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昔話をいたしましょう

今夜も少しだけ。

明日は、夜また投稿します!

 ***


 ここで少し、昔話をいたしましょう。


お母様同士が古くからの友人だったそうで、幼い頃はよく公爵様が我が家へ遊びに来て下さいました。あの事件が起きる前までは頻繁で、私はいつも喜んでいました。


私の兄レオンと公爵様は同い年。私は彼らの三歳年下で、小さなお姫様気分を味わっており、その頃はまだ公爵様のことを、「ウィル」と呼ぶ図々しさもありました。


当時八歳になったレオンお兄様は、冒険が大好きな好奇心旺盛な男の子。


「ローズ! 明日はウィルが遊びに来るぞ!」


 ヒラヒラヒラ


 喜ぶ私の周りにお花が舞います。


「まぁほんとう? うれしい!」


 喜びのあまり部屋が色とりどりの花びらでいっぱいになりました。気持ちが高ぶると花を出してしまう体質なのですが、感情のコントロールが下手で、幼い頃は家中に花を咲かせていました。


「あはは! ローズが喜ぶとすぐ分かるなぁ!」


よく考えるとお掃除が大変な現象ですが、我が家の家族やメイド達は、昔から嫌な顔一つせず、綺麗だね、可愛いね、と褒めてくれていました。


 優しい人達に囲まれて、私は幸せ者です。


ウィルは昔から優秀で、魔法の才能に秀でていました。家庭教師も沢山居ていつも忙しそうでした。

 ですから、ウィルがその合間に我が家に来て遊んでくれると分かると、私は大量の花を咲かせ、大喜びしていたのです。


「ウィル!」


ウィルが来ると、わたしは玄関まで駆けていきます。抱き着く寸前でレディとしての嗜みを思い出し、急停止、スカートをつまんで礼をします。


「……いらっしゃい、ウィル。ごきげんよう」


すると決まってウィルは優しく微笑み「こんにちは。僕のレディ」と返してくれるのです。


 ウィルはいつも甘いお菓子を持ってきてくれました。

 公爵家の長男として、その爵位を継ぐべく勉強で忙しいにもかかわらず、その時の流行りのお菓子を手に入れては「ローズにお土産だよ」と差し入れてくれていました。


 至る所に花を咲かせてしまう私を、面倒がったり嫌がったりしない。年下の私を馬鹿にもせず、レディとして扱ってくれます。レオンお兄様とは違う、格別にかっこよくて優しい男の子。


 私はその頃、とってもウィルが大好きでした。今思えば、儚い初恋でした。


「わたし、おおきくなったらウィルのおよめさんになりたいわ!」


 突拍子もない不謹慎で身の程知らずなお願いをしたこともありました。

 その時聞いていた大人もギョッとした目をしたのを覚えています。


 でも、ウィルだけは、私の前に跪いて「じゃあローズが素敵なレディになるのを待っている」と優しく微笑んでくれたのでした。

 もちろん屋敷中にお花を咲かせたのは言うまでもありません。


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