#0 賢者殿は情報をご所望です。
バトルが嫌いな最強クラフターがお送りする異世界転移物語。
はじまりはじまりー
「あ…。」
私はふと、気が付いた。いつものように製作した装備を街に行商に出たつもりだったのに森を出たらそこは自分がいた世界と似て非なる場所でした。
「ケット・シー!クー・シー!」
キラキラ光る妖精の証はいつもと同じ、どうやら巴導術式は機能しているようです。
「レオ!手伝いか?」
「荷運びなら、吾輩がするのである。主は荷を下ろすのである。」
私の2匹の契約妖精、二足歩行の白猫ケットと主に忠実な一角狼のクーはいつも通り。
「ちょっとだけ困ったことになったんだけど…どうやら”世渡し”になってしまったみたいなんですね。」
「”世渡し”!!」
今の私の状況は自分の住んでいた世界から『同じ座標にある別な世界』世界同士は交わることのない平行世界に来てしまったということです。
これは、私のいた世界では自然現象として魔導術式を扱う導師たちにとって一般的な現象で、広く一般的にも常識として知れているのです。そしてその、ほかの世界から来た人たちを歓迎し、彼らの世界の技術について話を聞き、タイミングが良ければ1年ないし3年以内には元の世界へ戻る技術も確立されておりました。
前に来た人の話では、鉄の鳥が空を飛んでたり、すぽーつ?という競技で国同士の優劣を決めたりする比較的穏やかな世界だったり…。
通貨はもちろんのこと言語だって違う場合があるため、それに対処する『通訳魔導術』が開発されたり色々していました。
「うーん、元の世界はこの現象については比較的当たり前で帰れるの前提だったけど。レオは魔導術が使えねえしなあ…。かといって、おれの魔導術式は補助系の術式じゃないから次元のゆがみが作れるわけでも予見できるわけでもないし。ひとまずは、この世界がどういう技術で動いてるのか調べなきゃなんねーってことだな。」
そうなのです私、レオニー・D・リオンは魔導術式が使えません。これは種族的な特性なので致し方ないのですが。元の世界に帰るという選択肢がほとんど消えております…が!
「まあ、主はある意味どこの世界でも生きていけるだけの採集・工芸技術をお持ちなので森の中に家さえ建てれれば、通貨などほとんど必要ではありませんけどね。」
自分の使い魔に鼻で笑われる主ってなんなんでしょうとふと思ったのはここだけの話ですが、ひとまずは情報収集が必要です。
「とりあえず、二人には大きな町に向かってもらって情報収集をしてもらいたいのです。私はこの森の土壌調査して魔導石とか鉱物資源だとか、生態系を把握して拠点を建てようとおもいます。
食肉関係の解体、燻製施設・居住空間・アトリエ、できればあとは畑と錬金に使う植物用の温室も作りたいです。」
「ようするに、ライフスタイルは前のまま施設も運用も前のままってことですね…」
呆れないでください、クー…。
「戦場に出たら敵なしなのに…。」
「レイドやダンジョンのお宝には興味ございません。採集技術!工芸技術!この二つだけが私の生活を支えるすべて!」
「『軍師』様のお考えはよくわかりません…。とりあえず吾輩は王族の居そうな王都で情報収集してみましょう。」
「じゃあ、おれは近隣の村や街だな!まかせんしゃい!」
「巴導術式に応用した通訳巴道術を開発しておいてよかったです。」
「やっぱり才能の使いどころがずれてる気がするぜ…。」
「その辺については考えるのはやめましょう…相棒。」
何かとても失礼なことを言われているような気がしましたが…それどころではないのです。
「では、各々行動を開始してください!」
かくして私たちの異世界移住活動が始まりました。
遅筆なうえに乱筆乱文を最後まで読んでくれてありがとうございます。
なるべくコンスタントに更新したいです←




