第二の人生でも変わらない
そして何故か気が付いたらオレ達の後ろで集合している付き人ズ。
三人は互いに自己紹介などをしていた。
一人目は十四、五歳くらいのメイドで、カーテシーをしながら、
「ジーグリット・ノイアーです。ジギーとお呼びください」
二人目は執事見習いらしき十二、三歳くらいの少年で、胸の前に手を置き、
「ルードルフ・クラッセンです。ルディとお呼びください」
そして三人目がウチのダニエラ。
年長者としての貫録ある振る舞いで、
「ダニエラ・ラッツェルです。ダニーとお呼びください」
「オレらの間じゃ愛称は採用してないだろ!?」
オレの事こそ昔から〝アレク様〟呼びだが、ダニエラはダニエラのままだ。
…まぁ、多分その場の空気に合わせての言葉だろうが。
だが、釈然としない、というか、しっくりこない、というか…。
これからはしれっと〝ダニー〟と呼ぼうかと思っていると、ダニエラから「アレク様は〝ダニエラ〟とお呼びください」と釘を刺された。
オレの思考に先回りするとは流石だなダニエラ。
使用人に限らず、複数人が集まっての自己紹介では地位が高い順にしていく。
だからジギーがディーのメイドで、ルディがエレンのお付きなんだろう。
エレンもディーと同じ侯爵家の者だが、同じ地位の男女が揃っていたら男が先に名乗る。
…しかし…エレンのお付きか…
見た目はまぁ、ライバルキャラになるだけあって中々の美少女だが、中身があれだからな……
…苦労するな、ルディ…
オレが労りを籠めた目を向けると、ルディは黙って頭を下げた。
そうしている内にチャイムが鳴った。
オレは次も受けなくていいが、二人はそうもいかないようで腰を上げる。
別れ際に思い出した様にディーがケータイ(携帯式伝達魔石)を取り出し、オレに突き出す。
「とりあえず連絡先交換しようぜ」
「ああ」
オレも出したケータイを翳して互いの魔石の波長を教え合う。
それを見てエレンも「オレもオレも!!」とドレスの裾をたくし上げようとしたのを、ルディが羽交い絞めして必死になって止めている。
…貴族の令嬢云々、というよりも、女性の服装ってポケットとか無いしね。
だからダニエラのお役立ち不思議道具もスカートの中の足に巻きつけたポーチに収納されてるし。
慌ただしく走り去っていく4人を見送っていると、背後に立つダニエラが身を屈めて進言する。
「…悠長に見送っておいでですが、そうなさっている場合ではないかと。
次はアレク様も授業にございます」
振り返り、怪訝な顔を向ける。
「…え?でも、次は魔法の授業だから…」
「本日の講師はグスタフ様にございます。
ですので、是非ともアレク様にご出席して欲しいとのお電話(伝達魔石での通話の事)が」
「………その電話、いつ来た?」
「つい先程」
……直前にも程がある…。多分よっぽど無理矢理に押し込んだな…
とはいえ、グスタフ爺の頼みを合っては聞かぬふりを出来ない。
ジギーとルディはともかく、ダニエラがこの場に居合わせたのはその伝言を伝える為だったんだろう。
オレとダニエラは校舎に向かって走り出した。




