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第二の人生でも暴君です



 寮でバッベルとも特訓をしたのか、三日もするとカールは魔力のスライムの中を縦横無尽にスイスイと泳げるようになっていた。



 オレとバッベル、性質の違う魔力の中でも自由自在に動けるようになったんで、魔力を解放する下地は出来た。


 だが、ただ魔力を垂れ流し出来るようになっただけで放り出す気は無い。

 んなもん、魔力を自覚し、振り回される三歳児でも出来るし、魔力が見出せても魔法が使えないんじゃまた馬鹿にされる。


 そこで今日から移行する第二段階は魔法のコントロールだ。



 今や魔具となった片眼鏡(モノクル)を左目にかけるとカールにそれは何かと聞かれたんで、カールの魔法使用の様子と現実の様子を見比べる為だと説明した。


 実際そういう機能も追加したし。あと、こういう機具にお約束の測定機能(スカ〇ター)も搭載済みだ。



 手始めに色の付いた魔法の塊の球をカールが入っている魔力のスライムの中に出現させる。

 目の前に現れた物体に、球を(つつ)こうとしたカールに言う。


「それを手を触れずに動そうとしてみろ」


 これは魔力を放出するイメージコントロールだ。


 魔法は炎とか水とかはともかく、目には見えない。

 そこで使った魔法の動きを自覚することで魔力を思うままに操ることが出来るようにしよう、というのが目的だ。


 体感的なものだから、理論的なカールには掴みにくい感覚かな、と思っていたが、意外と早く球を動かすことが出来た。


 カールはパァッと顔を輝かせ、こちらを見る。


 うんうん。その調子だ。


 それからカールが自分の周りを動かしたり、自分で高く放ってキャッチしたり出来るようになった所で第三段階へ移る。



 『あ、僕魔法使えてる!!』と思ってるんだろうが、甘い。


 泣きを見るのはこれからだ。



 オレはしれっと球の数を増やした。カールがおっと、というように現れたもう一つを手にしようとして取り落とした。

 「??」という風に呆気に取られ、慌てているが、これは今までの要領じゃ上手くいかない。



 これは魔力の同時行使と無意識使用の為の特訓だ。


 さっきまでのが五歳児レベルとすれば、これは中等部、いや、もしかしたら高等部の内容かな?

 見守ってるバッベルも目を見開いているから、この見立ては間違っていないんだろう。



 何で魔力も解放させ、その操作も取得させて失われていた自信を取り戻していたのに、またも突き落とすような真似をしているかというとだ。


 そんな段階じゃ、また早々と舐められるからだよ。


 この段階(七歳)で魔力のコントロールまで身に着けてりゃそれなりの修練度だ。


 だが、今まで魔法が使えないにしろ〝公爵令息〟で〝嫡男〟でおまけに〝第二王子の従弟〟であったこいつに舐めた真似をしていた連中だ。

 そんな程度、息をするようにやってのけると考えていい。


 もしそこまでいっていなくても、やっと足並み揃えた程度じゃ、またいじめられるし、かえって馬鹿にされる。


 だったら、それ以上の腕前になって、こいつには勝てない、と完全敗北させるしかない。



 涙を浮かべ出したカールを見て、バッベルが「もうこの位で…」と目で言って来るが、オレは首を左右に振り、むしろ球の数を追加した。


 『容赦はせん』というオレの姿勢にバッベルは頭を抱え項垂れた。

 ダニエラ、フォロー頼む。


 カールが泣きべそかきながらこっちを見つめるが、手を払って『さっさと続けろ』と伝える。


 妹(前世・今世両方)の涙には弱いが、野郎の涙は何とも思わん。


 さぁ、まだまだ特訓は二段階あるぞ。さっさとしろや。



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