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みかんマーマレード ~ご当地アイドルから異世界のアイドルへ~  作者: michu-hiryo
-プロローグ- 予期せぬことばかり
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第1話:予期せぬ事故

 その日みかんマーマレードの5人は愛媛県の、とある市の廃ビルで新曲MVの撮影を行っていた。午前中にリハーサルを行い、午後から本番の撮影が行われる予定だった。


「ねえ、今日のお昼は何がいいかな?」元気で食いしん坊な朝倉ひかりが、早速スタッフに尋ねた。

挿絵(By みてみん)


「ひかり!振り付けを覚えるよりも食べることばかりやん」と小声でツッコミを入れる榊原花音が笑顔で言った。

挿絵(By みてみん)

「あ、ひかり〜20分遅刻してるけんな。」ひかりに対して、笑顔で厳しい言葉を投げかけると、廃ビル内に和やかな雰囲気が広がった。


「あれ?ももことゆうなは?」ひかりは話題を変えるように尋ねた。


 花咲ゆうな、小田桃子、美咲真奈の3人はリハーサルを熱心に行い細々した段取りやセットの確認、スタッフとのやり取りをしていた。

挿絵(By みてみん) 挿絵(By みてみん)


そんな中、小田桃子は真剣な表情で監督の元へ走っていった。


「監督さん、少しお話があるんやけど」なにやら重たい空気が二人の間に流れているのが誰の目にも明らかでした。


「どうしたんやろか」ひかりが口火を切った。


「さーなんやろね」花音がその口火を鎮火させた。


 リハーサルは熱を帯びていた。


「なぁ、ちょっと聞いてくれん?新曲の振り付けを、少しアレンジしたらどないかなぁ思て!もうすぐ本番やし、気合い入れんといけんことない?!」真奈が提案した。


「そやなぁ!本番でパフォーマンスをみんなに見せるんやし、しっかり決めないかんけんな!」ゆうなが意気込んでいる。


 みかんマーマレードの5人はおにぎりを食べ終わるとすぐにリハーサルの場へ向かった。新曲の振り付けを熱心に確認し、ダンスの細部までこだわりながら、みんなでアイディアを出し合った。


「あぁ、でもちょっと、ここんところはもう少しキュートで可愛らしい感じで振り付けを変えるんはどうやろか?」ひかりが提案した。


「ほやな、ひかりんの言うとおり、キュートで可愛らしい感じがうちららしいけんな!」花音が賛成する。


 みかんマーマレードの5人は、一つ一つの振り付けを繰り返し練習し、少しずつ完成形が見えてきたとき、みんなが満足そうに笑みを浮かべた。


 リハーサルの終わりに、メンバーたちは手を合わせて撮影本番の成功を誓いあった。


「みんな、監督さんに素敵なパフォーマンスを見せるんよ!」桃子は恥ずかしげもなく自分自身にハッパをかけるように声を張り上げた。

挿絵(By みてみん)

「ん?何で監督さんなん?ももこ」ひかりは桃子に言い寄った。

「だってな、あれよ、やけん…ほら」顔を赤らめて行為があることを隠し切れない態度をとっていた。

「ほんと、ももこはすぐに顔と態度に出るけん、分かりやすいんよ」呆れた感じで花音が答えた。

 それに対して真奈、ゆうな、ひかりも同調するかのように頷いた。

「ほんなら!桃子のためにも絶対に一発OKって言わせるんやけんな!」ひかりが気合を桃子に入れた。「え?!何でうちだけなん!」


「頑張ろな!」真奈は桃子の肩を抱きしめ、ぽつりと囁いた。


 みかんマーマレードのメンバーたちは、午前のリハーサルを終え休憩に入った。おにぎりを巻いて昼食を楽しんだ。花音が手際よくおにぎりを巻いてくれたことに、ひかりは感謝の気持ちを示した。


「おお!かのん、ありがとう!」ひかりが笑顔で礼を言うと、花音もにっこりとひかりに応えた。


 廃ビルの一角で、みかんマーマレードの5人は昼


 食事を楽しみながら寛いでいた。しかし、桃子が突然口を開いた。


「ねえ、みんな、この廃ビル、ちょっと不気味やわね。」花咲ゆうなの声には少し震えが感じられた。


「ん?そんなん言われたら…。あ~!な、なんなん、幽霊でもいるん言うんかな?」青ざめた顔で真奈が声を乱して桃子に尋ねた。


 それに対して桃子は「ほやな、ほら、あそこのライトの後ろに」と指をさした瞬間「キャーーーやめてーや」と花音に飛びつく真奈でした。

「まーな、ごめ〜ん。ほんまに怖がりなとこは相変わらずやね」桃子は面白がっていた。


 桃子の不安な様子はゆうなにも感じ取っていた。だがそれは心の中に留めた。


「ん?どした〜ん、顰めた顔して。大丈夫やで、ゆな。お昼ごはんを食べたら元気になるけん。それにかのんが見守ってくれとるけん。」ひかりが何の根拠もない自信を花音に押し付けた。


「そやね、みんなで支え合えば怖いものなんか無いけん!」真奈が明るく言葉をかけた。「さっきまでビビットたん誰やったかいね」ゆうなが呟いた。それに対して真奈は顔をふくらませていました。


 みかんマーマレードのメンバーたちは元気な笑顔でおにぎりを食べながら、撮影の本番に向けて気合を入れていった。


 午後になり、本番の撮影が始まった。みかんマーマレードの5人はキュートなダンスと明るい歌声を披露し、廃ビル内に歓声が響き渡った。


 撮影が進むにつれて、不気味だと感じていた雰囲気も忘れ去り、みんなが一体となって素晴らしいパフォーマンスを繰り広げていった。


 しかし、思わぬ事態が起こった。撮影セットが不安定になった瞬間、みかんマーマレードのメンバーたちとスタッフは驚きと恐怖に包まれた。ビルの揺れは次第に激しくなり、一部のセットが崩れ始めた。


「危ない!早く逃げないと!」ひかりが叫びながら、他のメンバーたちと一緒に避難を試みたが、足元の不安定な状況ではうまく動けない。


 スタッフも慌てて逃げようとするが、足場の崩落が進み、誰もがパニックに陥った。慌ただしく廃ビルの外に逃げ出す中、みかんマーマレードの5人はセットの崩壊に巻き込まれてしまった。


 スタッフは近くの出口に避難することができ、一部の者が軽いけがを負ったものの、無事だった。

 しかし、みかんマーマレードの5人はセットの下敷きになってしまい、重傷を負った状態で病院に搬送された。騒然とする現場で、救急車が次々と到着し、緊急の治療が行われた。


 新聞記事にも記された通り、彼女たちの状態は非常に深刻で、脳挫傷や心肺停止などの重傷が原因で意識を失っていく状態だった。


 医師や看護師たちの最善の努力が払われたが、彼女たちの命を救うことはできなかった。


「地元アイドルグループ「みかんマーマレード」、撮影セット崩壊で悲劇の事故」という記事が全国紙に掲載され、多くのファンや地元の人々に悲しみが広がった。


 みかんマーマレードの5人の少女たちは地元愛媛をPRするために活動していた存在であり、地域の人々に愛され、応援されていただけに、その突然の訃報は大きな衝撃を与えた。


「みかんマーマレード」の代表者は深い悲しみの中、ファンや地元の人々に感謝の気持ちを伝え、亡くなった5人の少女たちを心から偲んでいるとコメントを発表した。愛媛県内では追悼イベントや献花台が設けられ、多くの人々がアイドルたちの思い出に敬意を示した。


 現在、警察と労働基準監督署による事故原因の調査が進められており、撮影セットの設計不良が事故の原因である可能性が高まっている。


 また、他の撮影現場における安全対策の点検も行われる予定だ。


 みかんマーマレードの5人の少女たちは、輝かしいアイドル活動をしていた矢先の事故により、突然の死を遂げた。その惜しみない才能と明るい笑顔は多くの人々の心に深く刻まれ、永遠に忘れられることはないだろう。


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