そわそわしてしまいます
公爵家に来て一ヵ月が過ぎた頃、ウィルから帰還の連絡がありました。明日の夜、到着されるそうです!
執事長のロバートとディナーのメニューを打ち合わせたり、メイド長のエミリーと邸内にお花を飾る計画を進めたりと、皆さんと一緒に任務を終えて帰ってくるウィルをお迎えする為、張り切って準備しています。
私はアンナに言われて、明日着るドレスを選んでいるところです。
「ローズ様、こちらのドレスはいかがですか?」
アンナが提案してくれたのは、水色のふんわり広がるドレス。裾まで幾重も切り替えがあり、華やかな装飾でありながら、色味は優しい水色で統一されています。とっても可愛いので私のお気に入りの一つです。
でも、辛い遠征から帰還されるのだし、もう少しおとなしい方が良いのかしら……。
思案顔で「うーん」とうなっていると、アンナが「ではこれは?」と次々提案してくれます。
今度はピンクのドレス。といっても優しいベビーピンクで、華やかな装飾もなく、お淑やかな雰囲気の一品です。でも子供っぽいかしら……。
「ごめんなさい、アンナの提案してくれるドレスはみんな素敵なのだけれど……」
久しぶりにウィルに会えるのだと思うと、迷いに迷ってしまいます。頭を悩ませていると、アンナがふいに提案してくれました。
「そうですわ! ローズ様、カタリナ様にご意見を賜ってみては?」
お義母様にお伺いを立てると、すぐにご本人が私の部屋まで足を運んでくださいました。
元公爵夫人を呼びつけるだなんて、不敬にあたるかしら……とドキドキしていましたが、お義母様の嬉しそうなお顔を拝見したら、きっとそうではないのだと感じ、温かい気持ちになりました。
「カタリナ様から、以前ご依頼を受けていたんです。いつか、ローズ様のドレスを選びたいって」
「まぁそうだったのね!」
アンナに事情を聴いて納得です。
「私は男の子しか育ててこなかったから、いつか娘のドレスを選ぶのが夢だったのよー!ダリアちゃんが羨ましくって!」
「まぁそうだったんですね。……明日着るドレスを選んでいたのですが……ウィルの好みがわからなくって、悩んでいたんです。お義母様に選んでいただきたくて……」
「ウィルは、どんなドレスでも、ローズちゃんに会えたら喜ぶとは思うけれど、しっかり選ばせてもらうわ!」
「はい!よろしくお願いします!」
そうして着せ替え人形になること数時間。やっと明日の衣裳が決まりました。ウィルが以前贈ってくれた赤のドレスに、白を基調とするアクセサリーや白いお花を装飾に使用し、全体的に清楚な雰囲気に仕上がりました! さすがお義母様!
「可愛いわぁ。ローズちゃん……! 妖精さんみたいよ」
「ありがとうございます」
皆さん達成感で高揚されているのか、やり切った顔です。明日の夜、これを着て、ウィルにおかえりなさいが言えると思うと、とても嬉しい気持ちになりました。
あぁ、明日を思うと、そわそわしてしまいます!




