表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/48

迎えにきてくれました

 アース様とお話していたその時、あたりが騒がしくなり、妖精さん達が逃げるようにアース様の元へ飛んできました。

 そして、必死に何かを叫ぶ声が聞こえます。


「ローズ!! ローズ!!」

「!!」


 聞き間違うことのない声。しかしここは妖精界。人間が簡単に来れる場所ではありません。私の願望でしょうか?


『騒がしいやつがきおった。人間のくせに我の地に足を踏み込むとは』


 人間!? では、やはり、この声は──。


「ローズ!!」

「っ! ウィル……!!」


 濃紺の髪、ワインレッドの瞳、パーティの為に着飾った王宮魔術師の正装姿。私の愛しい人がそこに居ました。

 私を発見すると一目散にこちらへ駆けてきます。


『そなたの迎えか。突き返すか?』


 首を横に振ります。追ってきてくれたことに、喜んでしまう私は、現金でしょうか。

 しかし、アース様は私を引き寄せました。何か不思議な力が作用しているのか、私は身体を動かすことも声を出すことも出来なくなりました。


 駆けつけたウィルと対峙した私たち。ウィルは見たこともない怒りの眼差しでアース様を睨みつけています。


「ローズを返せ」

『この娘は我が貰う』

「だめだ! ローズは私が妻にする!」

『娘はずっと泣いていたと私の家臣が言っているが?』


 ウィルは私が泣いていたことを知り、驚いた様子でした。そして、懇願するような眼差しで私を見つめて言いました。


「……ローズのことは、必ず幸せにする。私が、ローズでなければだめなのだ」


 どうして、私でなければならないのでしょう。王女様のもとへ行きたいのではないのですか。


 ウィルは弱々しい声で、「頼む、妖精王」と頭を下げました。

 頭上で「ふっ」と笑う声がしたと思うと、身体が自由に動くようになりました。目で行けと言われた気がして、ゆっくりとウィルのもとへ歩き出します。


「……ローズ……!」


 ウィルは私の無事を確かめると、安堵したようでした。心配してくれたことに、私の心は浮上していきます。


「アース様、お気遣いありがとうございます。私、帰ります」

『また遊びに来るとよい』


 そう言われた直後、また私とウィルを眩い光が包みました。



 気が付くとそこは、公爵邸の庭園の一角、私が泣いていたローズガーデンでした。

 ウィルは私を抱きしめ、「怪我は!?」と言いつつ私の全身を確かめています。


「何も。土の妖精王様にご挨拶させていただいただけです」

「良かった……心配した……」


 王女様も放って私を探しに来てくださるだなんて。それだけで、嬉しかった。

 貴方の優しさに甘えて、自分の気持ちだけ守って、わがままを突き通してしまってごめんなさい。

 責任感につけこんで、このような場違いな場所にきてしまいました。


 私はただの、キズモノの令嬢なのに。


 少しだけ痩せた、疲れたその顔に手を当てました。久しぶりにしっかりと目と目が合います。

 貴方が大好きです。これからも貴方以上に好きになる人は現れないでしょう。

大好きだから、幸せになってほしい。


「婚約を、破棄させてください」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ