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お名前

「要は、こっちの世界中をお前らと一緒に適当に旅したら良いのか?」


 ここが異世界だと三人が言い張るので、改めて俺は確認のために言った。


「そう」


 アンジェが頷く。


「その格好で分かると思うけど、旅とは言ってもその文明レベルだからね」


 美女さんが俺の服を指しながら言った。うん、分かる。中世ヨーロッパ風でドラゴンとか可憐なお姫様とかが出てくるんだよね、きっと。

 

「一緒に見て回ればいいのか。了解。終わったら帰らせろよ」


 俺の返事はちょっと乗り気なのが隠せていなかった。つまりはゲームの世界みたいな感じのとこを旅するのだ。一度体験してみたかった。こいつらに俺を帰らせる気がないなら、楽しみたい。それに、こんな何もない空間に、二億年はないだろうが、閉じ込められるのも嫌だ。


「で、さっきの神様ってどういうこと?」


「まんま、その通り。神様だよ」


 美女さんはあっけらかんとそう言った。


 確かに毛布が服に変化したのは神の技なのかもしれない。しかし、科学技術が進歩すれば可能かもと考えられる。そもそも神様って存在するのかよ。

 その後も余りに彼らが言い続けるため、俺は折れて、彼らが神であるかもしれないと答えた。その瞬間、美女さんが偉そうに胸を張ったのが少しだけ腹立たしい。あっ、結構、胸大きい…。


 電車の中での会話内容を思い出せないことを伝え、奴らの名前と年齢を訊く。


 ダンと名乗ったマッチョマンは24歳らしい。ただ、これは仮の名前であり、本当の名前は教えられないらしい。何だよ、どうせ大した名前じゃないんだろ。隠すなよ。

 齢は5000を越えたところで数えるのを止め、その時点からもだいぶ経つため、本人も分からなくなっているらしい。


 アンジェも仮の名前だった。ただ、俺はアンドーさんと呼ばないといけないらしい。他の二人はアンジェでもいいそうだ。曰く、『目上を敬え』。アンドーさん、めんどくさーい。


 美女さんはティナと名乗った。設定年齢は17だそうだ。もう少し上の年齢かと思っていたが、欧米人の年齢は分かりにくい。向こうからしたら日本人の年齢の方が分かりにくいらしいが。



「さて、我々の自己紹介は終わった。お前の名前は何だ?」


「それなんだが、自分の名前が思い出せない」


 それを聞いてダンとティナがアンドーさんを同時に見る。それを受けてアンドーさんが口を開く。


「何もしてない」


 言い切るのは良いが、目は逸らすなよ。こっちが不安になるだろ。


「アンジェ、こっちの人間じゃないんだから、ペットみたいにしちゃダメよ」


 ティナがアンジェに言う。

 そうか、俺はペット扱いだったのか。恐ろしい。アンドーさん、恐ろしい。こっちの人間だったらペットにしてもいいような感じを醸し出してるティナも恐ろしい。


「アンジェ、元に戻してあげなさい」


「無理。忘れた」


 おぉい、アンドーさん、とんでもないこと言った。ティナも困惑じゃないか。

 ダン、ティナ、アンドーさんで会議が始まった。俺の目の前で始めるなよ。


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