の陽射し 緑の庭
癌のことなど 忘れたように
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足元で 桜が静かに 散っていく
東京タワーは 立ち尽くすだけ